Complete text -- "#19.何をたよりに"

10 March

#19.何をたよりに

来月になれば、9日に桜花賞、16日には皐月賞が行なわれる。そこへ向けて予選会も最終段階にきている。だが、今年はなぜかスターや中心馬が出てこない。なにしろ共同通信杯と弥生賞を連破したアドマイヤムーンは、例年なら間違いなく大本命なのだが、なぜか誰も中心馬として認めようとしないのだ。去年のディープインパクトの残像があまりにも強いせいか、この程度では麻痺してしまっているのかもしれない。一方、牝馬の桜花賞の方も中心馬が決まらない。ここで勝てばというところで有力馬が勝てないので、毎回毎回新勢力の登場でめまぐるしいこと夥しい。楽しいことには変わりないのだが、いい加減に中心馬が出て欲しいものだ。

今度の日曜日はフィリーズレビュー、正真正銘の桜花賞トライアルだ。阪神競馬場の1400mで行なわれるこのレースは『報知杯4歳牝馬特別』と呼ばれたが、2001年より馬齢表記の変更に伴い『報知杯フィリーズレビュー』と改称された。この馬齢表記とは、それまでの生まれたときを1歳とする数え年表記から、生まれたときは0歳とする世界標準に変更したことだ。では、なぜ馬齢表記の変更に伴ったことなのかは、英語での牝馬の呼び方が年齢によって異なるからである。牝馬を英語で言うと、フィリー(filly)とメア(mare)であり、4歳までがフィリーで、5歳以上がメアと呼ばれることによるのだ。
そんな経緯はともかく、レースの見通しはどうだろう。去年はラインクラフトが1番人気を見事に勝って、その勢いを駆って本番の桜花賞も制覇した。今年はどうだろう。早来のデータ・ベースは、?サンヴィクトワール、?アルーリングボイス、?ダイワパッション、をあげている。ここまでの牝馬のクラシックの流れをみると、実績を覆す結果が続いているので、ここでは実績の隙間を考えてみる。そこで持ちタイムをみると、エイシンアモーレとセントルイスガールが、1200mを1分8秒3で走っていて、偏差値に換算すると65.2、ランキングは14位である。このランキングは去年の6月からの2歳、3歳のレースに出走した全馬の走破タイムが対象だから、極めて上位のタイムである。因みに、好タイムだった朝日杯フィーチュリティ・ステークスでのフサイチリシャールが、1600m1分33秒7で、偏差値は66.7、ランキングは7位となっている。エイシンアモーレとセントルイスガールのタイムは、去年の8月9日、小倉のフェニックス賞でのものだが、そのときのチカラがそのまま出れば、1400mであるので十分楽しめる。
さて、このところ武豊が好調のようにみえる。三流選手にスランプがないのと同じで、名手に好調もなにもないだろうが、アドマイヤムーン、アドマイヤキッスはお見事の一言だった。さらに、3月4日の阪神9レース淡路特別でのロングアライブは、勝負どころに向かってペースが上がる3〜4コーナーで、置いていかれるのが心配になるほど我慢して、直線だけで2馬身も差をつけた。極めつけは、その1週間前、2月26日の中山の最終レースでのことだ。負傷の松岡に急遽乗り替わり、不良馬場の多頭数を見事に捌いて抜け出したのは、アッパレアッパレだった。アドマイヤムーンの評価がイマイチなのは、武豊の手綱さばきのためにだとしたら、武豊にとっても迷惑なことだろう。

06:00:00 | datesui | |
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