Archive for March 2007

30 March

#227.谷間の地味系

月が変って、4月の11日が桜花賞、18日は皐月賞だ。クラシックへ向けて準備が忙しいが、次回はその前週、谷間の週で地味系のレースが用意されている。
中山はダービー卿チャレンジトロフィー(G?)、阪神は大阪杯(G?)だ。大阪杯は芝2000mなので、春の天皇賞への最終便という位置づけになるかもしれないが、ダービー卿CTは芝の1600m、安田記念には少し遠いか。という訳で、とびきりのオープンクラスの登場がなく淋しい感は免れないが、調子の整わない馬や上昇過程の馬もいるのでじっくり狙いたいところだ。おまけに例年高配当連発のレースなので、クラシックの軍資金調達、もしくは射幸心を満たすには絶好のチャンスだ。
さて、データベースはというと、驚くほど冷静だ。推奨馬は僅か4頭。自信満々、困ったものだ。

              Wsc  RRsc  RTsc  DfWL   Asc   Hsc  L3Ts
◎ ダンスインザモア   67.9  66.3* 55.0  −0.1* −1.2   3.4* 55.3
○ サイレントプライド  64.4  55.1* 51.0   0.2*  2.1*  1.3  52.7
▲ グレイトジャーニー  59.2  56.3* 62.0* −3.4  −1.0   2.5* 55.4
△ デアリングハート   56.4  55.4* 51.3  −1.7*  1.7  −2.4  43.2
  マイネルレコルト   54.7  46.6  50.1  −2.2  −0.9   4.3* 56.0
  コイウタ       51.4  41.7  57.9  −2.9   1.2   0.5  50.7
  インセンティブガイ  50.3  45.6  57.4  −4.7   1.5  −1.4  54.3
  ニシノデュー     50.3  51.3  63.8* −4.4   3.1* −2.8  40.5
  ブラックカフェ    49.7  45.7  53.3  −3.1  −1.5   3.4* 56.9
  ピカレスクコート   48.3  41.6  57.5  −3.1   2.2* −0.6  49.9
  ロジック       47.3  49.4  41.7  −3.8  −0.2   0.0  47.7
  ロードマジェスティ  42.2  34.2  61.8* −5.7  −1.2   1.7  54.2
  ダイワバンディット  41.5  36.0  61.5* −5.5   2.0* −2.1  42.9
  ウインクリュ−ガー  40.9  37.4  39.3  −3.8  −0.2   1.2  49.3
  ロイヤルキャンサー  25.6  26.3  39.5  −5.5   1.5  −4.1  36.7

    ・Wsc  :ウィニング・スコア→上位入着の可能性を示す総合指標で以下の指標から算出
    ・RRsc :最近の実績→6か月以内の直近3レースの実績を示す
    ・RTsc :タイム→最近のレースでの走破タイムを示すスコア
    ・DfWL :勝っぷり→勝った馬はどれだけ突き放したか、負けた馬はどこまで粘ったかを示す
    ・Asc :先行力→先行した実績を示すスコアで、高いほど先行している
    ・Hsc  :末脚→上り3ハロンの馬群の中で相対的に前に出たか後退したかを示す
    ・L3Tsc:末脚?→上り3ハロンタイムのスコア


展望は、成績安定のダンスインザモアに、グレイトジャーニー、デアリングハートの既成勢力とサイレンとプライドの新勢力が挑む形になろう。ダンスインザモアはここを勝って、安田記念への道筋をつけたいところだろう。対する上昇赤マルの4歳、サイレントプライドはここを勝てば一気に本格化で、一躍安田記念の有力馬になるだろう。

展開は、先行力抜群のニシノデューが出走してきてレースがおもしろくなった。逃げていただけるものと期待している。続く先行グループも健在で、ピカレスクコート、サイレントプライド、ダイワバンディット、がカタマリにかって追いかけるだろう。
中段は前の方に、デアリングハート、インセンティブガイ、ロイヤルキャンサー、コイウタ、が位置取り、後半には、ロジック、ウインクリューガー、がつけることになろう。
そして後方に控えるのが、マイネルレコルト、グレイトジャーニー、ダンスインザモア、ロードマジェスティ、ブラックカフェ、となるだろう。

推薦洩れになった低迷気味の馬の中には、持ちタイムの優れたかっての実力馬もいるので、坂上で思わぬ光景も期待できるかもしれない。


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29 March

#226.お酒と朝型生活

泣かし屋の達人、浅田次郎は小説家としても一流だが、他のことでも浅田次郎独特の一家言はとても素晴らしい。駆け出しの作家のころ、家計を支えたブティック稼業も素晴らしいが、勝たなければならなかった競馬もお見事だ。もうひとつ、浅田のお酒の一言が面白い。あの顔をして、お酒は全くの下戸とのことだ。ブティックを営んでいたころ、彼は夕食が終ったあと普通の作家なら、ここで一杯となるらしいのだが、彼は飲めないこともあって、自室に篭り執筆活動をしていたそうだ。二足の草鞋とお酒を飲めないことが、こんなライフスタイルにさせたのだろう。浅田は、お酒を飲むとお酒を飲む時間がもったいないのは当然として、そのあとの時間も無駄になるのが惜しいという。全くの下戸なので酔っ払っては商売にならないのだろうが、起きてはいるものの働かない体が惜しかったことだろう。普通の酒飲みなら、酔っ払った気分を楽しむものなので、飲んだあとはむしろ至福の時であり、このために酒を飲むわけだ。

会社の先輩に朝早く来る人がいた。良く朝早く来られますね、と声を掛けたら、飲んで帰るとそのまま寝ちゃうので、朝早く目が醒めちゃうんだ、との弁。なるほど、少しでも飲んでしまうと何もできない、それなら寝るのが一番だ。家へ持ち帰りの仕事があるとき誘われ、良い加減で切り上げて帰ったが、結局お酒が抜けるまで仕事にならなかったことがある。そんなとき朝型生活を知っていたら、さっと寝ることができたはずだ。でも、慣れない早寝をしても、起きられなかったらどうなったのだろうか。もし実行していたら、恐ろしいものがある。宵っ張りの朝寝坊は60歳になっても健在だ。



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27 March

#225.七は七福神

先日、五色不動、六地蔵、六阿弥陀の話をした。この続きは七で、七とくれば七福神である。お不動様も、お地蔵様も、阿弥陀様も馴染みが深いが、馴染み深さなら七福神を置いて右に出るものはない。当然のこと、落語にも登場している。
大店の旦那が店の番頭や手代を集めて酒を振舞った。酒のせいか普段気の利かない手代が口を開いた。
手代:「この家を七福神が取り巻いて・・」
旦那:「オッ、嬉しいことを言うね。さっ、その続きは・・」
手代:「貧乏神の逃げるところなし」

江戸時代の七福神巡りは、谷中七福神参り、向島七福神参り、山の手七福神参りの3コースが確認できる。文化文政時代には、早い春と幸運を求めて郊外の七福神を巡ったのである。また、江戸の神社仏閣は行楽地と重なり、しだいに江戸の名所として多くの出版物によって紹介されたことにより、江戸の人たちばかりではなく、地方から来た人びとの江戸巡りを盛んにさせたようだ。3コースのうちの谷中と向島のお参りコースは現在と同じようだ。
現在の七福神巡りは、山川出版社の『東京下町散歩25コース』に手頃な案内がある。都立の高校の先生をしているNさんがお仲間と書き上げた懇切丁寧なガイドブックで、下町のミシェランともいえるものだ。その第19コースが『七福神巡り』となっていて、深川、日本橋、谷中、下谷、隅田川、亀戸の6コースが紹介されている。

まずは深川七福神巡りだが、都営地下鉄の森下駅の近くにある深川明神宮の寿老人から、門前仲町の富岡八幡宮の恵比寿までのコースになる。森下駅から清澄通りを背骨に、肋骨を右へ行ったり左へ行ったりして門前仲町まで、下町風情を楽しみながら南下することになる。このコースには、芭蕉記念館、清澄庭園、深川江戸資料館などもあり、コース設定は2時間半となっているが、七福神を巡るだけの時間と思いたい。さらに、森下や門前仲町の界隈は粋な居酒屋の宝庫でもあり、当然そのお時間も考慮して掛かりたいものだ。

次は、日本橋七福神巡りだ。東京メトロの人形町駅界隈をぐるっと周回するコースで、中心は何と言っても水天宮様だ。ここは弁財天で安産の神様として有名なところだ。お腹の大きな女性の姿も見え、周辺はマタニティや出産用品のお店も多い。江戸の粋人大田蜀山人が、「恐れ入谷の鬼子母神、そうで有馬の水天宮」と言ったそうだが、少子化対策が叫ばれている昨今を見越したか、安産と子育てをセットにして戯れ言葉を作るあたり、江戸の粋人は本当に洒落ていたんだな。人形町も言わずと知れたグルメ街、洋食屋やお寿司屋、鳥にスキヤキ、そして洒落たビストロ、さらに人形焼などお土産にも事欠かかない。

3つ目は谷中の七福神だ。これは上野駅から歩いて不忍池にある弁天堂から始まり、田端駅まで北上するコースだ。静かな佇まいが楽しめるが、木々が多く気持ちも癒されることだろう。このへんは高校時代のテリトリーだったので懐かしいが、弁天堂に妙な感覚が残っている。まず、この弁天様は芸事の神様らしくお堂の横に大きな石の琵琶がある。この琵琶に使い古した三味線のバチなどを納めておくと腕が上がるということらしい。また、弁天様につきものは蛇で、巳成金と言って巳の日などが縁日になっていた。上野の周辺は商人や客商売が多く、巳成金は大繁昌だった。それだけではなく妙な色気を感じてならなかったのだ。芸事、お金に2つからでは、到底言いようのない女ッ気プンプンの神様だった。

4つ目は下谷だ。小さいころ住んでいたのだが、ほとんど知らないものばかりで意表を突かれた。JRの鶯谷駅から東京メトロ日比谷線の三ノ輪駅までのコースだ。その2つ目が真源寺、朝顔市で知られた入谷の鬼子母神である。このお寺が寿老人とは何度も行っているくせに知らぬとは恥ずかしかった。コースの前半は根岸のグルメ街があり、後半は樋口一葉記念館に立ち寄ることもできる。もっとも少し勢いつければ千束3丁目、吉原だ。

5つ目の隅田川七福神めぐりは、谷中と同様、江戸時代に向島七福神と呼ばれていたものと同じと思われる。東武線の鐘ヶ淵駅から隅田川沿いに南下して、同じく東部線の業平橋駅までのコースだ。江戸は文化年間、文人墨客の間で愛されたお参りのコースだったそうだ。今でも墨田公園の桜が隅田川の両岸で楽しめるので、そろそろお奨めというか、人出が凄いことになりそうなコースである。長命寺の桜餅、言問い団子など、眼福のみならず、満腹も期待できそうだ。

最後は、亀戸七福神巡りである。JRの亀戸駅から北へ向かうと蔵前橋通りに出るが、その蔵前橋通りとその北の北十間川の間にある七福神だ。恥ずかしながらこのコースの神社仏閣にはひとつも行ったことがないが、地図を見た限りではコンパクトにまとまっていて歩きやすそうである。コースの途中にかの有名な亀戸天神があるが、藤の季節、例年は5月の初めだが今年は自信がないが、その季節には多くの人で賑わう。亀井のスイーツといえば船橋屋、ここのくず餅は絶品といえよう。

さて、調子に乗って、書きまくってしまったようだが、6つのコースが登場した。あとひとつ、近所のでも、自分のお気に入りでも、手持ちがある方はそのまま加えていただき、ない方はコースを新設されると7コースになる。七福神巡りが7コース、七が重なって良い塩梅だ。
規制の厳しかった江戸庶民は、信仰にかこつけてささやかな物見遊山を楽しんでいたのだろう。


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26 March

#224.早来の一周忌

明日の27日は私、早来の一周忌だったそうだ。恥ずかしながら自分の命日も知らぬまま亡くなっていたようだ。というのも、『伊達や酔狂です』の著者、競馬文化人早来新市の名前の由来である北海道の早来町が、町村合併で去年の3月27日に消滅していたのだ。早来町がなくなっていたのも知らずに別の話題で調べたら、安平町に変っていたことがわかった。
元々は1906年に安平(あびら)村で出発したものだが、1952年に追分村が分村したため1954年に安平村が早来村となった。1957年に町制を施行し、北海道勇払(ゆうふつ)郡早来(はやきた)町となったものだが、それを2006年元の縁りを戻すように追分町と合併し、名称も昔の名前に戻って安平町になったそうだ。そうのような事情があるので、仕方なくひとりで自分の一周忌を悼んでみることにした。

では、新市はどうだろうか。新市は競馬の聖地、英国のニューマーケットに由来している。英国の市町村合併や名称の変更の情報まで到底つかみきれないが、伝統の国、英国のことだ変更ナシと思っている。海外の地名の大々的な変更は、今から40年ほど前、ソ連でスターリン批判があり、スターリンの名のつく地名が悉く抹殺された。300にも上る地名の変更をしたソ連当局はこれでスターリンの地名や駅名は全て消えたと豪語したが、さすがフランス、早速揶揄を入れた。パリの市内にスターリングラードという地名があるのだ。当時の新聞には、「どっこい、ここまでは変えさせないぞ」という記事が載っていた。メトロの駅もあり、30年ほど前に行ってみたが、降りずに通過した。なにせ東駅の北側、いかにも場末、場末していて、とても怖くて脚が動かなかった。
スターリンはともかく、自分で自分を悼んでみるのは案外おもしろいかもしれない。


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23 March

#223.元気な中京圏

今年のG?の第2戦、高松宮記念は数えて37回目になる。96年の26回からG?に格上げになったので、G?では12回目になる。開催も5月だったものが3月になり、シルクロードS、阪急杯、オーシャンSというステップレースが完備され、今の姿になったのは2000年と思える。その7年を振り返ると、走破タイムは1分7秒台が僅か1回、平均も1分8秒26で、遅くはないが決して速くもない。また、単勝の平均も824円で意外と高く、単勝1000円ぐらいの人気の馬が飛び込む可能性も十分あることが考えられる。まっ、昔の競馬新聞なら伏兵潜伏という見出しが躍るレースだ。今をときめく元気な中京圏のG?レースだ。結果もビックリするほど元気なものになるかもしれない。早速、データベースの見解をみてみよう。
              Wsc  RRsc  RTsc  DfWL   Asc   Hsc  L3Ts
◎ プリサイスマシーン  61.4  71.7* 64.2* −1.2   2.2* −0.2  49.7
○ マイネルスケルツィ  60.4  74.3* 63.2* −0.7*  1.8  −1.2  35.8
▲ スズカフェニックス  60.1  67.8* 67.1* −0.3* −0.1   2.1  41.5
△ エムオーウイナー   60.0  63.5* 57.6   0.7*  2.4*  0.4  63.1
△ スリーアベニュー   59.9  62.2* 62.9* −0.1*  0.3   2.4* 52.6
△ シーイズトウショウ  59.5  61.7* 50.0   0.4*  2.3*  0.1  61.9
△ サチノスイーティー  56.8  65.3* 63.4* −1.7   1.8  −0.2  53.9
△ タマモホットプレイ  55.0  60.8* 59.0  −1.9  −0.9   2.2* 61.2
  スピニングノアール  52.2  55.4  61.2* −3.1  −1.3   4.2* 68.4
  ビーナスライン    50.9  54.9  61.4* −3.3  −0.4   2.4* 61.0
  アンバージャック   50.7  55.9  57.2  −3.1  −0.1   0.8  57.5
  ディバインシルバー  49.4  45.2  59.1  −3.2   3.6* −4.3  50.5
  オレハマッテルゼ   45.1  44.4  57.8  −5.0   1.7  −0.9  45.4
  リキアイタイカン   39.3  41.7  53.4  −6.5  −1.1   1.2  56.9
  キーンランドスワン  38.0  36.8  41.4  −5.0  −0.6  −1.7  57.0
  ペールギュント    36.8  36.4  49.0  −5.6  −0.3   0.6  35.1
  モンローブロンド   34.1  28.4  47.0  −6.3   1.0  −0.3  48.5
  コスモフォーチュン  30.4  32.6  34.3  −8.1   2.1* −0.5  59.2

 ・Wsc  :ウィニング・スコア→上位入着の可能性を示す総合指標で以下の指標から算出
 ・RRsc :最近の実績→6か月以内の直近3レースの実績を示す
 ・RTsc :タイム→最近のレースでの走破タイムを示すスコア
 ・DfWL :勝っぷり→勝った馬はどれだけ突き放したか、負けた馬はどこまで粘ったかを示す
 ・Asc :先行力→先行した実績を示すスコアで、高いほど先行している
 ・Hsc  :末脚→上り3ハロンの馬群の中で相対的に前に出たか後退したかを示す
 ・L3Tsc:末脚?→上り3ハロンタイムのスコア(Hscのスコアもこのスコアが低くては意味がない)

展望としては、プリサイスマシーン、マイネルスケルツィ、スズカフェニックスが3強というところだ。実績のマイネルスケルツィ、内容のスズカフェニックス、バランスのとれたプリサイスマシーンということろか。この3強に挑む伏兵群が多士済済だ。古豪新鋭、東西、オスメスに加えて、先行に追い込み、脚質も多様で展開でも一変しそうだ。

展開は、1200mなので枠順にもよるが、ディバインシルバーが逃げる。続く先行グループは、エムオーウイナー、シーイズトウショウ、プリサイスマシーン、コスモフォーチュンが形成する。
中段の前の方は、マイネルスケルツィ、サチノスイーティー、オレハマッテルゼ、モンローブロンドは占め、後の方には、スリーアベニュー、スズカフェニックス、アンバージャック、ペールギュント、ビーナスラインがつけるだろう。
後方は、キーンランドスワン、タマモホットプレイ、リキアイタイカン、スピニングノアールという展開になるだろう。

週間天気予報では、天候の悪化が心配されるが、そんなものは元気な中京に吹き飛ばしてもらって、好レースを期待したものである。


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