Archive for 26 December 2007

26 December

#326.新発見、2件

月課の締めくくりとして国立西洋美術館へ出掛けてきた。ムンク展が開催されていて予定は立てていたが、今日の今日まで観に行っていなっかったからだ。年明けの来月6日は開催終了になってしまうことや、今年は鑑賞の不作の年でこれといった美術展に出会っていない気がしていたこともある。その期待や願望を込めての出で立ちだった。

さてさて、そのムンク展だが、以前観て強烈な印象を受けた『カール・ヨハン通りの夕べ』に登場する人たちとの再会になった。あの独特の窪んだような眼と不安げな表情を持つ顔に、こちらが見つめられるようになる不思議な雰囲気の人々との顔合わせである。いや、みなさん健在だった。実に達者にムンクの画面のあちこちを埋めていた。衰えなど全く感じさせない現役そのものだった。
意外な新発見があった。ムンクが労働者をテーマにした一連の作品を制作していたことだ。雪かきなどの汗をかくような肉体労働を力強く描いたものだが、ムンクのマチエールからは想像しがたかったので、意外に思えた訳だ。何か別の展覧会も見せてもらったような気がした。

もう一つは大発見だ。しかも常設展示でのことだ。3月初旬までの新館改修工事が始まるためか、本館での変則展示で、いつもとは異なる配置だった。いつもはティエポロなどのロココの作品がある壁だが、そこに見かけない作品があった。離れたところからでもきれいな青がめだつ作品で、思わず歩き寄ってみると、髪を覆うベールは実に奥の深い青で、見事に眼を奪われてしまった。西洋美術館には何度も出掛けているが、どうも初めて見る作品だ。イタリアはフィレンツェの画家、カルロ・ドルチ作『悲しみの聖母』、17世紀中葉の作だそうだ。感情を抑えた物静かな表情も見事だが、そのお顔は絶世の美女であることも間違いない。今まで見落としてきたのならば、何と言う恥かきをしてきたのだろう。


15:48:03 | datesui | No comments |