Archive for 21 January 2009
21 January
#513.汽車賃をかけた甲斐
今年のミュージアム見物の第1号は八王子夢美術館になった。八王子までは東京駅から快速で約1時間、久しぶりの遠出になった。ネットの情報では入館料が500円と格安で、こいつは良いと思ったが、なんと汽車賃が片道780円。これでは少しも安くはない。八王子駅から西放射ユーロードという街中を斜めに貫通した歩行者専用道路を歩く。やがて通常の道である甲州街道と直角に交差した道の交差点に出る。この八日市町の交差点から甲州街道に入り、西へ3、4分歩くと右手にビュータワー八王子が見えるが、その2階が八王子夢美術館だ。
案内表示に従ってエレベータを2階で降りると目の前に「いとも美しき版画の世界」という大きいが品の良い看板が目の前に広がる。早速、500円の入館券を買い順路に従って入ってみる。するとビックリだ。出品リストがあるのは当たり前だが、見どころ入り順路の案内図、西洋版画と日本版画のダイジェスト版比較年表、デューラーの『黙示録』やブリューゲルの『最後の審判』の説明資料、版画の技法のパンフなど、学芸員手作りの資料が「ご自由にお持ちください」なのだ。以前出掛けた横浜美術館も学芸員の汗かきが気持ちよく思えたが、それ以上のおもてなしに敬服だ。
さて展示だが、これもなかなかの内容だった。15〜17世紀のドイツ、フランドル、オランダのいわゆる北方ルネサンスの版画は期待どおりだったが、その後のヨーロッパ版画の展示は質・量とも充実した見事な陣容で、見応えも十分だった。特に20世紀の展示は、ピカソにマチス、クレーにカンディンスキー、エルンストにマグリットというように、著名な美術家は版画も残していることが一望に分かるようになっていた。また、版画と言えばというジャック・カロやビアズリーの作品も良く揃っていて、版画の展示としては極めて上等な企画と思う次第である。
お目当てが発券兼ミュージアムショップのカウンターにあったので、ジャック・カロの『2人のパンタローネ』、ビアズリーの『孔雀のスカート(サロメより)』を購入した。ここの女性も市民のアルバイトだろうか、決して容姿端麗ではないが品の良い奥様という感じの方で、丁寧な対応がとても素敵だった。
八王子夢美術館の入り口。ビュータワー八王子のエレベーターを2階で降りるとこの光景が広がる。といっても狭いエントランスだが。右は八王子駅前から広がる西放射ユーロードの模様。緑の制服を着た駐輪を指導するおじさんがいて、自転車のマナーはとても良かった。
21:30:03 |
datesui |
No comments |