Archive for October 2006

30 October

#153.化野念仏寺 −紅葉の嵯峨野?−

清涼寺を出て嵯峨野の中心へ向かう道のりは1km近くあるが、長閑な農村と瀟洒な住宅の入り混じった道を楽しむことができた。10分ほど歩いて、いわゆる嵯峨野のメインストリートに着いたが、まずは北のはずれの化野念仏寺へ向かうことにした。

「鳥辺山のけむり、あだし野のつゆ」と徒然草に記述されているように、千年の昔から鳥辺山は火葬場、あだし野は墓地として知られていた。山麓の質素な墓地は、それだけで寂寥感が漂う。ただの石を置いただけと思える石塔は、やはり無縁仏なのだろうか。これだけの数が並ぶと、寂寥感はさらに増長して感じられる。
さて、あだし野は化野と書くが、「あだし」とは空しい、はかないという意味だそうだ。「化」の字は、生から死へ化するということで、輪廻再生や極楽浄土への往生を願ってのことと言われている。


夥しい数の一面の石塔、その数は8000体にも及ぶそうだ。殆どが最初から無縁仏だったのだろうか。



今年は紅葉の色あいのある季節だったので、人の出も多く、独特の異様な寂しさは感じられなかった。いつもの12月だったら全くの無彩色の世界で、烏の鳴き声でもしようものなら泣き出したくなるような寂寂とした雰囲気なのだ。


背景に紅葉が入ると、血色の良くなった病人のようだ。寂しさの中にも一筋の光が射したよう。



このくらい紅葉があると、もはや紅葉の名所だ。
 


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25 October

#151.清涼寺 −紅葉の嵯峨野?−

去年の恒例の京都探訪は5回目になるので、紅葉の時期にあわせることにした。いつもは混むのを避け、12月に入ってからの厳冬の京都だった。この日のコースは嵯峨野で、テーマは「源氏物語と平家物語」としてみたが、清涼寺と野々宮神社が源氏物語、祇王寺と小督塚が平家物語というだけで、どう見ても看板倒れだ。こうなってしまったのも、実は清涼寺なのだ。この寺は嵯峨野でも微妙なロケーションにあるため、どうも行きそびれてしまうのだ。そこで、今回はJRの嵯峨嵐山駅から徒歩で清涼寺へ向かうコースを設定したのだ。源氏物語とのゆかりは、光源氏のモデルと言われている源融(みなもとのとおる)の山荘があったところが清涼寺ということで、大層な縁とは言い難い。

さて、通称嵯峨釈迦堂と呼ばれる五台山清涼寺へは確か修学旅行で来たことはあるのだが、40年以上も前のことで記憶もほとんどなく、初めてのお参りと言った方が正確だ。仁王門から入って本堂に向かうと、ガイドブックと全く同じ本堂が現われる。釈迦堂と呼ばれる本堂は大きくて立派だが、飾り気のない清楚な姿は清涼寺の名のとおりだ。釈迦堂には本尊の釈迦如来があるのだが、入ってみたものの暗くて良く拝観することはできなかった。


釈迦堂と呼ばれる本堂、清楚な姿が清涼寺の名に相応しい。



ところが、本堂から庫裏へ伝う廊下を歩くと綺麗なお庭があり、紅葉がちょうど良く色づいていた。規模は大きなくないが、廊下からのアングルもなかなか見応えがあった。ガイドブックなどには紅葉の案内はなかったが、意外や意外、清涼寺の紅葉は京都でも屈指のスポットと言えよう。
清涼寺は釈迦如来や阿弥陀三尊などの国宝や見るべき文化財が多いのだが、それにも増して紅葉の素晴らしさには正直オドロキの大発見で、得した気持ちで寺を出ることになった。


本堂から廊下へ出てビックリ、綺麗な紅葉だった。廊下とのアングルもおもしろく、カメラの腕に覚えのある御仁なら、もっと楽しめよう。
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清涼寺の紅葉は規模は小さいが、色の変化は多彩で美しい。



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