Complete text -- "#307.読書シェアリング"

25 November

#307.読書シェアリング

読みたい本があるのは結構なことだが、どういう訳か重なることがある。軽い本なら一気に片付けてしまって、次ということも可能だが、重厚な本になるとそうはいかないので何冊か並行して読むことになる。2、3冊なら併読も無理なく読み進むことができるが、4冊を超えると難しくなる。内容が混乱するというのではなく、進度にバラつきが出て併進できなくなるのだ。つまり、結果として2、3冊の併読と変わらないことになるだけなので、それなら少し待った方がいいことになる。

一方、本は出会いが大切で、読める時読まないと読む機会を逸することになる。また、一生のうちに何冊本が読めるかということを考えると、実は大して読めないことがわかる。1週間に1冊読んでも1年で50冊だ。50年かけても2500冊にしかならないのだ。すべての本に出会うことは不可能だし、書店にあるものも限りがある。しかも買いそびれると忽ち書店の棚から消えてしまう。そうすると2度と会うことはできず、結局読まずに終わってしまうのだ。
ところが、最近はアマゾンのようなネットでロングテールを探すことができるので、一度限りの出会いというのは緩和されたようだ。思いついたときに検索してみると欲しいものが見つかるだけではなく、程度の良い古本が安く手に入るのがとても嬉しい。これで、読み損じた本もずいぶん読めるようになった。

先日、長年探し続けていた本が突然見つかった。熊倉功夫著『後水尾天皇』という本で、#301の中世好きの行き着くところとして読みたい一冊だった。中世、特に足利時代に多彩な諸芸が興りダイナミックに展開されてきたが、それが統合されひとつの到達点になったのが後水尾天皇のサロンだと思えるからだ。早速、手にできて嬉しかったのだが、運悪くちょうど4冊併読に入ってしまった時だった。暇のあるときは不思議と手に入らなかったが、こんな時に限って欲しいものが手に入るとは何たる星の巡りあわせであろうか。仕方なく傍に置いてあるが、4冊併読の合間に1ページほどを読んでは4冊へ戻るという何とも哀れな状況である。


00:00:50 | datesui | |
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