Archive for April 2007

19 April

#238.この歳でビックリ

先日のN響アワーで池辺晋一郎が吹奏楽の話をした。中学のころブラスバンドなるもので頑張っていたので、とても懐かしく嬉しかった。吹奏楽には、アルトとかバリトンという特有の楽器があったりして、吹奏楽の現場にいた者だけが知りえるようなことが結構あるのだ。池辺晋一郎は吹奏楽の経験があるらしく、その辺のお話を臨場感豊かにしてくれたことに気持ちの良い共鳴ができた。

このアルトとかバリトンは、アルトホーンとかバリトンホーンとか呼ぶのが正しいのだろうが、チューバを少しずつ小さくしたような楽器で、ヴァイオリン、ビオラ、チェロ・・というように同じ形で大きさの違う、アルト、バリトン、小バス、中バスという楽器の仲間で構成されている。これらの仲間のことを族、英語でfamily、といっているが、最も有名なのがヴァイオリン族で、前出の3つにコントラバスを加えた4つの楽器で構成されていることはご存知だろう。木管楽器ではオーボエ族が最も大きく、オーボエ、イングリッシュホルン、バスーン、ダブルバスーンと立派な一家を形成している。金管での族は目立ちにくいのだが、吹奏楽になるとアルトとかバリトンなどが幅を利かしてくる。ところが、お恥ずかしいことにこれらが何族か知らなかったのだが、先日初めて知ることになった。

それは、池辺晋一郎がサキソフォーン族の説明をしたときに、サキソフォーンを発明したアドルフ・サックスが、このアルトやバリトンの一族も開発したというのだ。全くの初耳でビックリもしたが、N響アワーで吹奏楽にしか出てこない楽器のことを聞けるとは、この世の中案外いい世界だと思ったりした。肝心の族の名前は聞き落としてしまったが、アドルフ・サックスを頼りに調べたら、「サクソルン族」であることがわかった。ブラスバンドを始めて50年近くになるが、長生きはするもんだということをつくづく感じた次第だ。


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12 April

#234.法規制と移行の現場

このところ暖冬の勢いが止まったのか肌寒い日が気になる。3月に入ったころは、桜の開花日も史上最速をどんどん更新して、菖蒲や藤も4月に終ってしまうような気がしたものだ。反動とでも言うのか、これで少しは良い塩梅なのかもしれない。そんな訳で、例年とはどんなものなのか神宮館の暦をみていたら、4月11日はメートル法公布記念日ということだった。1921年の制定だが、実際に施行されたのは戦後の1954年だった。小学校の5年か6年だったころ、メートル法に切り替わったことを憶えている。

当時は、八百屋も魚屋も肉屋もパック入りなどはなく全て計り売りだったから、お店の表示は大変な騒ぎだった。それまで使用されていた尺貫法によれば単位は匁(もんめ)であり、100匁は375gに相当していた。という訳で、店頭は一斉に400g××円という表示に変ったのである。沖縄では20年程前まで600g単位の販売がされていたが、沖縄では1斤が使用されていたそうである。もっとも東京でもお年寄りの聞くと、お茶や砂糖は斤が使われていたそうである。さらに裁縫などでは密かに尺貫法が使われつづけ、裁縫専用のクジラ尺のモノサシがヤミで高く取引されたことだそうだ。

今でこそ100g単位の表示で用が足りるが、切り替えのころは売る方も買う方も大変だったはずだが、2年、3年とするうちに400gの表示は消えていった。メートル法移行の現場は、まさに100匁の感覚を残しながらのグラムへの移行だった。法規制の方はその日からのきっぱりとした変更だが、現場はこんなものだという歴史的状況に立ち会った感慨は今になるととても大きい気がする。


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