Complete text -- "#115.芥川の賭博観"

25 July

#115.芥川の賭博観

7月24日は河童忌だった。さすが芥川龍之介、暑い最中に死ぬとは天才業など思ったりしたものだった。小学生のころから読書が苦手で、特に長編が嫌だったので、芥川はありがたかった。だから高校卒業まで、読んだものは推理もの以外では芥川だけだったようだ。芥川自身もあの集中力では、長編にはとても持ち応えられなかったと思われる。

その芥川で、試験などに出てくる『侏儒の言葉』は読めばメリットもあったので比較的楽しみながら読めた。「天才」という項で、「天才とは僅かに我我と一歩隔てたもののことである。只この一歩を理解する為には百里の半ばを九十九里とする超数学を知らなければならぬ。」とあったのは、当時数学で対数を習ったばかりで、まさに超数学を手に入れたと勘違いしたときであった。自然科学にはこのように勘違いさせることがやたら多い。加えて教科書どおりの実験と公式代入で、どれほどの勘違いの増幅と増産をしただろうか。

芥川は続ける。これは高校生のころはさすがに眼に止まらなかったのだが、「賭博」という項で、「偶然即ち神と闘うものは常に神秘的威厳に満ちてゐる。賭博者も亦この例に洩れない。」と、言っていただいている。競馬好きの早来にはもったいない限りの言葉だ。JRAも競馬はバクチとはっきり決めて、安っぽいタレントの起用の替わりにこの言葉をテレビのCMに流したらいかがだろうか。



06:00:00 | datesui | |
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