Complete text -- "#284.王手"

19 October

#284.王手

プロ野球は今年からセパともにクライマックスシリーズを採用して、ポストシーズンが慌ただしくなった。まっ、おもしろくなったと言って良いのかも知れない。セパともに同じルールで、2戦先取の第1ステージ、3戦先取の第2ステージのあと4戦先取の日本シリーズとなる訳で、パリーグはシーズン成績1位の日本ハムが2年連続の日本シリーズ出場を決めた。セリーグは第2ステージの第1戦が終わったところで、まず中日が先勝した。もし中日がもうひとつ勝つと、第2ステージの勝ち上がりにあと1勝となる。

このようなあと1勝の状態をマスコミはなぜか「王手」という。これには違和感を抱くのだが、王手とあと1勝は意味が違いはしないかということだ。将棋では王手をかけたからといって、必ずしも次は勝てるとは限らないのだ。むしろ、王手は追う手と言って、下手な王手は相手の王将の逃げるのを助け、捉らなくなることさえあるのだ。

「いよいよ王手です。」などとスポーツ担当の女性キャスターも当たり前のように王手を使っているが、どこから始まったのだろう。この王手の誤用を最初に聞いたのは30年以上前になるがロッテの監督をしていた金田正一からだ。中日との日本シリーズで第5戦をロッテが勝ち、3勝2敗になったところで、「さあ、王手だ」と言ったのを覚えている。王手じゃ追い詰めたことにはならないので、金田は変なことを言っていると思ったのだが、次の日のスポーツ新聞には「カネやん王手!」というデカイ見出しが躍っていたのだ。将棋の世界では王手をかけないでも勝つことがあるし、かけるときは即勝ちの場合なのだが。


00:25:03 | datesui | |
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