Archive for 24 September 2007

24 September

#267.獺祭

『ヱヴァゲリヲン新劇場編序』という映画を観た。とても楽しかったが、とりわけ印象に残った場面があった。主人公は14歳の少年だが、その上司が若くて美しい女性なのだ。どういう訳か彼女と住むことになるのだが、彼女の部屋はおそろしく散らかっている。とくに酒だ。部屋の隅の小さなテーブルにはびんやカンが所狭しの状態なのだが、その中に数本、日本酒の大きなびんが目立つ。しかもラベルがしっかり読める。どのびんも全て『獺祭』だった。

『獺祭』は固定的なファンのいる酒でかなり有名らしい。この彼女、この様子から相当イケル口なのだろう。お酒を飲まない私だが、『獺祭』だけは知っていた。『獺祭』の獺な動物のかわうそという字だが、中学校時代のあだ名がカワウソだったので、知ることになった。だから、『獺祭』を初めて見たとき、非常に親しみを感じて『獺祭』を辞書で調べてみた。すると、「ダッサイ」と読んで、カワウソは獲物を捕ってきてもすぐには食べず、巣の中のあちこちに置いておく習性があるので、この散らかった様子を獺祭(ダッサイ)というとのことだ。また、俳句の名手の先輩からは、正岡子規の号が獺祭だったことを教わった。脊椎カリエスで身動きのとれない子規は身の回りにすべてのものを置くしかなかったようだ。子規はこのさまを獺祭と名乗ったとのことだ。

散らかった部屋の酒びんが『獺祭』、しかも酒にこだわる妙齢の美しき女性の部屋だ。作者はかなりの酒好きと見える。


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