Archive for 16 March 2009
16 March
#537.贅沢ボケ
先日、上野の国立西洋美術館へ『ルーブル美術館展−17世紀ヨーロッパ絵画−』を観に行ってきた。主催者の資料には、レンブラント、フェルメール、ルーベンス、プッサン、クロード・ロラン、ラ・トゥール、ドメニキーノ、グェルチーノ、ベラスケス、ムリーリョという名前が案内されていた。日本での人気はフェルメールが圧倒的で、これに続く存在として、レンブラント、ルーベンスだろう。また、ベラスケスやムリーリョも良く知られているが、ラ・トゥールの方が人気はありそうだ。少し恣意的だが、人気の順では?フェルメール、?レンブラント、?ラ・トゥールとなるのではないかと思われる。ルーベンスよりもレンブラントが好まれるように、静謐で精神性が表に出ている作品が日本人には好まれようだ。それならニコラ・プッサンと言いたいのだが、まだ知れ渡る前の状況下もしれない。
お目当ては、そのニコラ・プッサンだった。プッサンのどんな作品が観られるのかワクワクしながら出掛けたのだ。会場に入ってガックリきた。いの一番がニコラ・プッサンではないか。どんな展覧会でも最初の作品は黒山の人だかりになるものなのだ。誰しも最初の作品は丁寧に見る。また、終わりの方になると作品名すら飛ばすのに最初の説明は実に良く読む。そして、また眺める。こうして最初の作品は良く見えないので飛ばしてしまうことがあるのだ。でも、今回はそんな訳にはいなかった。人の流れの端について、少しずつ進んで作品の前に来た。折角だから丁寧に観たが、こんな見方はルーブルでもしないだろう。
お目にかかったプッサンの作品は『川から救われるモーセ』だが、初めての対面だった。だが、きっとルーブルでは観ているのだろう。名作『フォキオンの葬送場面のある風景』ですら、作品の前は何度も通り過ぎているのに全く記憶にないのだ。名作が溢れすぎている贅沢がなせることだが、もったいないことだ。
02:46:49 |
datesui |
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