Archive for August 2006

30 August

#137.虫視的ということば

鳥瞰図とか俯瞰図ということばがあって、「瞰」という字は高いところから見下すという意味らしい。物事の全体を見通すということは大切なことで、小学校以来なるべく全体を見渡すような視点をもつことが教え込まれてきた。ところが、あまりにも「木を見て、森を見ず」の排斥に偏重したため、森が木から成り立っていることすら知らない状況になっているようだ。そこで、鳥瞰に対抗するする意味で、鳥の逆、虫を考えてみた。鳥瞰が鳥の眼とするならば、虫の眼はなんだろう。そこで、瞰に対する見る意味のことばを調べた。
見、看、視、観、など見ることの字はたくさんある。見は目を大きく開いて見ている様子を示しているそうだ。看は目の上に手があることから、かざし見る様子だそうだ。こんな具合に調べていくと、さすがに漢字は中国4000年の重みのあるもので、実におもしろいし奥も深い。その中で目についたのが「視」だった。視点を止めて、しっかり見ることだそうだ。これだと思って、「虫視」ということばを考えた。これなら、鳥瞰的に対して虫視的ということばで対抗できそうだ。
小学校のころ、「りんご、もも、なし」というと先生に「果物」となおされ、「いぬ、たぬき、くま」は「どうぶつ」とか「けもの」となおされたが、その逆のことは教わったことがない。映像文化の蔓延で、現実のものとの距離がますます遠くなっている。手元に鳥瞰的なことがあったら、逆に辿って虫視的に翻訳してみるのもおもしろいだろう。


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29 August

#136.人間形成

先日、検査で入院をしたのだが、検査の後遺症になるのだろうか、手首に内出血が生じて左腕が使えない状態が続いている。担当の医者に見せたのだが、やはりしばらくは我慢ということだった。でも、これ以上悪くはならないということを言ってもらったので少しは安心ができて、気のせいか改善の兆しがみえてきたのは、性格だろうか。

でも、日常の生活は甚だ不便だ。思わぬところで左手の役割の重要さを再認識している。例えば、歯を磨くとき、左手はどうしていたかというと、洗面台に手をついていたのだ。初日は知らずについた左手の痛みで飛び上がったしまった。今は左手を洗面台につくことはないが、左手をぶらぶらさせている不自然なフォームに馴染めなくて困っている。以前にもこんなことはあったと思うが、たぶん喉元過ぎればというように、あっさり忘れているのだろう。できないことは家内にやってもらう訳だが、できないのだから潔くお願いしてしまえば良いのだが、なんとなく後ろめたさを感じてならないのが困ったところだ。結局はできないのだから、やってもらうのだが、何とも馬鹿な性格で自分ながら呆れている。

会社にいたころ、ずーっと得をするより、少しばかり損な立場の方が、居心地が良かったことを思い出す。そんなことが今に至るまで影響しているとは、これも30何年にわたる人間形成なんだろうか。


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24 August

#133.なんたる矛盾

昨日の23日は二十四節気の処暑で、暑さも一応収まるという日です。例年なら頷くことも可能でしょうが、今年は暑さの始まりが遅かったこともあり、もう少しの覚悟が必要ということでしょう。

さて、この暑さ。地球規模で考えると少し不思議です。地球がこんなに暖まっていられることが本来不思議なのです。地球の熱は地熱のような地球自身の熱もありましょうが、ほとんどは太陽からいただいた熱です。そして、この熱が地球にとどまっていることは、本当は不可能なはずなのです。

熱は温度の高いほうから低い方へ物を伝わって移動します。これを伝導といいます。物がなくても温度差があると熱は赤外線などで伝わることができ、これが放射です。宇宙のかなたは完全黒体というマイナス273度という温度ですので、地球からは常時猛烈な勢いで放射が起きています。冬の天気の良い夜に起きる放射冷却のイメージです。この放射の熱量はとても大きく、本来地球は太陽からもらった熱では収支上赤字のはずだそうです。これを、大気が放射の邪魔をしたり、熱容量の大きな水のおかげで、なんとか保ってきた訳です。ところが放射の邪魔をする大気の中に二酸化炭素が増えたりすると、こんどは熱がたまり過ぎることになります。
生物の構造上、温度が低くなることことには対処できそうですが、高くなることは苦手です。今、気温が40度下がっても被害はでるもののナントカできるかも知れませんが、40度上がったら人類や多くの生物は絶滅になるかもしれません。異常気象イコール温暖化などといわれても、具体的に有効な手立てを感じることのできない毎日では、ただイライラが募るだけです。

今年の暑さは二酸化炭素の増加だけによるものではありませんが、太陽からの放射能を守るバン・アレン帯、同じく紫外線を守るオゾン層と同じように、温度を守る機能が地球にはあります。太陽系の惑星の定義が喧しいですが、惑星のなかでも極端に異なる仕様の地球には他の惑星にはない機能があります。それぞれの機能が機能不全に陥らないようにしなくてはいけないのですが、昨日も今日も冷房はつけっ放しです。

理論的に考えれば冷房なんてと思わなければいけないし、日本流の涼をとることも考えてはいるのですが、まったく実行できないのが恥ずかしいです。


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23 August

#132.涼をとる

日本の夏は特に暑いと思いますが、日本人は暑さの乗り切り方というか、かわし方を昔から心得ていたようです。徒然草の吉田兼好は、「家は夏向き」と、夏に重点を置いた家屋構造にすべきとの考えを述べています。また、「南北に風の通る家は涼しい」と、家屋の構造は南北方向に風通りが良いようにすべきであることはもとより、窓の開け方や家具の配置など、夏の風通しについて効果的な方法も語り伝えられていると思います。

加えて、実際の夏になれば、簾、行水、打ち水など日本独特の暑さへの対処法があります。特に、打ち水は気化熱の大きさを利用した科学的にも優れた涼をとる方法です。氷から水への融解熱に比べ、水から水蒸気への気化熱は7倍に達するほどの大きさであることから、その実質的な効果の大きさも納得できます。その上、打ち水という儀式的な視覚的美しさも含めた心理的効果も大きく、何と素晴らしい涼の供宴でしょう。もっとも打ち水ができるのも、水という天然資源に極めて恵まれた国であったことも忘れてはいけません。

さて、冷房もなく、家の構造云々もなく、打ち水も、といったモノを一切使わないで涼をえる工夫が日本にはあります。怪談話でゾッとして涼しくなろうという素晴らしいもので、なんにもナシで涼しくなろうという実に楽しい発想です。誰が考えたか実に安上がりの方法ですが、更にこれを磨きこんだものを話して聞かせることが商売までになっているところが見事なところでもあるし、世界に誇れるものだと思います。四谷怪談や牡丹灯篭を書いた鶴屋南北や三遊亭円朝に改めて賛美を贈ることとして、これを世界に紹介して温暖化対策とするのも日本ならではの粋なことだと考えますが、小池大臣いかがでしょう。

更に、その極めつけのソフトウェアというか、心理効果による暑さ対策は何といっても「風鈴」でしょう。硬質で透明感のある軽い音色を聞くことよって涼しくなろうという日本人は、感性と発想の何と豊かな民族なのだと思います。外国の方々、特に海の向こうのアメリカ人には理解し難いことだと思います。科学的安全性を振りかざして日本に牛肉を押し付け、日本人が拠りどころにしている情緒的安心感などを全く理解できない無感性人間に風鈴は無駄なものにしか見えないでしょう。それとも、ジョハンズ農務長官は科学的に証明でもしてしまうのですかね。


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22 August

#131.夏は暑い

やはり応援したのが悪かったか、駒大苫小牧は負けてしまいました。西日本の野球どころのチームではなくて、野球後進地帯の北海道のチームに歴史的快挙をさせたかったのですが、叶いませんでした。

甲子園の様子はテレビの向こう側ですが暑そうです。こちらは冷房を入れていましたが、それでも暑くてグッタリです。先月の中ごろは梅雨が劣勢で、このまま真夏になってしまうのか思っていたら、いい塩梅に追加の梅雨がありました。ところが、その梅雨が居座って、今度は涼しいのは良いけど夏がくるのか心配になりました。農作物を始め、季節商品が売れなくなることもあり、表向きの数字だけでも景気が良くなったところですから、身の入った景気になるためには思いっきりの真夏になって欲しいと思っていました。

でも、今はいい加減にしてくれと言いたいほどの暑さ続きです。そこへ台風もちょこちょこやって来て被害はあったものの、水の心配はしなくて良さそうです。あとは日照りに不作ナシで、どうやら今年の夏も悪くない夏で終れそうです。まっ、年寄りには堪える暑さですが、冷房のお世話になってジッとしていましょう。


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