Archive for 06 April 2008

06 April

#381.眼福、満腹、そして至福

この前の土曜日、長唄を聴きに行きました。お仕事仲間のK教授の奥様の発表会に去年に続いてお呼ばれしました。なかなか聴ける機会がありませんので、嬉しかったです。家内を誘ったところ、眠くなるのを覚悟でついてきてくれました。

最近の三味線と言うと、津軽系のできそこないがベコベコ弾き捲くって、ただ大きな音を出しているだけで、うるさくて仕方ありません。やはり、三味線は江戸浄瑠璃系のしっぽりとしたところがよこざんすな。当日の演目での江戸浄瑠璃っぽいところでは、『傾城』がありましたが、実に良いですね。オトナの芸でした。

聴いているうちに耳が慣れてきて、歌詞が聞こえてきました。ひとつ、おもしろい地口を聴き取りました。『舟弁慶』の中での一節で、「世の中の人は何も石清水(いわしみず)」、というくだりがありました。ミーティングで何も発言しないヤツに向かって、「今日の君は何も石清水だね」、なんて使えそうなので、覚えてきました。
私にとっては、「恐れ入谷の鬼子母神」、「そうで有馬の水天宮」に続くものですが、何と言っても石清水八幡宮は全国区的な存在なので、価値は大きいと思っています。

K教授の奥様は唄い手で、出番が多く大車輪の活躍でした。終了後、ロビーでご挨拶をさせていただいたとき、その旨をお聞きしましたところ、三味線の方は多いそうだが、唄い手が手薄とのことだそうです。三味線は練習さえしておけば、音は楽器の方で何とか出してくれますが、唄い手はそうはいきません。声も自前ですから、その分まで仕上げが大変です。何をやっても手軽にできる方へ流れてしまうのが昨今の状況のようですね。その上、目立ちたがりますから、津軽系のベコベコ三味線になってしまうのでしょう。

当日は、午後1時から紀尾井ホールでの開催でしたので、ホテルオークラの隣にあるパリ風のブラセリー、『オーバカナル』でサンドウィッチをいただいたあと、上智大学前の土手の桜を観てから入場しました。土手の桜吹雪も眼福ものでしたが、チーズとハムのシンプルなバゲットのサンドウィッチも、これまた満腹ものでした。家内は、聴く方はともかく、眼福と満腹で十分だったのでしょう。このあとは午睡のお時間に入ったようでした。


23:37:54 | datesui | No comments |