Archive for October 2007

03 October

#273.死に筋商品と三河屋

『死に筋商品が店を救う』というタイトルで最近のデータ分析の状況が説明されていた。あるコンビニで扱っているビール20品のPOSデータが示された。まず、上位の6品で全体の売上の60%に達することが説明された。次に下位8品の売り上げをさして8品で2%にも満たないことが示され、これがいわゆる「死に筋商品」でこれを早く追い出すことが商売の鉄則とされてきたのである。ところが最近、POSデータ分析が進んで、もう少しデータをよく見ることができるようになり、購入者別の購入額とその内容が分かるようになった。すると、最下位だったCa社のビールを買ったお客の購入月額は、そのコンビニのお客の中で第1位であることが判明したのだ。よく買ってくれるお客さまだが、Ca社のビールがなくなったらCa社のビールが置いてあるよその店に行ってしまうだろう。つまり、この「死に筋商品」を残すことで、このコンビニが救われたというのである。

数字しか見ない本部の指示とアルバイトに毛の生えたような店長で運営しているコンビニの商売ならこのことは十分頷けることだ。ところが昔の三河屋さんを思い出してみよう。三河屋さんのおやじなら上得意のお客さまのビールの好みぐらいは十分承知の助で、ビールばかりか飲み物を始め、味噌、醤油の類まで好みや購入のインターバルまで承知していただろう。三河屋のおやじではなくても、御用聞きのお兄さんでさえもそろそろ補充が必要なときに言われなくてもお届けするぐらいの気働きがなければ暇を出されてしまっていただろう。

コンビニは上得意さまとかお馴染みさまというような概念はないのだろうか。お客さまの顔を見なくして成り立つ商売があること自体が不思議なのだが、見渡すとそんな商売ばかりだ。豊洲のスターバックスで幸いにも私は、店長さんともうひとりのベテランの女性ならば、行けば黙ってホットの「ダブル・ショート・アメリカーノ」を出してくれるようになれた。


さて、全くの蛇足だが、冒頭の『死に筋商品が店を救う』を入力して変換をしたら、『死に筋商品が店を巣食う』と出てきた。ひとりで楽しんでいてはもったいないので紹介してみた。


14:18:07 | datesui | No comments |