Archive for August 2008

06 August

#434.きまぐれ夕立

歌川広重の名所江戸百景というシリーズに『大はしあたけの夕立』という名作がある。ご存知の方も多いと思われるが、「大はし」は新大橋のことで、「あたけ」は大暴れの意だ。その大暴れの夕立を描いたものだが、新大橋の行き交う人たちを襲った夕立の表現が奇抜だ。画面の上から下までを貫く細い黒の線で、画面を埋め尽くしているのだ。まさしく篠突く雨という表現にぴったりの雨の描写だ。あのゴッホもお気に入りのようで、『亀戸梅屋敷』同様、気合いを入れて模写している。

夕立はこのように一気に来る強い雨で、梅雨のしとしと雨とは好対照である。短時間で上がってくれて、暑い日などは大規模な打ち水となって、涼まで運んでもらえる。ところが最近、雨に異変が起きているようだ。しとしと雨の梅雨が消えてしまい梅雨が集中豪雨化している。また、梅雨明け後の夕立も局所偏在していて、ある場所に一気に降ってしまうようだ。それも、いつどこかは従来の常識とは異なる形で出現するらしく、突然の増水による事故も起きているのだが、予測は全くお手上げのようだ。

反面、辰巳といわれる東京の東南部の江東区豊洲では、ゴロゴロピカピカ、雲行きもあやしくなり「ひと雨!」と希うのだが、待てど暮らせど雨は降ってくれないのである。


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04 August

#433.アクを掬う

先日、神楽坂のお寿司屋で適当な話題で気楽な話をしていたら、色の話になった。色は実にいろいろな色があるもので、新橋色なんて色まであるということになった。すると、神楽坂色とかということになり、お店の名前の色はということになった。すると、ノリの良い大将が「アクの強い色でしょうね」と、イイ反応をみせてくれて、「まっ、野菜もアクがあるから美味しいんですよ」ということを教えてくれた。

さらに大将、「肉や魚のアクは1回沸騰させないと出てこないんですね」、「で、それをサッと掬ってあげないと、もとへ戻っちゃうから目が離せませんね」。と言ったあと、今度は満面の笑顔で隣の若い衆の方にも向かって笑顔でいった。「人も同じでね、沸騰させっぱなしじゃダメなんですね。目を離さず、アクを掬ってあげなきゃ育たないね」



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