Archive for March 2006

15 March

#22.お風呂と紅茶

昨日は寒かった。でもお天気が良かったので、上野毛の五島美術館へ行ったら、大混雑で、なんと2時間半待ち。ひところのボーリング場を思い出した。いくら暇な身とは言え2時間半も待てないので、写真だけ撮って引き上げた。身の心も寒い1日になってしまった。

大賑わいの五島美術館。『よみがえる源氏物語絵巻』を開催中。
<写真【1525】は削除しました。ご要望いただければ再掲します。>

これを見たら、帰りたくなった。
<写真【1524】は削除しました。ご要望いただければ再掲します。>

こんな寒い日にお風呂に浸かると、言いようのない至福の境地になる。お風呂はありがたい、しかも、ささやかだが楽しみもある。お湯の表面をリズム良く叩くと、波が同心円状に広がっていく。この波の輪はバスタブの縁に到達し、水泳選手のようにターンをして折り返してくる。手元で送り続けている波と、折り返してくる波が出会うところは、進むでもなく、返すでもなく、その場で上下動を繰り返すだけになる。同じリズムで波を送り続けている限り、その場での上下動は変わらない。これが高校時代から物理の時間で習っている定常波なのだが、黒板に描かれた図や教室で先生が見せてくれた実験ではイメージがつかめなかった。いつだったか、バスタブの縁に向かって進む波と縁から返ってくる波が、お互い吸い込み合うようになるのを見て、突然、定常波という言葉が思い浮かんだ。それ以来、美しい定常波つくりが風呂の楽しみになった。実に、ささやかだ。

紅茶を飲むと、葉が浮かんだり、カスが底に沈んだりする時がある。高級な紅茶ならこんなことは起きないだろうが、うちで飲むときは頻繁に起きる。お砂糖を入れて飲むときはスプーンで紅茶をかき回すが、表面に浮かんだ葉っぱのようなものが飲むのに邪魔になる。遠心力で外へ広がり、カップの縁へへばりついてしまうのだ。息をかけて飛ばしてみるのだが、どうも飲みにくい。なんとかならないかと思って紅茶をしばし見つめていると、底にも紅茶のカスが溜まっているが、良く見ると真中にお行儀良く集まっているのだ。これはズルイ、何で表面に浮かんだ葉っぱも真中に集まらないのだ。と思ってみたものの、やはり広がる方が普通で、集まるには何かの訳がありそうだ。
かき回された紅茶には遠心力が働くので、紅茶は外に広がっていく。回転が強ければ遠心力も強くなるのだが、底の方の紅茶は底面の抵抗で回転が弱まる。回転が弱ければ遠心力も弱くなるので、遠心力の強い上の紅茶から下へ押されて、紅茶はカップの面に沿って下へ降りる。底へ到達した紅茶はそのままの勢いで真中へ集まることになる。そして真中に集まった紅茶は更に後続の紅茶に押されて中央部分を上昇し、表面近くまで昇ると遠心力でカップの縁の方向へ広がる訳だ。これが循環となって、軽い葉っぱは縁に引っ掛かって止まり、紅茶より重いカスは底の中央に集まることになる。
何の気なしにスプーンでかき回した紅茶が、こんな複雑な流れになっているとは思わなかった。紅茶と同じ重さで、紅茶と混ざりにくいミルクでもあったら面白い確認ができそうだが、上等な紅茶を飲んでいたのでは思いつかなかったことだ。


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07 March

#16.2つの春

6日は旧暦2月の正節、啓蟄でした。啓はひらく、蟄はとじこもるの意味で、冬の間穴に閉じ篭った虫たちが動き出してくるということでしょう。この啓蟄は二十四節気のひとつと言われていますが、二十四節気は中国古代につくられた季節の分け方で、農業がしやすいように24に分けたものです。区分された1つ1つを節気と言い、24ということは各月に2つずつ節気があるわけで、それぞれを正節、中気と呼ばれています。旧暦の各月7日ごろに最初の節気があって、正節と言います。その約15日後の節気を中気と言います。旧暦1月の正節である立春から始まって雨水を経て3つ目の節気が啓蟄で、冒頭の通り旧暦2月の正節となる訳です。雨水の水の動きに次いで虫も動き出し、いよいよ春ということです。
そんなところに、同じ6日、春一番が吹きました。これも昔から言われていたことなのですが、気象庁が科学的に春一番の定義をしました。?立春から春分の間、?日本海に低気圧があって、それが南から風を引き込む、?関東、特に東京で8m以上の風が吹く、?前日より気温が上がる、という条件を満たすと晴れて「春一番」となるようです。気持ちの上では春一番が吹いたようでも、4つの条件を満たさないといけないので、お上の決めた春一番がついに吹かなかった年もあったそうです。
今年は、予め暦の上に決めておいた春である啓蟄と、地球が実際に暖まってきた証としての春一番が一致しました。今季の冬はとても寒く、骨身に応えました。これで間違いなく春だと思うと、年寄りには喜びひとしおです。

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02 March

#13.得なようで

「じゃんけんを3回やって、俺が2回以上勝ったら俺の勝ち、そうでなかったらオマエの勝ち。」ということで、1000円ずつ賭けたとしよう。受けて立った方がお徳のように聞こえるかもしれない。実は、これはフィフティ・フィフティ、2回勝つ可能性は双方まったく同じなのだ。
じゃんけんを3回すれば、その勝ち負けのパターンは8通りあって、○○○、○○×、○×○、○××、×○○、×○×、××○、×××である。このうち、○が2つ以上あるのは、○○○、○○×、○×○、×○○の4通りあって、じゃんけんの強さに特別なかたよりがなければ、2勝以上する可能性は50%である。
「3回やって、2回以上・・」と気楽に聞いていると、2勝1敗で賭け金は1000円対2000円のような気がしてしまうが、1000円どうしでイーブンである。仕掛けた側からすれば、1000円どうしでは儲からないので少し値段を上げたいが、いくらにすれば「シメタ」と勘違いして乗ってくれるだろうか。1100円などという半端なお値段でも相手が訝るだろうし、やはりお金儲けは難しい。


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