Archive for November 2007

30 November

#310.ゆっくりかいた汗

駅伝、マラソンといえば冬の風物詩だ。最近はオリンピックが夏場に開催されることもあってか、マラソンが夏場の競技に変わってきているが、やはり長距離競走は冬場のものだ。競馬も長距離は冬の楽しみのひとつだ。
この20年ぐらい短距離化の波に押されて肩身の狭い長距離レースだが、天皇賞・春、菊花賞と3000mを超えるG?レースは2つもある。これは3000mを超えるレースが全体の1%も満たないなかで、22のG?レースのうち2つを占めていることはまだ長距離レース健在の証だろう。

12月から2月にかけ、重要な長距離レースが3つもたれている。12月1日のステイヤーズS、1月5日の万葉S、2月17日のダイヤモンドSだ。距離はそれぞれ、3600m、3000m、3400mと見事な長距離揃いで、たっぷりとレースが楽しめる。その第一弾が1日のステイヤーズSなのだ。

中山大障碍も含めて長距離を走った馬から上がる湯気が、また冬の競馬の目を楽しませてくれる。馬の腹から信じられないような汗が滝のように流れ落ちるのも冬の長距離競馬の素晴らしさだ。こちらは興奮してアツクなる訳だが、馬の方はいつもより長い時間をかけてかいた汗なのでこちら側もゆっくりと貴重な汗を堪能しよう。


【ステイヤーズステークス】
◆71.4  リキアイサイレンス  最近の実績、タイム
◆66.3  トウカイトリック   タイム
以上の2頭はWsc65以上の超推奨馬になる。
◆57.2  エーシンダードマン  最近の実績
◆55.9  ショートローブス   タイム
この2頭が通常の推奨馬で、下の1頭が50以上の参考馬になる。
◇53.6  アドマイヤモナーク  タイム


【展望】長距離の常連の調子がイマイチの中、リキアイサイレンスが唯一戦闘モードに切り替わっているようだ。トウカイトリックもこれからの状態だが、前走の状況から冬は上々のスタートが切れたことだろう。低迷の最たるところはネヴァブションで、スコアは42.3と惨憺たる状態だ。その他の常連もスコアが低いが、このレースから始動の馬もいるようなので、この長距離シリーズを注視していこう。
そこで、長距離クラブの新しいメンバーとして入会を認めたいのがエーシンダードマンだ。まだ3歳の2勝馬だが菊花賞4着の成績から願望に近い期待をしてみた。アイポッパーやゴーウィズウィンドも歳だし、このレースからフレッシュな長距離スターが育つことを願っている。

【展開】一言で言うと「全馬一団」ということになる。
強いて前の方にでるのが、ゴーウィズウィンド、ワンダースティーヴ、の2頭だろう。
続くのは中段になるが、チェストウイング、ショートローブス、アドマイヤグローリ、パープルファルコン、の4頭が前の方で、マキハタサイボーグ、アドマイヤモナーク、トウカイトリック、リキアイサイレンス、の4頭はやや控える形になりそう。
後方は、ネヴァブション、エーシンダードマン、メジロトンキニーズ、になる。

向こう正面から駆け引きが始まるだろう。3コーナーから4コーナーにかけての位置の取り合い、コース―の奪い合いがおもしろくなるが、13頭という手頃な頭数でもあるので楽しいレースを期待したい。長距離は騎手の腕前が発揮できる舞台だ。腕自慢を大いに披露してほしい。


11:10:43 | datesui | No comments |

23 November

#306.血統新時代

ジャパンカップになると気の重くなることがあった。テレビの放映のパドックで出走馬の血統が紹介されるが、このところの日本馬はサンデーサイレンス一色だった。まるで昨日今日競馬を始めたばかりで、種牡馬はサンデーサイレンス1頭しかいないような状況に見えてしまうのだ。70年ほど前の始まったばかりのダービーは、優勝馬の種牡馬がしばらくの間トウルヌソルとシアンモアの2頭もマッチレース状態だった。日本の競馬事情に詳しくないホースマンは、ジャパンカップに出てくる馬の状況を見て後進性を感じたに違いない。

日本の競馬を根底から変えてしまったサンデーサイレンスだが、急逝から5年経った今、その偏りから少しずつだが脱皮が見える。今年のジャパンカップの日本馬は14頭中、サンデーサイレンス系は直子の2頭を入れて6頭になった。あとはノーザンダンサー系、ブライアンズタイム系、ミスタープロスペクター系となって緩和の様子が見て取れる。対する海外組は英国とアイルランドだけということもあるが、サドラーズウェルズやデインヒルなどのノーザンダンサー系だけで、これはどうしたことだろう。

サンデーサイレンスを失ったことは日本の競馬界には大きな損失だが、巨星の去った後の競馬は血統の妙味という競馬本来の楽しみが少しずつ味わえそうだ。距離、ダート、道悪への適性、仕上りの早さ、成長性、勝負強さなど、血統面から検討すべきことは、この10年はすべてサンデーサイレンスの一言で済んでしまっていた。楽で済む話ではなく、楽しみが失われていたのだ。長い間の休業状態からの血統談義は準備も大変だろうが、それは競馬道楽、実は楽しみ以外の何ものでもないのだ。


さて、ジャパンカップのレースの方は凱旋門賞馬のディラントーマスが直前で回避して寂しくなった。だが、強行スケジュールだったこともあり、懸念材料をもって走るよりは良かったかも知れない。データも日本の中央のレースだけなので簡単に示すことにする。

【 ジャパンカップ 】
◆67.5  メイショウサムソン
◆62.8  ポップロック
◆57.5  ドリームパスポート
◆56.4  アドマイヤムーン
◆56.3  フサイチパンドラ
ここまでがWsc55以上、以下インティライミ=54.5、ウオッカ=53.1、ローゼンクロイツ=50.3、チョウサン=50.2、と50以上も微妙だ。

【 ジャパンカップダート 】
◆60.2  ワイルドワンダー
◆59.3  メイショウトウコン
◆59.0  フィールドルージュ
◆59.0  ドラゴンファイヤー
◆57.3  サンライズバッカス
◆57.0  ワンダースピード
このあとエイシンロンバードが53.0で、日本馬のみでのWscはこのようになるが、ヴァーミリオンの最近の4戦は中央での出走がなく、中央へ転厩してきたボンネビルレコードも前走のみでデータの足りないことでは外国馬並みというところだ。


18:55:27 | datesui | No comments |

18 November

#303.まんざら

愛読誌の週刊『競馬ブック』11月18日号をパラパラとめくっていたら、“ぜひ!目黒美術館へ”という記事に目が止まった。中央競馬ワイド中継という、テレビ神奈川とか千葉テレビなどで放映している渋い競馬番組で女性キャスターをしている目黒貴子の寄稿だった。先日の11月7日に行ってきた目黒美術館で開催されている『馬と近代美術展』のことを書いていた。
開催中の目玉として、11月1日に武豊のトークショーがあり、その司会に目黒のよしみで目黒貴子が起用されたとのことである。インタビューでは、3000勝にあと1勝に迫っていることや、この秋の抱負などを伺って大いに盛り上がった話が載っていた。最後に、武豊と館内を見て歩いたとき昔の目黒競馬場の写真をみて、武豊が「あ、右回りなんですね」と言ったそうだ。目黒貴子は、「さすが、視点が違います」と舌を巻いたようなことを言っていた。

やはり武豊、そこは競馬文化人早来新市と同レベルの感想をもったようだ。


00:02:52 | datesui | No comments |

16 November

#302.マイルの心地よい緊張感

1984年、JRAは競走体系の抜本的な改革を断行した。これにより大レースといえば長距離だったが、短距離や中距離の大レースができ、逆に未勝利戦に2000mを超えるレースが出現して競馬番組にバラエティーが出て、それだけで楽しくなった。このときに新設されたのがこのマイルチャンピオンシップで目玉のひとつだったのだが、同時に断行された秋の天皇賞が3200mから2000mに短縮された方がインパクトは大きく、G?であったが期待や重みを込めた話題性はイマイチだったような記憶がある。
第1回を勝ったニホンピロウイナーは、第2回も勝ってベストマイラーの称号を確固たるものにし、さらに引退したあとも種牡馬としても中短距離で大活躍をした。マイル戦はスペシャリストのレースなのか、ニホンピロウイナーのように連勝した例があり、ダイタクヘリオス、タイキシャトル、デュランダルの3頭がさらに名を連ねている。前年優勝のダイワメジャーが出走してきており、今回も連勝の出るチャンスがない訳ではない。


【マイルチャンピオンシップWsc(ウイニングスコア)】
◆66.7  アグネスアーク    抜群の最近の実績、末脚
◆62.6  キングストレイル   タイム優秀
◆61.0  カンパニー      成績上向き、勝負強さあり
◆58.9  スーパーホーネット  タイム良し、勝負強さあり
◆57.2  スズカフェニックス  末脚
以上が、Wsc55以上の推奨馬。以下は50以上の参考馬。
◇54.6  エイシンドーバー   タイム良し
◇54.6  マイネルシーガル   最近の実績
◇53.6  トウショウカレッジ  タイム良し、末脚
◇51.3  コイウタ       タイム良し
◇50.9  ジョリーダンス    最近の実績、末脚


【展望】G?馬4頭、G?馬5頭と一見豪華なメンバーだが、G?G?で活躍した実績馬が不振で揃ってWscを下げている。ダイワメジャー49.5、フサイチリシャール43.8、ピンクカメオ43.0、と淋しい限りだ。そこで最近の実績から安程度抜群のアグネスアークが中心になる。あとは一長一短で、キングストレイル、カンパニー、スーパーホーネット、スズカフェニックスが差のないところという評価になろう。ここはアグネスアークが順当に勝って、新しいマイルの王者に就いて欲しいものである。

【展開】調子の上がらないダイワメジャーは逃げて活路を見出すだろう。ダイワメジャーに続く2番手の集団は、フサイチリシャール、ピカレスクコート、ローエングリン、ローレルゲレイロの4頭が構成する。
このあとは中段になるが、キングストレイル、アグネスアーク、コイウタ、エイシンドーバー、スーパーホーネット、マイネルシーガル、と有力馬が固まる展開だ。
後方は中段とはさしたる差のないところで、ピンクカメオ、スズカフェニックス、ジョリーダンス、トウショウカレッジ、カンパニー、サンバレンティンが控えることになろう。

後方からの末脚自慢はトウショウカレッジとジョリーダンスぐらいで、有力馬のほとんどは前の方で早めに勝負をつける脚質であることから、4コーナーの曲がり具合が微妙なことになろう。外へ出るか、内を取るか、中段から抜け出る有力馬の動きに目を凝らしたい。スタートからゴールまで、緊張がちょうど良く持続できるのもマイル戦の素晴らしい特長だ。


23:19:03 | datesui | No comments |

09 November

#298.再戦で済むか

タケホープとハイセイコー、素晴らしい好敵手同士だった。何度かの対戦は再戦に次ぐ再戦で話題を呼んだが、距離が長くなればタケポープが強く、少しでも短くなればハイセイコーに分があった。また、雨が降ったりすればハイセイコーのもので、結局、現役での勝ち負けの差は1勝か2勝ぐらいだったと思われる。この2頭は引退してからも種牡馬として再戦になったが、ハイセイコーの初年度産駒のカツラノハイセイコーがダービーを制覇し、この再戦の勝負はあっさりついてしまった。

さて、牝馬のダービー馬ウオッカと桜花賞と秋華賞の2冠馬ダイワスカーレットの2頭も素晴らしいライバル同士だ。再戦歴は、再戦の再戦の再戦、つまり今度のエリザベス女王杯で4回目の対戦になる。1回目は3月3日のチューリップSで、阪神の芝1600m。このときは、ウオッカが勝ちダイワスカーレットは2着だった。再戦は4月8日の桜花賞で、このときはダイワスカーレットが優勝し、ウオッカは2着だった。その後2頭は別路線を歩み、ウオッカはダービー、宝付記念という牡馬でも難しいG?路線の王道を歩み、牝馬ながらダービーを奪取したのだ。ダイワスカーレットは距離に不安を覚えたのかオークスを回避して長期の休養に入り秋に備えた。
秋緒戦のローズSを快勝して万全のダイワスカーレットとぶっつけ本番のウオッカは、10月14日の秋華賞で再戦の再戦になった。芝の2000mの距離はウオッカに有利に見えたが、再々戦はここまで順調に来たダイワスカーレットが優勝し、ウオッカは3着だった。さあ、いよいよ4度目の対戦だ。距離は芝の2200mに延びたが勝負は全く互角だろう。

ところで、ウオッカとダイワスカーレットの2頭だけを見つめてきたが、他にめぼしい馬はいないのだろうか。いやいやまだ手合わせをしていない古馬陣がいる。アサヒライジング、アドマイヤキッス、ディアチャンス、フサイチパンドラ、スイープトウショウと実績、実力ともに十分、まことに多士済々である。特に、先細りしない先行力のアサヒライジングは???と成績も力強く、アドマイヤキッスも???と崩れがない。
3歳馬2頭の再々々戦も楽しみだが、ひょっとしたら再戦の2頭より先にゴールする馬がいるかも知れない。

【 エリザベス女王杯 】
◆67.1 ダイワスカーレット → G?G?G?の3連勝、卓越した勝負強さ
◆66.3 アサヒライジング → 成績高位安定、二枚腰の先行力
◆59.4 アドマイヤキッス → 優秀な実績、好タイム
◆56.2 ウオッカ → 実績、タイム共に優秀
ここまでの4頭がWsc55以上の推奨馬、以下の3頭は50以上の参考馬。
◇53.8 ディアチャンス → 勝負強さ
◇51.9 フサイチパンドラ → 先行力
◇51.2 スイープトウショウ → タイム

【展望】ダイワスカーレットとアサヒライジングを中心とみる。脚質の似ている2頭なので、鼻づらを揃えてのゴールは考えにくいが、このレースに限っては行った行ったになりそうだ。安程度抜群のアドマイヤキッス、実力上位とみられるウオッカがこれに次ぐだろう。

【展開】先行するのは4頭、アサヒライジング、ダイワスカーレット、デアリングハート、フサイチパンドラで、ハナを切るのもこの中から出るだろう。
中段は、ディアチャンス、コスモマーベラス、キストゥヘヴン、タイキマドレーヌ、アドマイヤキッス、ウオッカ、ディアデラノビアが一団を形成する。
後方が、ローブデコルテ、スプリングドリュー、スイープトウショウという展開だ。
京都の馬場は、5日に少し雨が降ったがその後は雨もなく極めて良い状態だ。当日も良馬場で、実力通りの競馬になりそうだ。
(追記:10日土曜日の未明、少し雨があったそうですが、10日の馬場状態の発表は良でした。)



23:06:16 | datesui | No comments |