Archive for 30 October 2006

30 October

#153.化野念仏寺 −紅葉の嵯峨野?−

清涼寺を出て嵯峨野の中心へ向かう道のりは1km近くあるが、長閑な農村と瀟洒な住宅の入り混じった道を楽しむことができた。10分ほど歩いて、いわゆる嵯峨野のメインストリートに着いたが、まずは北のはずれの化野念仏寺へ向かうことにした。

「鳥辺山のけむり、あだし野のつゆ」と徒然草に記述されているように、千年の昔から鳥辺山は火葬場、あだし野は墓地として知られていた。山麓の質素な墓地は、それだけで寂寥感が漂う。ただの石を置いただけと思える石塔は、やはり無縁仏なのだろうか。これだけの数が並ぶと、寂寥感はさらに増長して感じられる。
さて、あだし野は化野と書くが、「あだし」とは空しい、はかないという意味だそうだ。「化」の字は、生から死へ化するということで、輪廻再生や極楽浄土への往生を願ってのことと言われている。


夥しい数の一面の石塔、その数は8000体にも及ぶそうだ。殆どが最初から無縁仏だったのだろうか。



今年は紅葉の色あいのある季節だったので、人の出も多く、独特の異様な寂しさは感じられなかった。いつもの12月だったら全くの無彩色の世界で、烏の鳴き声でもしようものなら泣き出したくなるような寂寂とした雰囲気なのだ。


背景に紅葉が入ると、血色の良くなった病人のようだ。寂しさの中にも一筋の光が射したよう。



このくらい紅葉があると、もはや紅葉の名所だ。
 


06:00:00 | datesui | No comments |