Archive for January 2007

29 January

#194.技術者の気持ち

近所の地下鉄の駅に外に直接通ずるエスカレーターができた。便利になって大変ありがたい。上下2連のエスカレーターだが、上りと下りで幅が違う。下りは狭い人1列のタイプで、上りは幅が広く人が2人並べるいわゆる普通の幅のものだ。当たり前のようだが考えられた跡が見える。下りはお客がランダムにバラけて来るが、上りは電車が到着して降りる客が一気に利用するので、待たせないためには下りより大きな搬送能力が必要になる。これが実践されているのだ。ともすれば上下同じものが設置されがちだが、工夫や知恵を出した跡が見えるのは乗っていて気持ちが良い。

ついでだが、エスカレーターは立ったままで乗る人は左端へ並び、急いで行きたい人は右側を歩くということが定着している。地域によっては、立つ人が左右どちらに寄るかは流儀があるらしいのだが、誰かが掛け声を掛けたわけでもないのにエスカレーターの作法として成り立ってきたのだ。ところが、この気の利いた作法に異を唱えることがテレビで放映されていた。朝のワイド番組の中でのことだったと思うが、エスカレーターは踏み板に真ん中に乗るように設計されているので、左右に偏った乗り方は好ましくないというのだ。エスカレーターの製造会社の設計担当者まで録画で出てきて訴えていた。エスカレーターという便利なものができて、人々は急ぎたい人とそうではない人のために極めて有効な利用技術を開発したのだが、この利用技術をわかっていないようだ。便利に使われて初めて技術は生きるのに、技術を売物にしているエスカレーター会社の技術者は意味がわかっていないらしい。技術者は利用状況に合わせた設計にすべきなのに、頭ごなしに禁止とは一体何様だと思っているのだろう。

もっともこのテーマを読み上げていたアナウンサーは終始怪訝な顔だったが、テレビ局はどんな理由でこの話題をとりあげたのだろうか。さらに、番組のキャスターやコメンテーターからも何の発言がなかった。まさか認めたわけではあるまい。


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22 January

#191.イイ商売

納豆ダイエットがウソだったそうだ。フジテレビ系列の関西テレビの人気番組でのことだ。早速、先日の不二家のように社長以下が謝っていたが、なんとなく雰囲気が違うのだ。それもそのはず、テレビ屋さんは謝ればこれでオシマイなのだ。不二家はお店から商品が排除され、存亡の危機の目に遭うのだが、テレビ屋さんはこれできっぱり終れるのだ。商品の回収も営業停止もない、考えてみればつくづくイイ商売だ。

テレビ局がミスをしても「訂正してお詫びします」の一言で済んでしまうのだが、同じようなミスでもJR西日本が犯せば大惨事になることをご理解されているのだろうか。もっとも、理解し尽くしているからこそテレビ屋をしているのかもしれない。

そこで不公平感をなくすペナルティーだが、営業停止は言論統制などという想像を絶する高い壁があるので当局も手を出さないだろうが、商品回収の相当することをさせたらどうだろう。具体的には、全てのコマーシャルの時間を割いて訂正放送を流すのだ。これを当局が行政指導でもしたらいかがだろうか。そうでもしないと、モノづくりの現場からヒトが離れ、ますます公務員かテレビ屋に殺到することになるだろう。


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10 January

#186.寒中見舞い

昨年の11月に岳父が亡くなりました。87歳の高齢でしたが、10月の私の手術では心配してくれて、お手紙つきのお見舞いまでいただいたので、とても残念でなりません。今年は、久しぶりの喪中の正月になりました。当然のことながら年賀状はご遠慮させていただきました。
ところが名簿の不備などがあって、年賀状をいただいてしまうことがあります。現に、何人かの方々から年賀状をいただいてしまい、返信に寒中見舞いを出すことにしました。

ワープロで文面を作っておいて、4日になって郵便局は胡蝶蘭のはがきを買いに行きました。印刷をして、枚数の少ないこともあり、手書きで宛名書きをして投函しました。ところが、肝心の寒にはまだ入っていませんでした。こいつは困ったと思って神宮館の暦は見たら、小寒が6日からであることがわかりました。4日の夕方に投函してのだから、5日には着くまいと、出したはがきが早く着かないように願ったのは、あまり記憶にはないことでした。

ところが、寒中見舞いの枚数が思いのほか増えてきました。出したい相手が次々と広がってきたのです。そこで毎年の年賀状の意味が少しわかりかけました。意外と近況の報告が楽しみだったようです。印刷文面だけではなく、何か一言書かないと失礼と思っていたので、面倒とは思っていたものの書きつづけていました。それが、いつしか楽しみになっていたとは、続けたことによるご褒美なのでしょうか。


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09 January

#185.今年の卦

東京神宮館の暦を見ると、国運予断という欄がある。平木場泰義というお方が占ったそうで、今年は「水沢節」という卦が得られたそうだ。水と沢は卦の構成要素を示しており、節に卦の意味があるのだが、節というのはなかなか意味深長だ。節は、調節することによりほどよく止まるということだが、度を過ぎた苦節への固執はいけないとのことである。ほどよく調節ということらしいが、そんなことより力強く進んで欲しいものだ。

日本経済予断というのもあったが、「離為火」という卦が出ていて、火がふたつ重なった卦だ。日本経済は勢いよく燃え上がるということかもしれないが、火の車にならないことを願いたいものだ。

社会情勢の予断も載っていたが、こちらは「山風蠱」で、チョイト気になった。お皿の上にウジ虫が3匹もいるボロボロに悪い卦で、社会は破綻や腐敗を示している。ことばが乱れ、お行儀の悪い日本人が巷に溢れている以上、このような卦は出つづけるのだろう。このような卦が出なくなったとき、安倍総理のいうところの美しい国となるのかもしれない。ところが、テレビをひねると飛び出すのは品のない言葉や仕草で、これではいつまで経っても美しい国の到来は望めないだろう。


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