Archive for March 2009

31 March

#542.隅田川七福神巡り? −福禄寿・向島百花園−

隅田川七福神は南北に長く分布しているので歩きでがある。特に、最初の多聞寺は鐘ヶ淵で、次の白髭神社は白髭橋の南になるので、この間は1km以上離れていることになる。この間、何もないのかと思うが、そこは江戸の文人、ちゃんとオプションを用意してあるのだ。実はオプションの方がおもしろく、それだけで物見の価値はありそうだ。七福神の紹介が終わったらご案内することにする。

さて、3つ目は向島百花園の中にある福禄寿だ。白髭神社から細い道を辿っていくと向島百花園に着くのだが、まさかこの細い道がと思える道で間違えやすい。だが、少々遠回りでもその方向を目がけて行けば辿り着くので、細い道を無理に歩くこともない。
向島百花園はその名の通り百花繚乱なので、いつでも花が楽しめるようだ。入口には現在見ごろの案内がある。梅や福寿草などが見どころのようだ。このあとがあるのでゆっくりできないが、この微妙な時期の花々の楽しみ方を体験できないのがちょいと残念な気持ちになった。

目指す福禄寿は入口近くの売店横に小さなお堂がある。さほど手を掛けてもらっている様子はない。お堂は開いていないので仕方ないが、ただ頑丈なだけの錠ががっちりと掛っていて、あまりにも殺風景だった。お決まりの手を合わせてみたが、お賽銭を入れようにも賽銭箱もないのでそのまま失礼をした。

百花園の売店には甘酒が用意され、門の外ではきびダンゴが売られていた。滝田ゆうの名作『寺島町奇譚』に登場するきびダンゴ屋さながらに再現されていた。福禄寿はハズレだが、周りの文化的保存力はかなりのものと評価したい。


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向島百花園は年中お花を楽しめるように、旬の花の案内版がある。草本と木本に分けて表示されていて、草の類は水仙、福寿草、蕗の薹、つくしなどで、木々の方は梅、万作、寒緋桜、椿というラインナップだった。右は福禄寿のお堂だが、手前右に「福禄寿尊堂」と表示があるのがせめてもで、誰も見向きもしないようだ。


19:14:45 | datesui | No comments |

11 March

#535.隅田川七福神巡り? −寿老人・白髭神社−

多聞寺から白髭神社へはかなりの道のりがある。隅田川の橋との位置関係で考えれば、多聞寺が水神大橋より少し北にあり、白髭神社はその下流の白髭橋より南にある。隅田川は比較的橋の多い川だが、それでも2つの橋は1kmほど離れているので、多聞寺と白髭神社は1km以上離れていることになる。その間は隅田川沿いの東白髭公園を抜けていくことになるが、ここには能の『隅田川』に登場する梅若伝説の木母寺や隅田川の水神を祀った隅田川神社などがあり、オプションとしても楽しめる。

白髭神社はこの界隈では牛島神社と並んで由緒ある有力な神社だ。早速、寿老人のお参りと思ったが、祀られている様子がない。ご開帳の季節でないのかとも思ったが、そうでもないようだ。このモヤモヤは1本の立札が吹き払ってくれた。
江戸の文人たちは七福神を思いつき、六つまでは向島の地で見つけられたのだが、寿老人だけが見つからなかったそうだ。そこで登場したのが白髭神社で、白髭はつまり老人、そのままで寿老人となったとのことだ。この白髭神社の本社は琵琶湖にあるのだが、湖中に鳥居を構えているそうだ。


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白髭神社の本殿。右は寿老人の由来を示す立札。白髭神社のご本体は白髭の老人に違いないので、そのまま寿老人としたという由縁が書いてある。


21:21:13 | datesui | No comments |

09 March

#534.隅田川七福神巡り? −毘沙門天・多聞寺−

2月末から3月にかけて冷たい雨が降り続いていたが、なたね梅雨とのことだそうで少々驚いた。菜の花の咲くころ、つまり4月上旬と思っていたからだ。そんな3月に入って珍しく天気の良い日が訪れた。「よしっ、今日は遠出」と決め込んで向かった先が隅田川七福神だった。

隅田川七福神は東京墨田区の向島の隅田川沿いに広がっている。由緒はとても古く、江戸は文化年間に遡るそうだ。舟を設えてやってくるには丁度良い向島は文人墨客に愛された遊び所だったそうで、七福神も彼らが定めたそうだ。当時は向島七福神と呼んだらしい。
さて、その七福神。巡る最初は鐘ヶ淵の多聞寺からだ。地下鉄半蔵門線の押上から先は東武電車になり、押上、曳舟、東向島、鐘ヶ淵と駅が並び、鐘ヶ淵駅で下車をする。駅を出て北に向かって歩くこと10分、東京のレトロ感たっぷりの街並みを行き、隅田川と荒川が接近したあたりに多聞寺がある。

隅田山吉祥院多聞寺の山門は茅葺で見事なものだ。入口に説明の立札がある。読むと、江戸時代に創建されたままで残っていることが誇らしげに書いてある。この向島界隈は、震災つまり関東大震災での大火、戦災つまり太平洋戦争での東京空襲による大火、と相次ぐ大火災で二度も焦土になっているのだ。そこを潜り抜けたこの山門は立派で褒めてあげたいし、大切にしたいものである。
目指す毘沙門は本堂にあり正月には開帳するのだが、この日はお目にかかれなかった。だが境内はきれいで手入れが行き届き、六地蔵や映画人の墓碑なるものなどもあり、なかなか立派なお寺だ。


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多門寺の山門。茅葺は都内のお寺にはめずらしい。丁寧に保存したいものだ。左は多門寺の本堂。閑静な境内の中にどっしりと構えている。本堂の賽銭箱の横に隅田川七福神のパンフレットがある。コースのみならず、食事やお土産の案内まで載っていて必携の一枚になる。


11:18:40 | datesui | No comments |