Complete text -- "#226.お酒と朝型生活"

29 March

#226.お酒と朝型生活

泣かし屋の達人、浅田次郎は小説家としても一流だが、他のことでも浅田次郎独特の一家言はとても素晴らしい。駆け出しの作家のころ、家計を支えたブティック稼業も素晴らしいが、勝たなければならなかった競馬もお見事だ。もうひとつ、浅田のお酒の一言が面白い。あの顔をして、お酒は全くの下戸とのことだ。ブティックを営んでいたころ、彼は夕食が終ったあと普通の作家なら、ここで一杯となるらしいのだが、彼は飲めないこともあって、自室に篭り執筆活動をしていたそうだ。二足の草鞋とお酒を飲めないことが、こんなライフスタイルにさせたのだろう。浅田は、お酒を飲むとお酒を飲む時間がもったいないのは当然として、そのあとの時間も無駄になるのが惜しいという。全くの下戸なので酔っ払っては商売にならないのだろうが、起きてはいるものの働かない体が惜しかったことだろう。普通の酒飲みなら、酔っ払った気分を楽しむものなので、飲んだあとはむしろ至福の時であり、このために酒を飲むわけだ。

会社の先輩に朝早く来る人がいた。良く朝早く来られますね、と声を掛けたら、飲んで帰るとそのまま寝ちゃうので、朝早く目が醒めちゃうんだ、との弁。なるほど、少しでも飲んでしまうと何もできない、それなら寝るのが一番だ。家へ持ち帰りの仕事があるとき誘われ、良い加減で切り上げて帰ったが、結局お酒が抜けるまで仕事にならなかったことがある。そんなとき朝型生活を知っていたら、さっと寝ることができたはずだ。でも、慣れない早寝をしても、起きられなかったらどうなったのだろうか。もし実行していたら、恐ろしいものがある。宵っ張りの朝寝坊は60歳になっても健在だ。



06:00:00 | datesui | |
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