Complete text -- "#120.余計な特性"

31 July

#120.余計な特性

数を思い浮かべると、額の先に数直線のようなものが現われる。1から順に右へ向かって数が進んでいくのだが、真っ直ぐなものでも等間隔なものでない。10になると左へ折れ曲がり、前へ向かって進むようになる。更に、20ぐらいでまた左へ折れ曲がって今度は左の方向に進み、少しずつ右へ曲がりながら、40に手前ではほぼ前に進むことになる。50くらいから右へ進み、上下しながら100になる。これは心理学でいうところの数系というもので、全員にあるものではないが、かなりの人に存在するらしい。この数系が相当小さいころからあった記憶があり、1から10までが数えられるようなったあと、10から20までが数えられるようになったころ身についたような気がする。数系全体は明るいところと暗いところがあって、10までは明るく、22ぐらいまでが暗く、40ぐらいまでは明るいがだんだん暗くなり、50ぐらいから90くらいまでは暗い。90から100を越えると明るくなる。この先は間隔が対数的に縮んできて、直ぐ先が1000になってしまうが、1万も10万も、一応示されてくる。やはり、暗くなったり明るくなったりしてのことだ。

この数系は単純な数字を憶えるときに便利だった。比例定数など、憶えるしか能がないものには結構役に立ったような思い出がある。例えば、あの定数は明るいところにあったとか、前に進んで少し上り坂だったので、400ちょっとぐらいか、というように思い出すのには便利なときもあった。
逆に、こんな数系などが身についていたために困ったことにもなった。小学校3年生の終わりの3月にそろばん塾へ入った。東京の下町の商売家に生まれたので、子供は当然のようにそろばんを習う。50年前のあのころは、みんな3年生から4年生のころそろばん塾に入った。ところが、塾に入って3週間ほどから上達が止まってしまった。そればかりか頭が痛くて、どうしようもなくなった。4年生の新学期も3週間も休む羽目になってしまった。医者に相談をしたら偏頭痛ということだが、そろばんが原因だから塾をやめなさいという指示が出た。下町の小僧にとって、そろばんができないということは市民権を剥奪されたに等しいが仕方なかった。

確かに原因はそろばんだったのだが、真犯人は数系だったと思う。読み上げ算で、先生が読み上げた数が、必ず一度数系の上に表示されてからそろばんに珠を運んでいたような気がするのだ。全部の数ではないのだが、ところどころで起きていたと思われる。今でもどの数と決まった訳ではないが、突然数系が現われてしまう。たまに便利なときもあるが、ほとんどは無意味である。遺伝はするのだろうか、娘たちに聞いてみたいが、そんなことが切っ掛けで数系をみについてしまったら可哀想なので黙っていることにする。


06:00:00 | datesui | |
Comments
コメントがありません
Add Comments
:

:

トラックバック
DISALLOWED (TrackBack)