Archive for 06 April 2009

06 April

#545.大きな宿題

北がロケットを発射した。当然ながら軍事転用が可能なので、長距離ミサイルの発射と同じことだ。結果としては、直接的な被害もなくまずは安堵ということか。ところが4日には誤報などがあり、政府の体制には必ずしもOKという訳ではいかないようだ。

車の運転をしていて狭いところを通り抜けるとき、助手席の人に左側の状況を見てももらうことがある。そのとき、助手席の人は状況を客観的に伝えることが重要で、判断を交えた情報は不要である。例えば「10センチぐらい」とか「5センチない」というような情報であって、「危ない」とか「ぶつかりそう」という「情報ではない。つまり、ここでは観測者と判断者が峻別されていることが重要であって、観察者に判断をさせてはいけないのである。

もうひとつ別の視点から、出て来るか来ないかの観測しているとき、出て来ていないのに出たと認知してしまうときと、出てきたのに気付かずにいるときがある。前者をあわてものの過誤といいαで表し、後者をボンヤリものの過誤といってβで表す。共に起きてはいけないことだが、αとβを比べたらβの過誤の方が深刻である。例えば指紋認証のセキュリティ装置があったとしよう。正しい人を正しい人と認知し、偽りの人を偽りと認知するのは共に正しい反応である。ところが正しい人なのに偽りと認知したり、偽りの人を正しい人と判断したりする過誤がある。前者は偽りと判断され甚だ不便だがセキュリティでの実害はない。ところが、後者はセキュリティが破られるという深刻な事態になる。前者の過誤は許せても、後者の過誤は絶対に許されない。そこで後者の過誤を防ぐ確度を上げるためには、前者の過誤への対策が必要になる。α型の錯誤は不確定段階をつくるなり、若干の猶予を講じておかないと後者の過誤の低減、絶滅には結びつかないように思える。

こんなことはプロの方々にしてみれば、とうの昔に終わっている話のはずだが、今回はどうだろう。わかりきっていたことに綻びが生じたようだ。危機管理体制はこのあたりから始まると思うのだが、発射されそうという情報が流れてからはハードの対策ばかりに気がいって、このような伝達ごっこの訓練やチェックに手抜かりはなかったのだろうか。


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