Complete text -- "#519.下谷七福神巡り? −布袋尊・寿永寺−"
04 February
#519.下谷七福神巡り? −布袋尊・寿永寺−
下谷の七福神巡りの最後は寿永寺だ。飛不動から三ノ輪に向かって真っすぐ歩いた並びにあるはずだ。飛不動の傍には地元の文化人樋口一葉の記念館もあるが、最後のひとつ、それも一本道なので寿永寺へ急ぐことにした。歩く道は下町の風情がところどころには残っているものの、逆に壊れてしまった下町に見えないわけではない。新しくなったところは安っぽく、残った古いところはただ手が入っていないだけという状態だ。地方が疲弊していると言われるが、ここはまさに東京の地方だ。
左手に立派なお堂のあるお寺が見えてきた。どうやら寿永寺らしい。この界隈では右手の東泉小学校と肩を並べる大建築だ。ここまで6つの寺社はいずれも小さなものだったので、ここは期待できそうな気がしてきた。だが、寺の前に着いて驚いた。門が閉っているのだ。時計は午後4時20分、まだ閉るのは早かろうと思うのだが、立派なお堂をもつこのお寺は門も立派でしかも頑丈な鋼鉄製だ。門の隙間からカメラを入れてみたが、まったく役に立たない。こういうのを屁の突っ張りにもならないというのかと思い、「石井慧の名言の使用例」という言葉がうるさく頭の中を巡った。これなら一葉記念館を見ておくべきだったと、今度は後悔の念が嘔吐のように湧いてきた。
残った寿永寺だけ参拝に来るのは気が進まないが、一葉記念館もあるので再挑戦の気分にもなれるという気持ちでこの七福神巡りを終わることにした。冬の三ノ輪の夕暮れは不思議ともの悲しい。それ知るや知らずや、大関横町の交差点はたくさんの車がひっきりなしに行き交っている。
閉店の寿永寺はまるで要塞のようだ。鋼鉄の表門に加え、お堂の鉄の雨戸。そんなにまで拒否をしなくてはならない理由はあるのだろうか。
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