Archive for January 2009

27 January

#516.一目上り

去年は六地蔵や七福神などを見て回った。中でも七福神は深川を皮切りに、日本橋、谷中、下谷と4カ所を巡ってみた。地元の深川は初詣で七福神巡りを思い立ち、2月の天気の良い日の実行できた。実は七福神巡りはここまでで止まっていたのだが、M先輩がお酒の仲間と日本橋七福神を巡った由のメールをいただき、火がついたようだ。早速、3月になって家内をつれて日本橋七福神を訪ねてみた。日本橋七福神は都内有数のグルメ街の人形町を中心に広がっているので、家内も別な期待でついてきたはずだ。

すると、東京にはまだたくさんあるはずの七福神を訪ねてみたくなったが、サイトで七福神を見ると東京だけでも30もある。しかも一番下に書いてあったのは伊豆大島の七福神だ。そこで、東京の下町に限ることにした。ちょうどお友達で都立高校の先生をしているN先生がお仲間と書いた「東京下町散歩25」という便利なガイドブックもあるからだ。そこで、5月に実行したのが谷中七福神だ。谷中は小さい頃短期間だが住んでいたこともあり、また高校時代は上野界隈は庭のつもりでいたので、すぐさま実行になった。

さて次はと思った時、ただ巡り歩いたのでは能がないと考えるようになった。ふと浮かんだのが、江戸東京博物館の展示にあった江戸六地蔵巡りだ。江戸時代、村野ナニガシという御三卿清水家の家臣が江戸六地蔵を歩いて回ったのだ。南は品川、北は巣鴨、西は新宿、東は本所とぐるっと回ればかなりの距離だが、還暦を過ぎた村野は徒歩で訪ね歩いたのだ。資料をみると、1日で回っているのだが日付は8月11日となっている。いや凄い、暑い最中だ。よし、それなら俺も同じ日に決行を思い立った。すると少し間が空いてしまう。七福神に六地蔵、あと何かないかと思ったところにひらめいたのが鎌倉五山だ。五山、六地蔵、七福神、うまい具合に五、六、七だ。落語でよく出てくる「一目上り」で縁起が良い。なんてうまいアイデアと自画自賛して、一目上り参りとなった。

という訳で、6月には家内と鎌倉五山巡り、8月の11日に江戸六地蔵めぐりと順調に進んだが、10月の京都見物の計画を立てたころから次の進捗が鈍った。12月も中頃になり、やっと下谷七福神巡りを敢行することになり、そして現在ブログでの報告中である。


00:15:06 | datesui | No comments |

25 January

#515.下谷七福神巡り? −恵比寿・飛不動正宝院−

少しご無沙汰になってしまった下谷七福神巡りを再開しよう。ここまで5つの祠を踏破してきた。次は飛不動正宝院だ。5つ目の朝日弁天堂を出て、東の国際通りへ向かう。国際通りと言ってもゆかりの国際劇場がなくなってしまったので、通じないかも知れない。その国際劇場は1982年に閉鎖されてしまったが、SKD、これも昭和の遺物になってしまったが松竹歌劇団といって立派なレビューが掛かっていた。往時は国内有数のホールで、ダイアナで大ヒットを飛ばしたあのポール・アンカの来日ショーは国際劇場で執り行われたのだ。

その国際通りを渡って左手の道を入ると、飛不動正宝院がある。下谷七福神の寺社は概して静かで人気もないのだが、このお寺は活気がある。まず境内に掲げられた数多の提灯だ。それに飛不動と書かれた真っ赤な幟の列。これだけでも大いに活気ありと感じられる。だが、ここも例外なく人気はない。本堂の左手に小さいがまとまりの良い祠があり、恵比寿様が祭られている。ここもお賽銭をあげて、静かに拝んでみた。

このお寺は真言宗だそうだ。その昔、住職が本尊のお不動様を大峰山に置いて修行をしていたところ、本尊がひとりで飛んで戻ってきたことから飛不動の名がついたとのことだ。境内には本尊の飛不動のお不動様、七福神の恵比寿様の他、六地蔵やなんやらいろいろなものがあり、商売の道を探っているようにみえる。その気持ちが提灯や幟にも表れているようで、お寺とは言え座して死を待つというより好感がもてる。

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飛不動正宝院の境内。提灯と真っ赤な幟が迫力満点、ヤル気が伺える。右は恵比寿様の祠。提灯と幟とは好対照で品良くまとまっている。


23:34:40 | datesui | No comments |

15 January

#511.下谷七福神巡り? −弁財天・朝日弁天堂−

今回の七福神巡りで言われている下谷は、JRや地下鉄の駅名でいえば鶯谷、入谷、三ノ輪の界隈を指し、住居表示でいえば根岸、下谷、入谷、竜泉、三ノ輪の地域に跨る。もともと下谷という概念は漠然としていて、上野や湯島の東側の谷の部分を示すものらしく、中心は上野広小路だったそうだ。戦後の区の統合が行われて35区が23区になる前は、台東区の西半分が下谷区と呼ばれていた。この下谷区は明治11年(1878年)に東京に区ができた東京15区のときに制定されたもので70年近くも存在したことになる。となると、筋金入りのお年寄りの下谷の概念はもっと広いことになりそうだ。という訳で今も下谷という住居表示があるが、上野広小路よりは相当北に位置している。

さて、法昌寺を出ると目の前に小野照崎神社がある。この界隈では酉の市の鷲神社(おおとりじんじゃ)や鬼子母神についで有名な寺社で都内でも有数の富士塚があり、初詣の参拝者もかなり多い。小野照崎神社を左にして昭和通りを左に折れ、北へ少し進んで右に入ったところに弁天院公園がありその中に朝日弁天堂がある。というよりは小さな区立公園の奥になぜか弁天様が祭ってあるという感じだ。子供を遊ばせているお母さんがいたり、暇つぶしのご老人がいたりで、今までの寺社とは違って七福神のコースとは縁遠い雰囲気がしていた。
朝日弁財天という看板こそ立っていたがそれだけで、人影もなくひっそりしていた。お賽銭を入れて2礼、2拍、1礼をした。でも、神社かどうだか心配になったが、そばに狛犬があったのでひとまずホッとした。公園の中に由緒を記した表示板があったが、あまり気乗りしないまま読んでみたところ備中のお殿様の下屋敷に建てた弁天堂が起源だそうだ。とにかく7か所のうちの1か所ということにして、早々に退出をした。

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小野照崎神社。平安時代の文化人小野篁を祀った神社で富士山の溶岩を積み上げた富士塚は、富士山に行けない人が参拝したそうだ。右は朝日弁天堂。集客に熱心な様子は見られない。まっ、仕方ないか。


11:07:09 | datesui | 2 comments |

13 January

#510.下谷七福神巡り? −毘沙門天・法昌寺−

三面大国天の英信寺を出て金杉通りを北に向かうが、すぐ次の角を右に折れる。路地を道なりに少し進むと広い通りとぶつかる右側の角に毘沙門の法昌寺が見える。この日は静かだったが、この法昌寺は日蓮系・法華経系のお寺であるため、勤行(ごんぎょう)のときには「南無妙法蓮華経」の大きな声が響き渡るという。因みに「南無妙法蓮華経」のことをお題目というが、建前や名目の意味に使われるのは後の転用だそうだ。

さて、門をくぐり本堂の前でお賽銭を入れ、浄土真宗の門徒であるので「南無阿弥陀仏」とお念仏を唱えて手を合わせるつもりだったが、賽銭箱の横には毘沙門天のご案内が威張って立っていた。それに気を取られての参拝になったので、本尊の確認もしないまま毘沙門天の祠へ進んでしまった。
毘沙門天の祠はなるほど小さいがよく掃除がされ、手が良く入っている様子だった。集客力が大きいのだろうか、扱いの良さが物語っているようだ。

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法昌寺の本堂の前。賽銭箱も立派だが、毘沙門の案内に目が行ってしまう。右はその毘沙門天のお像。ブルーを基調にした極彩色が強烈で良い。


11:30:00 | datesui | No comments |

08 January

#508.下谷七福神巡り? −大国天・英信寺−

鬼子母神の真源寺を出ると前は言問い通りだ。この通りを鶯谷駅の方へ戻る感じで歩くとすぐ金杉通りへ出る。交差点を右に折れ金杉通りに入ると昔の雰囲気たっぷりの風情で、昭和の商家、それも戦前の看板建築やらの古いつくりの商家が軒を並べているところもある。提燈を扱う店など、東京でも珍しい店が散見できる。やがて右側に次のお目当て三面大国天の英信寺の入口に着く。参道というか路地が奥深くまで続いていて、ひっそりと静まり返っている。金杉通りは車も人も交通量が多くほど良い喧噪感に浸ることができるが、路地の中は急に寂しくなったようにさえ思える。

門をくぐると、屋根の甍の美しい瀟洒な本堂がある。小さいがなかなか風情のあるお寺だ。「下谷七福神三面大国天英信寺」と大きく賑やかなに書かれた看板がどうにもツヤ消しだ。本尊は別だが、商売としては七福神の三面大国天に縋るしか手立てがないのだろう。入口の門柱に浄土宗と書かれていたので、本尊は阿弥陀様なので本堂の前でお賽銭を入れ、手を合わせて南無阿弥陀仏と念仏を唱えた。
本堂の左側に大国様が祭られている。三面大国天と銘打っているが、どんなものかと思って覗いてみたがガラスが光って良く見えない。しばらくして目が慣れてきたら、真ん中に大きな大国様いて、その両側に弁天様と毘沙門様が見える。ちょうど大国様の右肩に毘沙門様、左肩に弁天様がいるのだ。考えてみればうまい組合せで、大国様のお金、毘沙門様の腕力、弁天様の色気が揃ったら全く怖いものなしだ。

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英信寺の入口。金杉通りの賑やかさとは対照的にひっそりとした入口の路地。浄土宗の文字が見えるが大本は京都の知恩院だそうだ。右側の写真は、本堂と左側の三面大黒天の祠。三面大黒天は逆光でガラス張りの中がよく見えなかった。


11:27:16 | datesui | No comments |