Archive for March 2006

31 March

#33.春のデータ物語

先週の高松宮記念では、聞けないと思っていた宮川泰作曲のファンファーレが聞けてしまった。とんでもない勘違いをしていたようで、お詫びをする次第だ。でも、テレビのアナウンサーも一言ぐらい言えばよさそうなものだが、競馬番組の文化性の低さを感じてならない。また、JRAにも、演奏者に喪章も付けて欲しいとお願いしたかった。そのせいにする訳ではないが、高松宮記念は完敗だった。
さて、春の競馬はどうしてもクラシックに眼が行ってしまう。古馬のレースは陰になりがちだが、データで議論できる部分が多く、検討甲斐のあるレースが揃っている。今週の2レース、大阪杯とダービー卿チャレンジトロフィーは、まさしく検討の楽しさ一杯というところ。今週も早来のデータ・ベースが吐き出す妙な情報をたよりに検討を進めてみる。

まずは大阪杯、これは見どころが多い。データも適当に揃って検討が楽しい。
データ・ベースによると、◎ローゼンクロイツ、○カンパニー、▲アサカディフィート、△シルクフェイマス、△アグネスシラヌイ、という結論になった。意外と、スズカマンボ、アドマイヤジャパン、マッキーマックスの評価が低く、逆に、カンパニー、アグネスシラヌイが好評価だ。
またデータ・ベースによる展開は、メジロマントルが逃げ、シルクの2頭とマーブルチーフが先団、アドマイヤジャパンがすぐ後に付け、アグネスシラヌイやスズカマンボなどは中段に陣取り、ローゼンクロイツ、ローマンエンパイア、カンパニー、アサカディフィートが後方に控え、やや縦長の展開を予想している。
さて、その先は、シルクフェイマスやアドマイヤジャパンは4コーナー前から先頭を窺うが、後方集団の中からはマッキーマックス、スズカマンボが早めに動き、ローゼンクロイツとこれをマークする一団が次に動くが、カンパニーとアサカディフィートは最後に動く模様、と考えられ、スズカマンボは動きどころが遅れると勝機はなくなる。
そこで、データ・ベースに物申せば、カンパニーが評価されているが、勝負での非力さは否めない。また、アグネスシラヌイも欠点が少ないだけで、掲示板には載るだろうが馬券の対象にはならないと見たい。逆に、アドマイヤジャパンはジャパンカップ11着だったが、2分23秒2の走破タイムは非凡だ。また、上がり調子のマッキーマックスもここ勝てば一気に本番まで駆け抜けるかも。ただ、2000mという距離を考えると、ここではマッキーマックスよりアドマイヤジャパンをカンパニーの代わりに据えたい。

ダービー卿CTに参ろう。これも本番のレース観戦より検討の方がおもしろそうだ。
データ・ベースは、◎インセンティブガイ、○コスモシンドラー、▲メテオバースト、×キングストレイル、△ニューベリー、△カフェオリンポスを指定してきた。この結論はかなり同意できる。テレグノシスなんかを全く嫌っているところが頗る気持ちが良い。
データ・ベースが示した展開は以下のとおりだ。ニシノシタンが行き、グランリーオがすぐ後ろにつける。そのあとにインセンティブガイ、ニューベリーなどが続き、中段はメテオバースト、カフェオリンポス、キングストレイル、コスモシンドラーが位置を占める。後方にはテレグノシスやキネティクスが控える。
有力馬は先行グループに多いため、3〜4コーナーでの動きの激しいレースなるだろう。死角の少ないインセンティブガイだが、ゴタゴタを避けての早めの先頭が裏目になるのが心配だ。格下からの挑戦のコスモシンドラーは距離に不安もあるが、勝負どころで上手に抜けられれば金星もあるだろうし、早いタイムの勝負になればもっとおもしろい。メテオバースト、キングストレイル、ニューベリーは力量が安定していて確実性が高いが、同じようなマークの掛け合いになり、展開が微妙だ。中段より前に有力馬が集まっているので、展開有利は後方のテレグノシスになるが、そこまでの力が果たして残っているか。


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24 March

#28.慶事のあとの訃報

「競馬ファンの皆さまに申し上げます。21日、作曲家の宮川泰様がご逝去されました。」、という場内放送を聞いて、きょとんとしていては困る。競馬界の名曲、関西のG?のファンファーレは、『恋のバカンス』や『宇宙戦艦ヤマト』の宮川泰の作曲なのだ。荘厳重厚一辺倒のファンファーレをコミカルで親しみやすくし、加えて無類の高揚感を与える作品は後にも先にも味わったことがない。恐らく数あるファンファーレの中でも最高傑作であるに違いない。競馬の文化面で大いに誇れることであったが、その偉人が亡くなったのだ。牧原由貴子の慶事の後だけに、残念な訃報になってしまった。この週末の高松宮記念のファンファーレは新しいものに替わってしまってこの名曲を聞くことはできないが、4月9日の桜花賞ではこの名曲が必ず聞けるので、ご冥福を祈りながらありがたく鑑賞しよう。できたら楽隊のメンバーは喪章をつけて演奏して欲しい。そこで気になるのが東京・中山のファンファーレだが、作曲は『花の首飾り』や『ドラゴン・クエスト』のすぎやまこういちだ。

ところで先週2つの注目レースがあったが、どうも不満だ。まず、阪神大賞典であるが、ディープインパクトはちゃんと走ったと言えるが、あとのメンバーがだらしない。トウカイトリック以外、インティライミを始め全馬天皇賞への出走資格剥奪だ。特にインティライミは、3000mという距離への適性ナシと判断したい。また、スプリングステークスは、フサイチリシャールが勝ってナンボというレースなのにこれまた2着。これでは皐月賞も思いやられる。メイショウサムソンとドリームパスポートは一応のレースはしたが、ただ粘っただけで次への展開も見通しもあったものではない。それから、あまりのつまらなさから苦し紛れにトーホウアランを挙げたが、これは大失態だった。抜擢するほどのタマではなかった。不明を恥じ、深くお詫びをする次第です。

さて、今週はG?を含め重賞が4レース。まず、日経賞はリンカーンの独演会でなくては困る。ここで負けるようでは、ディープインパクトの脇役も勤まるまい。相手は、ストラダジェム、コスモバルク、フサイチアウステルとなるが、コスモバルクは有馬記念だけの好走だし、フサイチアウステルも前回の凡走を見ると、安定感からストイラダジェムを推したい。タイムは良いが実績の弱いコスモバルク、逆に実績はそこそこだがタイムの悪いフサイチアウステル、ということでタイムも実績も安定のストラダジェムが相手になるだろう。こんなのが相手なのだから、リンカーンは勝って当たり前なのだ。
次は、マーチステークスを検討しよう。これは面白いレースだ。中心は一応ヒシアトラスだろう。実績とネームバリューから当然だ。だが、この後に続く集団がシブトイ。オーガストバイオ、クワイエットデイ、ワイルドワンダー、カフェオリンポス、ラッキーブレイク、サンライズバッカス、イブロンと多士済済で、ほとんど差もない。敢えてデータ・ベースの序列に従えば、オーガストバイオ、クワエットデイが上位で、ワイルドワンダー、カフェオリンポスがこれに続くということになり、順当なレース展開ならこの線だが、タイムの早い決着になるとカフェオリンポスが浮上することにもなる。枠順が決まって、徹夜の検討が楽しいレースだ。
毎日杯は1勝クラスもいて、データ・ベースは算定不能と言ってきて、逃げてしまった。メンバーを見ても敗者復活戦のようだし、武豊もこれ幸いとドバイへ行ってしまった。何が勝っても、クラシックに影響の出ることはあるまい。そんなレースだから、サイコロ振って決めても面白いかも知れない。
さて、G?の高松宮記念だ。データ・ベースはラインクラフト、リミットレスビット、シンボリグラン、コパノフウジン、アイルラヴァゲインを挙げている。距離適性からラインクラフトを落とし、ダート・芝の実績からリミットレスビットとコパノフウジンを落とす。すると残りは、シンボリグランとアイルラヴァアゲインとなる。特にシンボリグランの実績、タイム、着差のすべてのスコアが安定していて、他の馬には眼が行きにくい。唯一の死角は小回りコースなので、直線で良い勝負のできる位置取りができるかだ。
レース外では慶事の後に訃報が来たが、レースの方は先週のくだらないレースの後は、一気に花開くようなレースを見せて欲しい。あのダメだった野球でさえも海の向こうで頑張ったゾ。
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17 March

#24.勝ちっぷりと温情

野球は韓国に負けてしまって、とてもガッカリだ。アメリカ戦で妙な判定があり、この韓国戦もアメリカにとっては日本に負けて欲しい一戦であったが、こともあろう審判は4人中3人がアメリカ人だった。だから負けたとは言わないが、悔し紛れにアメリカ・パラダイムの中での善戦と褒めるべきか。

さて、気持ちを切り替えて金曜日は競馬だ。先週は牧原由貴子の嫁入りの話題で持ちきりだった。フィリーズレビューを見事に勝ったダイワパッションも、デビューの新馬戦に牧原由貴子が乗ったというだけで特別な扱いがされていたほどだ。ちなみに、この新馬戦は1番人気だったが結果は9着とのことだった。とあれ今年はまだ騎乗がないが増沢由貴子となっても活躍はして欲しいし、なによりも競馬はブラッド・スポーツ、繁殖の楽しみがある。夫君の父親は2000勝をマークした、鉄人ジョッキー増沢末夫であり、これに極めて希少な現役ジョッキーが母親という血統は社台ファームだって実現できまい。武豊、横山典弘、福永祐一などの2代目ジョッキーを凌ぐ逸材を期待している。

さて、東西で2つ注目レースがある。中山のスプリングステークスと阪神の阪神大賞典だ。
スプリングステークスは皐月賞への最終選考会だ。今のところ勢力分布図は、東の横綱がアドマイヤムーンで、西の横綱がフサイチリシャールだろう。そのフサイチリシャールが出てくる。アドマイヤムーンとの直接対決では負けているので、本番の皐月賞を楽しくするためにも、ここはフサイチリシャールがきちんと勝たなくてはいけない。唯一のG?馬でもあるので、その名誉もあるはずだ。とは言っても馬の耳に念仏だろうが。データからも、戦績、持ちタイム、勝ちっぷりなど死角はない。唯一展開が鬼門で、タマモサポートやニシノアンサーが邪魔になりそうだが、朝日杯のようなレースができれば問題クリアだ。
そうなると2番手だが、データ・ベースはメイショウサムソンとドリームパスポートを指名している。この2頭、データ的には、戦績、持ちタイム、勝ちっぷりなど全く差がない。だから2頭揃って負けることもあるだろう。このときの浮上要員として、データ・ベースはトーホウアランを指定してきた。格下とはいえ勝ちっぷりスコアが抜群とのことだが、勝ちっぷりスコアとは早来が苦し紛れに考案したスコアだ。

次の阪神大賞典に参ろう。ディープインパクトが有馬記念以来の出走になる。これも勝つことが前提だが、負けたときは競馬解説者が何を言うかが楽しみだ。とは言っても彼らは自分の考えや言葉を持ち出すのではなく、厩舎関係者や武豊の言葉を継ぎ足すぐらいしかできないだろう。とにかくディープインパクトの勝つ確率は高いだろうが、そこから先は走ってみなければわからない状況だ。そこで脇役だ。実績からはデルタブルース、インティライミ、アイポッパーだろう。またいつも決まったメンバーの長距離クラブの会員としては、デルタブルース、ハイフレンドトライ、ブリットレーンに、最近は出席の悪い古参会員のアイポッパー、チャクラ、また新規会員にはトウカイトリックも加わって、このレースには長距離自慢が集合して、これらのメンバーなら距離の心配はない。レース展開は面白くないだろう。ディープインパクトの周りに全馬が固まった超スローペースで、走破タイムも3分7、8秒もかかるようなことになりかねない。数年前活躍したタガジョウノーブルのような威勢の良い長距離の逃げ馬が出て欲しいところだ。さて、データ・ベースは、ディープインパクト、インティライミ、アイポッパーをかなりはっきりとした差をもって指名している。上位の2頭は世間体を意識してのことか、またアイポッパーは昨年のこのレースを1番人気で勝てなかったことへの温情でのこととしたら、味のあるデータ・ベースと言えるのだが。

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10 March

#19.何をたよりに

来月になれば、9日に桜花賞、16日には皐月賞が行なわれる。そこへ向けて予選会も最終段階にきている。だが、今年はなぜかスターや中心馬が出てこない。なにしろ共同通信杯と弥生賞を連破したアドマイヤムーンは、例年なら間違いなく大本命なのだが、なぜか誰も中心馬として認めようとしないのだ。去年のディープインパクトの残像があまりにも強いせいか、この程度では麻痺してしまっているのかもしれない。一方、牝馬の桜花賞の方も中心馬が決まらない。ここで勝てばというところで有力馬が勝てないので、毎回毎回新勢力の登場でめまぐるしいこと夥しい。楽しいことには変わりないのだが、いい加減に中心馬が出て欲しいものだ。

今度の日曜日はフィリーズレビュー、正真正銘の桜花賞トライアルだ。阪神競馬場の1400mで行なわれるこのレースは『報知杯4歳牝馬特別』と呼ばれたが、2001年より馬齢表記の変更に伴い『報知杯フィリーズレビュー』と改称された。この馬齢表記とは、それまでの生まれたときを1歳とする数え年表記から、生まれたときは0歳とする世界標準に変更したことだ。では、なぜ馬齢表記の変更に伴ったことなのかは、英語での牝馬の呼び方が年齢によって異なるからである。牝馬を英語で言うと、フィリー(filly)とメア(mare)であり、4歳までがフィリーで、5歳以上がメアと呼ばれることによるのだ。
そんな経緯はともかく、レースの見通しはどうだろう。去年はラインクラフトが1番人気を見事に勝って、その勢いを駆って本番の桜花賞も制覇した。今年はどうだろう。早来のデータ・ベースは、?サンヴィクトワール、?アルーリングボイス、?ダイワパッション、をあげている。ここまでの牝馬のクラシックの流れをみると、実績を覆す結果が続いているので、ここでは実績の隙間を考えてみる。そこで持ちタイムをみると、エイシンアモーレとセントルイスガールが、1200mを1分8秒3で走っていて、偏差値に換算すると65.2、ランキングは14位である。このランキングは去年の6月からの2歳、3歳のレースに出走した全馬の走破タイムが対象だから、極めて上位のタイムである。因みに、好タイムだった朝日杯フィーチュリティ・ステークスでのフサイチリシャールが、1600m1分33秒7で、偏差値は66.7、ランキングは7位となっている。エイシンアモーレとセントルイスガールのタイムは、去年の8月9日、小倉のフェニックス賞でのものだが、そのときのチカラがそのまま出れば、1400mであるので十分楽しめる。
さて、このところ武豊が好調のようにみえる。三流選手にスランプがないのと同じで、名手に好調もなにもないだろうが、アドマイヤムーン、アドマイヤキッスはお見事の一言だった。さらに、3月4日の阪神9レース淡路特別でのロングアライブは、勝負どころに向かってペースが上がる3〜4コーナーで、置いていかれるのが心配になるほど我慢して、直線だけで2馬身も差をつけた。極めつけは、その1週間前、2月26日の中山の最終レースでのことだ。負傷の松岡に急遽乗り替わり、不良馬場の多頭数を見事に捌いて抜け出したのは、アッパレアッパレだった。アドマイヤムーンの評価がイマイチなのは、武豊の手綱さばきのためにだとしたら、武豊にとっても迷惑なことだろう。

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03 March

#14.直結するか

元祖ジャニーズ系騎手、ミッキ-こと松永幹夫が引退した。80年代後半の関西の競馬場は、松永幹夫に続き武豊がデビューし、「ミッキ-、ユタカ〜」という今までにはなかった黄色い声援がパドックに飛び交った。このころから競馬場はきれいになり、酔っ払いや下着姿のオヤジも激減し、鉄火場から競馬場はおしゃれな遊び場へと変身を遂げた。まさにデートスポットに昇格した競馬場には、ビトンのバッグを持ったワンレン・ボデコンの女性が押しかけ、松永幹夫はその雰囲気に相応しいイメージの先駆者だったのだ。もちろん、20年間の12000回に及ぶ騎乗で1400勝を上げた実績も大記録で、間違いなく名ジョッキーだ。
さて、今週はクラシックへ直結する弥生賞とチューリップ賞の2本立てだ。ともに本番の皐月賞、桜花賞と同じコースで行なわれるので、ファンはもとより関係者も気合が入る。弥生賞だがスターがいない。これまでの実績から、中心はサクラメガワンダーとアドマイヤムーンになるのだが、まるで華がない。展開も、華々しく先頭を切って進むような派手な馬もなく、ゴソゴソとした団子状態で最終コーナーまで来てしまうだろう。となると、データ・ベース向きのレースかと思って質したら、スーパーホーネット、アドマイヤムーン、サクラメガワンダーと答えてきた。やはり、実績からのおもしろくない線だ。
チューリップ賞は展開が読みやすそうだ。シェルズレイがハナを切り、中心と目されているテイエムプリキュアが好位を占めるだろう。他の有力馬はテイエムプリキュアをマークする形になって、好位での出入りの激しい競馬になりそうだ。その忙しさを背後に背負って一人旅になるのがシェルズレイで、展開が有利に働きそうなので、注目して見ていていただきたい。なにせシェルズレイは芦毛の白い馬なのでよく目立つ。このレースもデータ・ベースに聞いてみたら、ニシノフジムスメ、タッチザピーク、テイエムプリキュアと出てきた。ニシノフジムスメのどこがいいのかと聞いてみたら、フジムスメには似合わないタイムの安定性という「色気のなさ」を上げていた。アタマはともかく、3、4着には粘るというものなのか。タッチザピークの選択はデータ・ベースにしては英断だ。勝ちっぷりという数字になりにくい指標を評価しているのも嬉しい。
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