Archive for July 2006

26 July

#116.嬉しい顔

北京オリンピックを目標にしたU−21日本代表が反町康治監督から発表された。中国代表との親善試合が8月7日に中国で行なわれるためだが、カレン・ロバートや増島竜也など注目選手はほぼ選ばれと思われる。反町監督はオリンピック本選に出場した選手の半数以上がワールドカップの代表に選出されていることを数字で上げ、オリンピックがワールドカップに直結していることの印象付けに腐心していたようだった。そして、代表監督のオシムからは助言をいただいたことを誇らしげに話し、さらに「オシムさん同じベクトルを目指す」などとA代表との一体感を強調していた。そして、なんと言っても終始嬉しそうなのである。

反町康治がアルビレックス新潟の監督時代、「走る」ことを何よりも大切なことにあげていた。試合後のインタビューでも自軍の走りについては必ず出てくる最重要事項だった。去年の磐田に負けた試合では「今日のウチの選手は相手の1.5倍走りました。褒めてやってください」という調子だった。このように走り一本槍で田舎チームを育ててきたものの、やはりその先のもの足りなさは反町監督自身が感じていたに違いない。新潟の監督時代からオシムのジェフ千葉には相当な関心があって、「ジェフの練習は金を払ってでも見てみたい」などとオシム礼賛の言葉まで吐いていた。

その反町が念願叶って、オシムの一番弟子になれたのだ。しかも金を払ってではなく報酬までついてくる。オシムの就任には紆余曲折があり、就任会見などではオシムは周囲に気を遣ってか、それとも生来のことか終始控えめあったが、川渕協会会長の隣りで嬉しさを堪えきれない様子の反町監督が妙に可愛かった。あの嬉しさに匹敵する顔は、最近の日本では見たことがない。強いてあげれば、ホームセンターにあるペット用カートに乗せてもらったワン公の嬉しそうな顔ぐらいかもしれない。


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24 July

#114.不思議なこと

ジダンの頭突きに採決が下ったが、頭突きを受けたマテラッティーにもついでというか、喧嘩両成敗のような罰が下ったのは少し首を傾げてしまった。ジダンの頭突きにマテラッティーもやりかえしたなら喧嘩両成敗だが、マテラッティーは初めからそんなつもりで挑発をしたのではない。すべて狙い通りのことが起きたのだが、そこがFIFAは許せないのだろう。逆に、マテラッティーがジダンに頭突きをしたらどうだったろうか。「暴力は絶対に良くない」の一点張りで終ってしまっていただろう。

大相撲名古屋場所は、終ってみれば朝青龍だった。朝青龍を破り13勝を上げた白鵬だが、横綱は見送りになった。当初、協会は13勝で横綱みたいなことを言っていたが、朝青龍に独走を許し14日目で優勝が決まってしまったことを見送りの理由に挙げたようだが、これは少しおかしい。独走は白鵬ひとりのせいではないし、14日目に決まってまずいなら14日目に対戦させればいいのだ。対戦させることは協会の裁量でできたことだから、手を拱いていたのは協会で責められるのは協会なのだ。こんな天に向かって唾をするようなことをよくも言えたものだ。

不思議なことの起きる巣窟は高校野球だが、期待を裏切らずやはり起きていた。故意に三振を指示したということで監督が注意を受けた。試合の成立が掛かっていたことによる故意三振がフェアープレイではないとされたのだが、犠打という故意にアウトになる作戦があるのに、なぜ故意三振がいけないのだろう。例えば、無死満塁で代打を送れない弱打者に打順が回り、次の打者が強打者もしくは代打が使えるようなとき、変に球にバットが当って併殺になりよりは、三振でもしてくれた方が一死満塁でチャンスがつながることになる。こんな場合も故意三振になるのだろうか。サッカーではひと昔前までは、残り時間が少ない時ボールキープは汚いなんて言われたが、今は立派な作戦と認めるほど日本のサッカーも成長した。高校野球なので、変に成長されると不祥事でも起きると心配しているのだろうか。そうではなく、成長が不十分だからこそ、不祥事が起きるのだ。だが、その前に成長して欲しいのは昔の権威にしがみついている関係者だ。


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12 July

#106.さあ、野球

ワールドカップの間は野球に目がいかなかったが、大変なことになっていた。巨人がどうしたのだろうか、あれよあれよという間に5位まで下がった。ワールドカップが始まった6月9日から、終了までの7月9日までの間に、巨人は25試合戦って、なんと4勝21敗。勝率は1割6分という極めて珍しい低率だ。なぜこんなことになったのかは、ワールドカップで関心がドイツの方に行ってしまったので、巨人全員がスネてしまったのが最大の原因だろう。常に注目を浴びてきた巨人なので、気持ちがわからないでもないが、ワールドカップの終了を機に頑張ってもらいたい。ちょうどけじめのカードは横浜なので、くみやすしもあり、がんばらないと今度は最下位という心配もでてくる。

パ・リーグでは去年の王者、ロッテが苦戦している。交流戦は連覇をして、さすがロッテ、今年もと思っていたが、このところ投手陣の不調でズルズル後退して現在4位になってしまった。ソフトバンクも王監督が病気休養で、勢いがつかない。その間隙をついて西武が先頭を走り、好調日本ハムが12連勝などというチーム結成以来とも思える快進撃を続けた。パの上位チームには決定力がなく、まだ混戦が続くだろう。

一方、巨人のパッとしないセ・リーグでは、中日が安定してきている。阪神やヤクルトがしっかり勝てないからだ。1カードの3試合では差が見えにくいが、2カードの6試合で差を出すのが中日の戦い方だ。だから、日が経つと知らぬ間に差がついているというのが中日の強さだ。オールスター前までに捕まえておかないと、逃げ切りを許すことにもなりかねない。派手なことはしないから、気づいたら手遅れということになるとも限らない。


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11 July

#105.遥かゲルマンの地で、?

これで終ってしまうのかと思うと些か残念だが、イタリアの優勝でワールドカップも終了となった。イタリアの徹底したジダン・イジメはどんなものかと思っていたが、まさかジダンの堪忍袋の緒が切れるとは思いもよらなかった。こんなことがあっても、MVPは予定通りというか、ジダンに与えられたのだからおもしろい。ジダンは、引退試合こそミソつけてしまったが、2006大会としてはこれで良いのかもしれない。だが、フランスチームとしては雰囲気の悪い状態でのPK戦だったので、若干心残りだろう。

2006大会は、FWの受難大会だったのではなかろうか。FWはプレスという仕事に追われ、まともに点をとるためのプレーをしている暇がなかった。加えて、使用ボールが距離のあるところからのシュートに威力が出ることもあり、MFはFWへボールを出すより自らシュートを打つことが目立った。こんなこともあり、ハットトリックはついに出現しない淋しい大会になった。

FWが大型化するサッカーは、日本とってかならずしも有利ではなく、今後も日本人DFのフィジカルを嘆くようなことが続くと思われる。ところが、優勝チームイタリアのDF、キャプテンのカンナバーロは決して長身ではないのだが、深い読みによる絶好のポジショニングと勇気ある飛び込み、さらにそれを支えた献身的な運動量が超一級品の守備を見せた。故障によるネスタの欠場を補って余りあるプレーを考えれば、MVPはカンナバーロのものだと思うが。


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07 July

#102.遥かゲルマンの地で、?

ワールドカップもいよいよ決勝だ。対戦はイタリアとフランス、予想できない訳ではないが、1次リーグに入る前にズバリの予想をするのは難しかったろう。アルゼンチンやスペインのような華もなかったし、地の利のドイツとか、終わってみればブラジルのような予想の根拠が見出しやすいチームでもなかったようだ。だが、準々決勝にのこる8チームを挙げたら、イタリアもフランスも当然入ってくるだろう。力はあるが目立たないチームで、逆にマークされないことが幸いしたのかもしれない。特に、フランスは1次リーグでは調子が上がらずグループ2位での決勝トーナメント進出なのだ。2位のチームが優勝したら、去年のロッテのようだ。

決勝の前に、3位決定戦がある。前回の日韓大会では、地元の韓国が準決勝まで進み、大会を大いに盛り上げた。さすがに準決勝では、力か悪運か、どちらかが尽きたのだろうドイツには敵わなかった。その慣性力か、3位決定戦では名手ホンミョンボの信じられないミスで、開始数秒で失点してしまい、そのままトルコに負けてしまった。ドイツもここまで戦前の予想以上の活躍で進出してきたので、ひとつ負けたことによる緊張の糸が切れる心配がある。それがないのがゲルマン魂かもしれないが、戦前の状況を思い出せば杞憂ではすまないだろう。対するポルトガル。こちらは優勝経験がなく、最高位の3位をめざすモチベーションがまだ残っていそうだ。

さて、決勝だ。フランス有利というのが大方の見方だろう。グループ2位からのし上がった勢い、ジダンという絶対的な切り札の存在、スペイン・ブラジル・ポルトガルを倒したゲーム運びの巧みさ、このへんが有利に考えられる点である。逆にイタリアは、ブッフォンの好セーブとカテナチオぐらいで、積極的な評価点が見当たらない。だが今回は、華や長所の多さではなく、ドイツのようにむしろ心配されたチームが活躍したりしている。イタリアは誰がということもなく、ただジダンを嫌がらせて、アンリを孤立させるだろう。無理攻めもしないだろうから、曲者マケレレの出番もなさそうだ。ここはイタリアを応援して見ている方がおもしろそうだ。


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