Archive for 18 December 2006

18 December

#176.油断も隙も −振り返れば2006?−

2006年は耐震偽装の騒ぎから始まったような気がする。そして、下半期は談合で県知事が相次いで逮捕される事件が起きた。いずれも建設業界に密着した話ではあるが、別の話のように見える。

耐震偽装は偽装設計した設計士が最も悪いことは明白だが、施工した建築業者も相当程度に悪いヤツに見える。更に、民間の検査機関の存在だ。偽装は巧妙で見抜けないと自らのプライドも何もなかなぐり捨てて責任逃れだ。そもそも地震国日本なら、地震に対する備えは必要以上のものがあっても良いわけで、偽装をする方も見抜けない方も日本人であることを疑いたい。
1995年の阪神淡路大震災のあと、建築基準法の改正が行なわれた。地震に対する備えを高めるものであったが、その改訂は安全には最小限の対応という奇妙なものになった。改訂の中心は民間の検査機関導入などの制度改正で、日本の優れた匠の伝統を棄て、国際慣行にあわせたようである。どうもこれは耐震建築の苦手な国に対して、日本の建設市場に進出できるようにする配慮のようにもとれる。

また、日本の建設業界の特長のひとつに談合があるとのことだ。これがもしあるなら、海外のみならず国内でも参入障壁になっていることは確かなことだろう。ここにもケチをつける国がいて、取締り強化の要求を押し付けてくるらしい。談合の取締り自体は歓迎されることなので好ましく思えるが、実態はこの外圧によって県知事の逮捕が続出しているとのことである。

耐震建築の苦手な国、障壁になっている談合取締りを要求する国は、当然のことながら同じ国だが、非常に手の込んだ方法で日本の建設市場を攻めてくるのは見事であるが、知らぬ間にこんな状態になっているのではまったく油断も隙もあったものではない。


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