Complete text -- "#314.G?の陰で"

06 December

#314.G?の陰で

今週もデータ解析のしにくい2歳戦はG?だが回避して、土曜日の古馬のG?鳴尾記念を検討する。鳴尾記念は昭和26年、1951年の創設というから50年以上の歴史のあるレースだ。明治40年、関西競馬倶楽部が兵庫県兵庫郡鳴尾村に開設し戦前まで続いた鳴尾競馬場を記念したもので、阪神競馬場の伝統のレースだが今ひとつパッとしない。

テーマが定まらないのかいろいろ手が加えられ、去年から芝1800mになったが、そこまでには気の遠くなるような紆余曲折がある。なにしろ鳴尾記念というと、ワグナーの名作『さまよえるオランダ人』や聖書の伝説『さまよえるユダヤ人』を思い出すほどだ。この2つは『さまよえるユダヤ人』が発端で、呪いをかけられたユダヤ人が安住の地が与えられず死ぬこともできずに彷徨しつづけなくてはならない宿命におかれる話だ。これをオランダ人の船長に見立て換えをしたものがワグナーであり、音楽にかぎらず文学や絵画の世界でも取り上げられているモチーフで、日本でも芥川龍之介が関心を寄せ、『さまよえる猶太人』という作品がある。この鳴尾記念がまさに『さまよえる鳴尾記念』なのだ。

JRAのホームページを見ると1951年当初は春秋の年2回施行だったが、早くも3年後の1954年に年1回に変更されている。そのあと、施行期間が春になったり暮になったりめまぐるしく変わるが、狭い欄には書き切れなかったのだろうか「幾度か施行期間や距離の変更が行われ・・」という記述で、いきなり平成9年の1997年に飛んでしまうのだが、春の開催だったものが12月施行の2000mハンデ戦になり、そして去年1800mの別定戦になった。さらに、この間G?からG?への格下げも行われており、開催競馬場こそ変わらないが、まさに『さまよえる鳴尾記念』の面目躍如たるものがある。
鳴尾記念は当分なくならないだろうから、千八のG?別定戦が安住の地になるのだろうか。来年も番組の組み換えがあるが、幸いにも鳴尾記念は12月の第1週に据え置きになっている。暮の初めが渋い伝統レースの終の住処になることを願ってやまない。


【鳴尾記念】
◆63.5  レインダンス      最近の実績、タイム、勝負強さ
◆60.5  アドマイヤオーラ    最近の実績、格上位
◆60.0  ドリームジャーニー   最近の実績、タイム
◆59.6  シルクネクサス     最近の実績
以上がWsc55以上の推奨馬。以下は50以上の参考馬。
◇54.5  エイシンデピュティ
◇53.6  クランエンブレム
◇52.3  トウショウカレッジ
◇51.1  アドマイヤフジ
◇50.7  フィールドベアー


【展望】レインダンス、アドマイヤオーラ、ドリームジャーニーという3歳の実力派が3頭そろった。3頭ともクラシックでは善戦したが、力か運か今一歩足りずに涙を呑んだ。この力比べは大いに興味が湧くが、そこへ成績安定のシルクネクサスがモノサシの形で加わって、とてもおもしろくなった。
成績の内容からはアドマイヤオーラだろうが、故障明けの初戦の不安がある。一方、ここまで順調のレインダンスとドリームジャーニーだが、使われてきた距離などを考えるとレインダンスに分がありそうだ。シルクネクサスに勝たれるようでは3歳陣すべての水準が問われることになる。

【展開】エイシンデピュティが逃げて、セフティーエンペラ、クランエンブレム、が追走という先行集団が見られそうだ。
中段は緩やかな大きな集団になり、アドマイヤフジ、シルクネクサス、レインダンス、ハイアーゲーム、フィールドベアー、アドマイヤオーラ、トウショウカレッジ、の順で進みそうだ。
後方は、ナスノストローク、ドリームジャーニー、サンバレンティン、オースミグラスワン、サクラセンチュリー、が差のない状態で控えることになるだろう。
ハイアーゲームやオースミグラスワンあたりが早めに動いてくるかもしれないが、レインダンス、アドマイヤオーラ、ドリームジャーニーは待っての仕掛けになるので、シルクネクサスに間隙を突かれる心配もある。渋いレースにふさわしい渋い展開にもなりそうだ。


19:02:41 | datesui | |
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