Archive for 17 July 2008

17 July

#427.質の違う過誤

気象庁の「高度利用者向緊急地震速報」がおかしな情報を流して迷惑を被った人が多数出たようだ。これを含め、気象庁のミスが多い状況を長官が陳謝していた。人為的なミスが多い状況では致し方あるまい。

これをNHKのニュースキャスターが、「絶対に」という言葉を使って、鬼の首でも取ったかのように糾弾していた。でも、自分たちだって間違えたりトチッたり、日常的にミスを犯しているのに、「絶対」とはよく言うものだと思った。

確かにミスがあっては困るのだが、ミスには2通りある。強い地震なのに弱い地震としてしまうミスと、弱い地震なのに強い地震としてしまうミスだ。両方ともミスには違いないのだが、強いのに弱いとしてしまうミスは絶対に避けてもらいたいものだ。ところが、逆のミスはどうだろう。まず人為的なミスは避けなくてはいけないが、システム設計上の精度の設定は双方を同レベルにできることなのだろうか。

パソコンのセキュリティー対策の指紋認証システムでも、本人なのに他人と判定してしまう場合と他人を本人と判定してしまう場合がある。双方とも困ることなのだが、セキュリティーという目的を達成するには、本人を他人と判定してしまう割合に比べて、他人を本人と判定してしまう割合はずっと小さくなくては困るのである。

このように許容の幅に違いのある過誤がシステムでは起きるものだが、「絶対に」はどちらの過誤のことなのか正しい指摘をするのがニュースキャスターの役割だと思うし、その程度のこともわからないようではキャスターは失格だと思う。何でもかんでも、口を尖らせて攻め立てれば良いものではないと考える。


23:59:26 | datesui | No comments |