Complete text -- "#345.無力の中で"

28 January

#345.無力の中で

今日は渋谷のシナマライズへ出掛けてフランス映画『ペルセポリス』を観てきた。ペルセポリスとは古代ペルシャ、アケメネス王朝の首都だ。だが、ペルセポリスが出てくる訳でもなく、イランでのお話という意味での使用だろう。いわゆるイスラム革命からイイ戦争、そして今の政権に至るイランの混乱の中で成長する少女の身の回りで起きる理不尽な事件を通して政治の不可解を問いかけている作品と思えた。

帝政時代に政治犯だった少女の叔父はイスラム革命で釈放されるが、再び新政府に政治犯で捕まってしまうというような不思議な事が起きる。革命が起きても政治は変わらず、抑圧と密告が続くのだ。という暗澹たる内容なのだが、救いは少女のおばあさんが素晴らしかったことだ。知的で信念があり、しかもおしゃれだった。おばあさんが良い匂いするのは毎朝ジャスミンの花を摘んでブラジャーに忍ばせているとのことだ。こんな混乱のときでも自分を失わず、しかも毎日のおしゃれを欠かさないのは本当にデキの良い人間なのだろう。

最後に成長した少女は国を出るが、両親から「ここはおまえのいるところではない」とまで言われてしまうのだが、イランの人はどう思ったのだろう。制作したのはフランス人だから何とでも言えるが、当のイランの人なら国を棄てた逃散より戦う方を選ぶのではなかろうか。
この作品のように力の及びようもない形で国が変ってしまうのは不幸なことだ。だが、ひょっとして私たちの国も見かけは穏やかだが、実はとんでもないことになってはいないだろうか。


22:50:18 | datesui | |
Comments
コメントがありません
Add Comments
:

:

トラックバック
DISALLOWED (TrackBack)