Archive for 19 August 2008

19 August

#441.本当のプロ

先週は押井守の映画を2本観た。1本は新作の『スカイ・クロア』、もう1本は『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊2.0』で、出世作を押井守自ら手掛けたリニューアル版だ。『スカイ・クロア』は元々観る予定だったが、『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊2.0』は友人の奨めがあり、観ることになった。

前作の『イノセント』から気になることがあった。それは意識だけがコンピュータにメモリーとして残っていて、いわば死ぬことのできない人間の存在だった。「意識だけ残って死ねない」、さぞかし辛いことだろと思ったが、考えれば考えるほど気持ちの悪くなることだった。

『スカイ・クロア』では案の定、死ぬことのできない人間が登場してきたが、意識のメモリーはリセットされるように思えたので少しは安心できた反面、死ぬことのできない気持ち悪さは持ち越されてしまった。
押井守は相変わらず考えさせてくれてありがたいのだが、疑心暗鬼になってしまって、少々ついていけないときもある。例えば、『スカイ・クロア』で指揮官の水素と優一がテーブルを挟んでワインを飲む場面があるが、このテーブルの向こうの壁に掛かっていた絵が宮本武蔵の『枯木鳴鵙図』だった。真剣勝負でも意味しているのだろうか。

『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊2.0』は押井の世界観の起点のようなものがあったように思われる。人工知能、ネット社会などの先見性には目を見張るものがあった。それに加えてアニメの表現力の可能性の追求も素晴らしかった。あとで知ったことだが、押井はコストと納期を守れるクリエイターだそうで、これには頭が下がる。まさしくプロだ。


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