Archive for January 2007

17 January

#189.心象数字

聞きなれない言葉だと思いでしょうが、始めて使う言葉です。先日、先輩というよりは先生というお方から本を送付いただきました。マイケル・ルイス著『マネー・ボール』という本です。アメリカ大リーグ、オークランド・アスレチックスの辣腕ゼネラル・マネージャー、ビリー・ビーンが展開した、お金を掛けずして成績を向上させた成功談が綴られています。それには徹底した客観性、それをさらに突き進めて科学性を前面に押し出した球団運営なのですが、今までなぜか球界では受け入れられずにきたのです。そのあたりの苦労話や自慢話を織り交ぜて書かれた、とても面白い本でした。

その運営の基礎となる科学性を支えるのは数字ですが、勝利の要因を数字で示すことから始まる訳で、その分析は数字のカタマリの好きな早来にとっても読み応えのあるものでした。その中で使われていたのが、「心象数字」という言葉です。
マイケル・ルイスは、「心象数字」を読み取ると情景が湧いてくるという数字といっていて、まさにその通りです。数字の分析は、目的の方向に向かって手を加えられますが、すると数字は姿を変えてしまうので、意味の把握が足りないと訳のわからないことになります。ところが良く吟味して数字を眺めたり、見つめたりすると、その情景が目の前に手に取るように浮かんでくるのです。

毎週金曜日に掲載させていただいている『早来リポート』ですが、あそこに登場するする数字は、ウィニングスコアという過去のデータの数字を、変形させたり組み合わせたりして弾き出した数字です。当然なことですが、ウィニングスコアは一気に計算できたものではなく、その前段階の指標があります。最近の実績、走破タイム、勝っぷり、先行力、末脚などを表す指標があって、それぞれ心象数字です。ウィニングスコアはその指標を組み合わせてできる訳です。その指標のひとつの早来スコア(Hsc)は、最後の3ハロン(600m)で馬群の中でどれだけ前に出るか、また後退するかを表しています。4コーナーを回ってからゴールまでの様子が、早来スコアを比較することで、ビジュアルで浮かんでくるときもあります。


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