Archive for November 2007

26 November

#308.ヒミコ

ララポート豊洲へ散歩がてらに出掛けたら珍しいものに出会った。水上バスが停まっていたのだが、何と『ヒミコ』だったのだ。『銀河鉄道999』などで有名な松本零士がデザインをした水上バスで、3年ほど前の導入されたものだが今まで出会ったことがなかった。浅草、お台場、豊洲を行き来しているとのことで、船内はメーテルや鉄郎などの一緒にのっているような雰囲気が味わえるとのことである。

運良くデジカメを持ち合わせていたので、早速シャッターを切ってみた。ところが、背景がいろいろとややこしい。ララポート名物の跳ね橋やジブクレーンがあるからだ。豊洲のララポートは造船所の跡地なのでクレーンはそのまま残したとのことだ。さらに遠景には晴海のトリトン・スクエアまで見えるではないか。こうなると素人の悲しさ、簡単に『ヒミコ』だけをスナップにしておけば良いのに、そうはいかないようだ。あれも入れよう、これは半分だけ、などと勝手なことを思い描くのだが、そんな写真が絵になる訳がない。という訳で、あっという間に10枚ほど撮ってしまった。

ここでデジカメに感謝だ。デジカメだからフィルムの枚数などを気にしないでシャッターを切ることができる。また、写した出来栄えをすぐ確認できるのもとても助かる。さらにデキの悪いものはすぐさま削除できるので、変なモノが残らないのもありがたい。でも、たくさん撮って厳選しても、所詮モトが悪けりゃそれまでだ。

何も気にしないで撮っても、やはり『ヒミコ』は脇役に変りはなかったと思う。
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18:45:00 | datesui | 2 comments |

20 November

#305.秋です

このところ急に冷え込んできました。皆様におかれましてはお風邪などお召しにならぬようご自愛ください。

日課の散歩も、寒くなると準備が厄介になることもあり、すこし億劫になります。ところが表に一歩出てしまえば、回りから季節の挨拶が飛び込んできて、出て良かったと思う次第です。この殺風景な越中島通りでも、ケヤキ並木はこの通り見事に色づいています。あの暑かった今年の夏が信じられないような様変わりです。

ケヤキって木はよく見ると、地味ですが個性豊かですね。1本1本、少しずつ色が違うんですね。気が早く色づきの進んだもの、季節感に鈍いのか緑を保っているもの、また、同じ色づきでも赤くなるもの、黄色くなるものいろいろで、カエデの様子とは違い一興です。

拙宅の並びの越中島通り。この両側は国立の東京海洋大学。
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18:46:32 | datesui | No comments |

12 November

#299.辰巳八景

書店をウロウロしていたら『辰巳八景』という文庫本に目が止まった。山本一力の作だが身近な題名に知らずと手が動いた。深川の南に住んで26年になるが、この界隈は江戸の東南、つまり辰巳の方角に位置するので辰巳と呼ばれていた。現在でも辰巳は住居表示でも地下鉄の駅名としても活躍しているが、表している地域は少々控えめで、元の辰巳は深川から東へ南へ相当広い地域を示していたようだったから、今の住まいも当然辰巳になる。

門前仲町に岡満津(おかまつ)という和菓子屋がある。明治38年(1905年)創業というから100年からの老舗だ。この店の看板商品が「八景最中」で、皮に辰巳八景が刻してあるモナカなのだ。26年もいて気づいたのはつい最近だが、手土産に窮していたとき偶然目に止まったことによるものだ。東京のお土産というのは意外と難しい。名産や名物が見当たらないからだ。新幹線のお土産の案内でも雷おこしか草加せんべいになってしまうのは残念だ。一時、資生堂パーラーのお菓子にしていたときもあったが、悪くはないが印象の薄いきらいは拭えなかった。そんなとき母への手土産に何か甘いものを、と、入った和菓子屋が岡満津で、そこで八景最中を見つけることになった。そのときは触手が伸びなかったが、後日買い求めたところ、包み紙には辰巳八景の様子が描かれていて、お使い物にはこれ!ということになった。

お店のサイトによると、『辰巳八景最中』は大正12年に新聞で公募したそうだ。辰巳八景とは、富ケ岡の暮雪、相生橋の秋月、小名木川の晴嵐、霊岸の晩鐘、州崎の落雁、安宅の夕照、木場の夜雨、佐賀町の帰帆の8つ風景で、それぞれ風景を1景ずつ最中の皮に刻印してある。餡も、つぶ・こし・白あんの3種類があるそうだが、まだ3種食べていない。そういえば、8つの風景もモナカで全部は見ていないので早晩確認が必要だ。

書店で山本一力の『辰巳八景』に目が行き手にしたのは、モナカの『辰巳八景』を土産に持って行くとき、この本も一緒に差し出したらどうだろうと思ったからだ。ところが、本を手に取ったら文庫本だが400ページもある。お土産のお供にしては重すぎるかなとも考えたが、何より読んでみなくてはと思い、購入してみた。読み始めたら自慢できそうな知識もふんだんで現在大ハマリになってしまった。八景の名のとおり8つの短編から構成されているが、どれもこれもホロリ、ジーンの見事な一力節が展開されている。
お呼びいただければ、ふたつの『辰巳八景』を携えて、いつでもどこでも参上いたします。


11:27:05 | datesui | No comments |

08 November

#297.区立の美術館

昨日7日、目黒区立美術館へ行ってきた。知人から『馬と近代美術展』の開催を教えていただいたからだ。目黒と言えばサンマだが、そのサンマも目黒に将軍さまのお狩り場があったからの話で、お狩り場と言えば馬がつきもので、その勢いで馬の話は目黒の競馬場へ行き着くという訳だ。少し無理もあろうが、荏原郡目黒村は、江戸の昔は将軍さまの馬が駆け、明治に入ってからはサラブレッドが走ることになった。目黒はとにもかくにも馬の地なのだ。

競馬好きの私にとって美術展の企画もさることながら、もうひとつの興味があった。先月、板橋美術館と世田谷美術館へ出掛けた。ともに区立の美術館だがなかなか立派な活動をしている。他にも、渋谷の松濤美術館や練馬美術館など区立と言っては失礼なほどよくやっている印象だ。そこで目黒美術館だが、まだ行ったことがなかった。良い機会をいただいたので早速脚を運んでみた。

建物の立派なことはさておき、館内は静かで落ちついていて、スタッフの方も品が良く気持ちの良い美術館だ。休憩室には書棚があって美術の書籍を自由閲覧できるが、スーティンの画集を観ていたら頼んだコーヒーを書棚のそばまで運んでくれたのには感激だった。通常アンケートにはあまり協力しない方だが、このときばかりは思いっきり褒めてしまった気がする。最後に書いてしまったのだが、区立の美術館が共同の企画を立てるなりして、もっと存在をアピールしてもよいのではないかと。

で、何を見たのか。ひとつだけ印象に残ったのは、目黒競馬場のレースの写真があったが、なんと右回りだったのだ。現在の東京競馬場が左回りなので、てっきり左回りと決め込んでいたので写真を見て本当にびっくりした。

目黒美術館。外観も立派だが、スタッフの接遇など評価AAA。
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美術館へ向かう遊歩道。右側は悪臭で有名な目黒川だったが、川も美しくなった。

22:35:00 | datesui | No comments |

06 November

#295.祖先は個性派

先日、お酒造りの名人、元ブレンダーの方と神楽坂の粋なバーでシングルモルトを賞味させていただいた。シングルモルトは今流行りだが、先生についてしっかりと味わうといのは何とも贅沢だ。マッカランぐらいの名前しか知らなかったのだが、いろいろ飲んでみると実に個性豊かで楽しかった。
お酒は元々地産地消であったから、その地方の風土や文化の反映であるはずなのだ。それがナショナルブランド化され装置産業になって、個性よりも広く愛されるモノに変わったわけだ。それが今、原点帰りとても言おうか、元の風土や文化の反映であるシングルモルトが個性としてもてはやされているのだろう。
個性豊かな原点が存在するウイスキーは個性を求めてシングルモルトへ遡上することができる。同じように遡るとどこへ行きつくか、いろいろなことを考えてみると役に立ちそうだ。

22:18:00 | datesui | No comments |