＃66．卯の花腐し

陰暦四月の別名を卯の花月というが、そのころ降り続く長雨のことを卯の花腐し（くたし）というのだそうだ。卯の花の盛りで、その卯の花を腐らせてしまうようにしとしとと降り続ける雨である。まったくこの説明にピッタリのこの頃の毎日で、例年の五月がこんなにも天気が悪かったのかと思うほどだ。五月晴れなどという言葉はどこへ行ってしまったのだ思うが、逆に卯の花降りとか、また雨が降らなくても、卯の花曇り、卯月曇りというように、天気の悪い言葉ばかり浮かんできてしまう。もっとも五月晴れという言葉も、新暦五月の爽やかな晴天というのは誤用で、本来は陰暦五月であるので、梅雨の最中の晴れ間をいうのだそうだ。すると、五月は良い天気の日がもともと少ないのかもしれないので、期待してはいけないのだろう。
それにしても、もう少し晴れて欲しいものだ。天気さえ良ければ、素晴らしい季節なのに残念だ。出掛けようと思っていたことが、どんどん先送りになる。このままでは卯の花腐たしではなくて、気持ち腐たしだ。