Archive for 23 May 2006
23 May
#69.コンドル Prat?
N先生の名著『東京下町散歩25コース』の「近代化遺産を訪ねる」コースめぐりは、最初のひとつで挫折してしまったが、名誉挽回、その次の湯島の「旧岩崎邸庭園」に出掛けた。英人建築家ジョサイヤ・コンドルの設計の旧岩崎邸は、1896年(明治29年)に完成した。完成時は、野球のグランド4つ分に相当する5万平方米の敷地に20棟の建物が林立していたが、現在は洋館、和屋、撞球室の3棟が残っている。
正門からなだらかな坂を上り、左に曲がると入口がある。入園料の400円を払う前から正面の堂々としたファサードが見える。入場券と「時の風が吹く庭園」と題したパンフレットをもらい、改めて木造2階建ての洋館を見上げる。基本的には英国のジャコビアン様式なるものらしいが、ルネサンスやイスラムなど、さまざまな様式が取り入れられている。木造ではあるが、重厚感は十分という趣だ。まずは1枚、デジカメのシャッターを切った。どんなものか写り具合を確認したら、手前の棕櫚の木も何本が写っていて、異国情緒が妙だった。棕櫚を外してもう1枚撮ってみた。今度はイギリス風の重厚さが出た。
棕櫚で変わった雰囲気なる。イーグルスの名盤『ホテル・カリフォルニア』風にみえる。棕櫚を外すと一変イギリス風だ。
コンドルは1877年(明治10年)に来日、工部大学校造家学科(現在の東大工学部建築学科)の初代教授に就任し、日本で初めて本格的な西洋式建築を教育した。門下には、東京駅を設計した辰野金吾、赤坂離宮を設計した片山東熊などがいる。自身の設計も多く、先日の旧古河邸、鹿鳴館、上野動物園、ニコライ堂などがある。日本最初の建築設計事務所の開設など、1920年(大正9年)日本で永眠するまで、実務においても日本の建築界に尽力した。
南側は大きな庭だった。広い芝生と鬱蒼とした木々の林があったが、林の部分は和式の庭園だった。芝生の端から洋館を眺めると、柱列を配した南側のベランダは重厚感の中にも、明るさと開放感のある。よく見ると、1階と2階で微妙に様式が異なっている。中に入るため北側に戻る途中に撞球室がある。日本最初のプールバーということか。
内部は1階が玄関、食堂、厨房など、2階は客室や集会場があったが、2階の女性用の客間か壁紙のアラベスク模様が心和むものだった。2階のバルコニーからは外が眺められ、広い芝生の景観が楽しめる。ここでも、バルコニーの床はアラベスク模様が綺麗だった。1階の食堂で女性楽師4人による弦楽四重奏のコンサートがあった。建物の雰囲気に良くあっていて、1時間ほど楽しませていただいた。また、今日も「もはやこれまで」となってしまった。N先生、ごめんなさい。
洋館の南側。柱列を配したテラスが美しい。2階からは広い芝生が優雅な気持ちにさせる。
これが、日本最初?のプールバー。
旧岩崎邸の裏は、かぐやひめの歌でお馴染みの無縁坂。この先は東大病院へつながる東大の竜岡門だ。
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