Archive for 21 January 2008

21 January

#342.品格の山

本屋に行くと、藤原正彦の『国家の品格』が世に出てから、『〜の品格』という本がやたら眼につく。坂東眞理子の『女性の品格』などが出たときは、なーるほどと思ったが、次いで坂東眞理子が『親の品格』を出すに至っては調子の乗り過ぎではないかと思った。国家のことなら不特定多数が対象であるが、女性とか親になると自分のことで心配になったりしないのだろうか。それとも、よほど自分自身に自信があるのだろう。

その他にも『会社の品格』、『日本人の品格』、『ハケンの品格』などが眼につき、品格関係の本はどれくらいあるのだろうか。そこで、アマゾンのサイトで「品格」で検索してみた。
止めておけばよかった。『ナントカの品格』という本だけでも、10や20は下らない。最初の2ページだけで21件も出てきた。先ほどの続きのような、『男の品格』、『父親の品格』があり、これは立場上あまり読みたくない。さらに『子供の品格』などという本もあり、今の子供は大変だと思う次第である。

『ハケンの品格』というヒットドラマがあったそうだが、同名のコミックもある。この広がりという訳でもないだろうが、『上司の品格』、『社長の品格』があるが、このへんは書きやすい本だろう。また、どういう加減か『腐女子の品格』という本も出ているが、誰に向かって何を伝えたいのか理解に苦しむ標題だ。
この先になると、『人間の品格』という恐れ入りましたというような題名になり、また『日本人の品格』は渡部昇一と岬龍一郎の2人の著者から出ていて、さぞかし修身めいた偉そうな内容なのだろう。これで人に対しては、行きつくところまでの感があるが、固有名詞も飛び出してくる。『池田大作の品格』というのも出ているようだが、内容はともかく大物の証だろう。

品格を求められるのは人間だけではなく、『会社の品格』、『企業の品格』という当然というような本もある。また、この固有名詞化されたものでは『トヨタの品格』があって、これは当然という気がするが、『ヤマダ電機の品格』に至ってはヤマダ電機も出世したものだという印象だ。
その他では『話し方の品格』、『恋の品格』はなんやらハウツー本の雰囲気だ。また、『江戸の品格』は山本一力の世界が描かれているようで、このへんなら気楽に読めそうだ。

品格は辞書によれば、「その人やその物に感じられる気高さや上品さ」のことである。最初にも書いたが、書いている本人が対象になっている場合は、不遜や傲慢に対する後ろめたさみたいなものが湧いてきて、書きにくいと思われるのだがどうだろう。自分を完全無欠と勘違いしているか、それとも棚に上げて平気の平左でいられるお方としか思えないのだ。


23:57:05 | datesui | No comments |