Archive for 04 December 2007

04 December

#313.出口対策

国際学力調査では理科の関心が極めて低いという結果だそうだ。つまり、理科はおもしろくないということだが、ある程度わかる気持もする。確かに理系の科目はおもしろくないし、勉強も辛いことが多いと思われる。私もヤセ我慢で理系を目指し嫌々ではあったが数学や物理を勉強した。根が変わり者で性格がストイックだったことも幸いしたか、おぼつかない素質ではあったが工学部を卒業できた。

自分自身に却ってみると、物理や数学はおもしろかったのか。今でこそ数学も物理もおもしろくはなった。では、理系を選択したときはおもしろかったのかと聞かれたら、他の科目より飛びきりおもしろくはなかったと答えたと思う。それでも理系を選択しようという気持ちがあったのはなぜだろう。高度成長期という時代の雰囲気がそうさせたのかも知れない。理系を選べば少しは良い方向に進めそうな気がしたのだ。事実、技術系は給料も少しは良かったこともあったが、メーカーに勤めて製造か設計の現場というイメージが何にも増して安心できる姿に見えたのだ。だから、みんなが理系だからボクも理系というノリが存在しえたのだろう。今、メーカーの製造現場は荒廃して不祥事の発生源に成り下がっている。これでは理系の選択なぞ、まずありえないだろう。

理科に関心が低いというと、すぐ理科の教育の話になる。お決まりの話は楽しい理科の時間のようなことだ。確かに、おもしろくないモノをよりつまらなく教えていることも事実だ。NHKの高校講座は私の大好きな番組だが、歴史や地理はおもしろいが物理や数学はちっともおもしろくない。もっとやりようがあることは確かだ。
でも、これだけで理科が救われる訳ではない。楽しい時間だけで済むほど理科は簡単ではない。楽しくない辛いことを勉強して初めて役に立つ理科の部分の方が多いことを認めるべきだろう。よねむらでんじろうの理科遊びだけでは、失礼だが10年やっても何も身にならないだろう。理系の勉強に辛い部分があるのは日本だけではなく、アメリカだって物理や数学の勉強は辛いはずだ。名著『ファインマン物理学』を読んでも楽しい気持で全編を読めるわけではない。楽しそうに思わすだけでは理科への関心は高まらない。見据える先は出口で、明るい出口が見えれば我慢しても理科に関心を寄せるに違いない。


23:16:39 | datesui | No comments |