Complete text -- "#40.春は西から、いや関東からも"
11 April
#40.春は西から、いや関東からも
今年の冬は寒かったですね。いやもう死ぬかと思いました。北陸の地では大雪で、災害も多かったようです。これでは本当に暖かくなるのかと心配したのですが、ちゃんと春になって桜も咲きました。自然の力には本当に恐れ入ります。その春のしらせは、なんと言っても桜の開花のたよりでしょう。昨日はあすこ、今日はここと、桜前線の動きを楽しむのは最も日本らしい春の風物詩です。
その桜のたよりですが、九州や四国から始まるのは、なんとなく納得してしまうのですが、そのあとの様子がおもしろいのです。次は関西かと思うと、どうも関東の方が桜の咲きは早いようです。京都にゆかり深いお友達が、「せっかちに咲く関東の桜、ゆっくり咲く関西の桜」と言っていて、大阪から東京へ移動してくる間に大阪では蕾だったのが、東京へ着いたとたん一気に咲いたようで、そう見えるらしいのです。
このことを、「今年も東京が早かった」と毎年のように思っていたのですが、いや、これだけ続けば「今年も」ということではなくて、「いつも東京が早い」ということではないかと思ってみたのです。
そこで理科年表を繙くと、「生物季節観測平年値」というデータがあります。ウメの開花に始まって、タンポポ、ソメイヨシノ、ヤマツツジ・・というように、いろいろな生物がいつ現われたという日本各地の観測データが、30年間の平均で載っています。これによると、東京と大阪のソメイヨシノの開花日はつぎのようです。
東京→3月28日、 大阪→3月30日 (いずれも、1971年から2000年までの平均)
30年間の実績でも、東京の方が2日も早いようです。これだけでは、おもしろくないので他のデータも見てみました。
まずは月別平均気温です。
1月 2月 3月(単位;℃)
東京 5.8 6.1 8.9
大阪 5.8 5.9 9.0
ほとんど差がありません。次に、日最高気温を見てみます。
1月 2月 3月
東京 9.8 10.0 12.9
大阪 9.3 9.6 13.3
少しですが、1、2月は東京の方が高いようです。その原因らしき日照時間を見てみましょう。
1月 2月 3月 (単位;時間)
東京 180.5 161.1 159.2
大阪 141.9 130.9 158.2
冬の東京は天気が良く、日中の気温が上がります。そのため樹木が春の準備を進めやすくなるのかも知れません。東京より西に位置して、雪深い日本海側でも、冷え込む高地や内陸でもないのに東京よりソメイヨシノの開花の遅い都市には、下関、広島、徳島(以上3月29日)、神戸、高松(以上3月30日)、岡山→3月31日、津→4月1日など、非常に多く、瀬戸内海から近畿地方までかなり広い地域で東京より開花が遅いと言えるようです。
Comments
コメントがありません
Add Comments
トラックバック
DISALLOWED (TrackBack)