Archive for February 2008

29 February

#357.微妙な距離は微妙な展開

今週の最高格付けのレースはG?の第82回中山記念だ。82回とはすごい回数で、あのダービーでさえ今年で75回だ。もっとも天皇賞は137回、目黒記念も122回を迎えるわけで、上には上がいる。

82回ということは年1回の開催では当然のこと戦前からの継続になる。JRAのホームページによれば、昭和11年というから1936年の開催だ。それまでの『内国産馬競走4000米』と『中山5歳馬特別競走』を併合させて発足したそうだ。当初は3200mのハンデ戦だったが、1957年に現在の距離の1800mに、1972年に現在の条件の別定戦になった。お決まりの距離の短縮化とハンデ戦から別定戦への変更という歴史の流れを忠実に反映しているようだ。昔はとにかくハンデ戦だったようで、あの有馬記念でさえ、立案時にハンデ戦でなくて馬券が売れるのかという心配をしたそうだ。

G?という高い格付けの中山記念だが、地味であることは群を抜いている。つい最近のレースでさえ出走馬を思い出すのが難しいようだ。だが、ハイセイコーの活躍には強い印象が残っている。雨の不良馬場での快走があり、宿敵タケホープを完膚なきまでに叩きのめしたのだが、1800mという距離と不良馬場が味方したものと思われる。当時、中山の道悪は日本中に轟きわたっていて、多くのスピード馬を苦しめたものだが、ハイセイコーはスピード馬でありながら父チャイナロック譲りのダンプカーのような足腰と馬力で一気に駆け抜けたのだ。直線で他馬をぐんぐん引き離すさまは、まさに圧巻だった。
そればかりではなく、春の天皇賞と有馬記念を制して年度代表馬になったサクラローレルも、この中山記念が出世の始まりだったことを考えると、もっと注目して良いG?レースだ。

【 中山記念 】
◆Wsc: 64.3 エアシェイディ    R: 53、 RR: 72、 RT: 58、 D: 0.4、 A: -0.8、 H: 4.6
◆Wsc: 63.7 コンゴウリキシオー  R: 60、 RR: 66、 RT: 63、 D: -0.9、 A: 3.6、 H: -1.7
◆Wsc: 63.2 カンパニー      R: 58、 RR: 74、 RT: 65、 D: -2.1、 A: -1、 H: 4.2
◆Wsc: 58.8 アサカディフィート  R: 51、 RR: 64、 RT: 54、 D: -0.2、 A: -1.5、 H: 2.8
◆Wsc: 57.4 マルカシェンク    R: 54、 RR: 61、 RT: 50、 D: -0.7、 A: 0.9、 H: 1.1
以上がWsc55以上の推奨馬。
◇Wsc: 53.6 リキッドノーツ    R: 49、 RR: 56、 RT: 56、 D: -2.0、 A: 0.6、 H: 4.4
◇Wsc: 51.9 レオエンペラー    R: 32、 RR: 52、 RT: 62、 D: 0、 A: 0.8、 H: -0.2
◇Wsc: 51.6 エイシンドーバー   R: 52、 RR: 56、 RT: 62、 D: -4.2、 A: 0.5、 H: 1.7
◇Wsc: 50.9 トラストジュゲム   R: 40、 RR: 52、 RT: 63、 D: -2、 A: 1.4、 H: -1.3
◇Wsc: 46.9 プリサイスマシーン  R: 40、 RR: 44、 RT: 65、 D: -3.9、 A: 1.6、 H: -0.3
◇Wsc: 45.8 チョウサン      R: 43、 RR: 50、 RT: 53、 D: -4.7、 A: 0.8、 H: 1.0
◇Wsc: 44.6 リザーブカード    R: 33、 RR: 41、 RT: 61、 D: -3.1、 A: -0.1、 H: 2.5
◇Wsc: 42.7 グラスボンバー    R: 41、 RR: 47、 RT: 47、 D: -3.5、 A: -1.0、 H: 4.5
◇Wsc: 39.2 ジュレップ      R: 32、 RR: 36、 RT: 53、 D: -3.9、 A: 0.6、 H: -1.4
◇Wsc: 37.9 ヨイチサウス     R: 36、 RR: 41、 RT: 46、 D: -5.2、 A: 3.1、 H: -3.0
◇Wsc: 27.5 ロイヤルキャンサー  R: 22、 RR: 34、 RT: 23、 D: -6、 A: 0.8、 H: -2.4

   ・Wsc  :ウィニング・スコア→上位入着の可能性を示す総合指標で以下の指標から算出
   ・Rsc  :レースの実績→過去1年6か月を遡ったレースの実績を示す
   ・RRsc :最近の実績→6か月以内の直近3レースの実績を示す
   ・RTsc :タイム→最近のレースでの走破タイムを示すスコア
   ・DfWL :勝っぷり→勝った馬はどれだけ突き放したか、負けた馬はどこまで粘ったかを示す
   ・Asc :先行力→先行した実績を示すスコアで、高いほど先行している
   ・Hsc  :末脚→上り3ハロンの馬群の中で相対的に前に出たか後退したかを示す


【 展望 】
1800mという距離は微妙な距離で、G?が1つもない距離だ。そのくせ調教師の先生方が長距離のG?レースの出走権獲りで、「千八もこなさいなと出られない」ということになり、克服しなければいけない距離なのだ。ここへ挑戦してきた面々は、これからG?を目指すメンバーだ。10歳のアサカディフィートでさえ、まだ夢は捨てていないだろう。
データベースはかなり真っ当な見解を弾きだしたようだ。チョウサンが低めという印象以外は、ほぼ人気の反映そのままという感じだと思える。それだけにオモシロ味に欠けるが、これをベースにバリエーションを考えていくのが楽しみとなろう。

【 展開 】
先頭を切りそうなのは、コンゴウリキシオーとヨイチサウスの2頭だ。どちらかということになると、中山の千八は1コーナーまでが短いので枠順で決まりそうだ。
これを追走するのが、プリサイスマシーンとトラストジュゲムということになりそうだ。
中段の大集団は、マルカシェンク、レオエンペラー、チョウサン、ロイヤルキャンサー、ジュレップ、リキッドノーツ、エイシンドーバーという順で並ぶと思われる。
後方に控えるのが、リザーブカード、エアシェイディ、グラスボンバー、カンパニー、アサカディフィートとなると想定させる。

このレースは一言で言って、スムーズな流れに乗ることだろう。位置取りの機会が2、3回ありそうだが、ここで無駄な脚を使わずに直線まで持ち込むことができるかということで、ジョッキーの出来も大きい。


18:07:59 | datesui | No comments |

27 February

#356.深川七福神? −毘沙門天さま−

今回は龍光院の毘沙門天を訪ねよう。龍光院のある三好や平野は深川でもお寺の多いところで、浄土宗やら禅宗やら、小さくても宗派をしっかりと主張しているお寺の姿には好感が持てる。毘沙門天のご利益は勇気授福、すなわち武勇の神様だ。前回の弁財天が芸道富有と芸とお金の神さまであるのとは好対照だ。

龍光院は雲光院というお寺の別院である。その雲光院はもともと中央区馬喰町にあったものだが、火事で焼けてこの地に越してきたそうである。そのとき別院に厄除けとして置かれたのが毘沙門天というわけだ。並びにある本院ともいうべき雲光院は、なるほど立派なお寺で地図を見ても境内も広く堂々としている。

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小さくとも、均整のとれた心地よい佇まいだ。

この龍光院も小さいながら端正な造りで、小綺麗に掃除も行き届きとても感じが良かった。扉はしまっていたがガラス戸から中を覗くと、こちらから見て本尊の左側に毘沙門天の立像が見える。だが、暗くてどんなお顔をしているのか窺い知れない。

小さな庭だが仏塔がある。なにかの梵字が書かれているが、誰もいないので聞くこともできない。果たして、毘沙門天とは関係あるのだろうか。賽銭箱もしまっていて、ここでは何もできないのかと思ったら、スタンプが用意してあった。持っていた江東区の下町ぶらりMAP『清澄白川』の余白に捺してみたら、「毘沙門天深川龍光院」と出てきた。


毘沙門天を思わせる力強い仏塔。下の梵字が印象的で、つい毘沙門天と関係があるものと考えてしまった。


七福神はスタンプラリーのつもりで回ろうと思ったのだが、本当にスタンプが現れた。

22:56:00 | datesui | No comments |

26 February

#355.深川七福神? −弁天さま−

お正月の間だっただろうか、深川の街のあちこちに『深川七福神巡り』という黄色い旗が風に靡いていた。その旗を目当てに7つの祠を訪ねて歩く人の姿があった。そのひとつ、冬木の弁天様を紹介しよう。

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大通りに面しているのだが入りにくい。これではご参拝の集客は見込めない。

冬木の地名は江戸時代の木材の豪商冬木家が由来である。ひと昔前、新木場へ移る前は木場の中心でもあった。その冬木のメインストリートである葛西橋通りに面してひっそりと佇んでいるのが冬木の弁財天だ。弁財天は芸道富有の神さまと言われ、お稽古ごとの守り神だ。芸の道の上達には欠かせない神様なのだ。

弁天様は普通、弁天堂などがあって目立つのだが、この冬木の弁天様は少し控えめで、芸道の神様としては少々もの足りない。もう少し色気が立たないとお参りのご利益も薄そうだ。

冬木家は芸の道にも理解があり、あの尾形光琳が江戸に滞在する時は冬木家に居候をしていたのは有名なことだ。また、深川祭りでもパトロンとしての存在を示し、今でも深川祭りの連合渡御、各町会の神輿の行列の中で冬木の神輿はひときわ立派である。
横道に入ったらさすが冬木の地は材木のメッカ、「日刊木材新聞社」という木材関係専門紙の新聞社があった。


「もう待てない、冬木の神輿」というコピー。冬木の大きな神輿は緋色の飾紐で目立ち、本祭りでも他を圧倒している。


『日刊木材新聞』とはどんな新聞だろうか。一度は見てみたいが、定期購読は遠慮させていただきますか。


00:30:57 | datesui | No comments |

22 February

#354.ここは自分流で

ダートはじっくりデータを読み込めば良いそうだ。競馬好きの著名人の中にはこんな理由でダートこそ狙い目と言う人がいる。確かにその通りで、対戦相手との比較はしやすいのでダートはデータ向きと思える。

ところが、ダートでもG?になると様子が異なる。地方競馬で有力レースがあるからだ。その最たる例がヴァーミリアンでJRAの所属だがこのところ地方での出走が多く、中央での過去1年6か月の成績を辿ってみてもJCダートでの出走が2回あるだけだ。G?の実績だから無意味なことはないが、データを眺める側からは少々物足りない。また、地方からの参戦馬のデータもJRAのレースだけでは把握できず、しかも有力馬であることが多いのも困りものだ。比較がしやすいのがダートかと思ったら、どっこいG?は様子が違っているのだ。

でも、そんなことはお構いなし、データベースは健気にデータをはじき出してくる。

◆Wsc: 61.1 メイショウトウコン   R: 45、 RR: 73、 RT: 69、 D: 0.1、 A: -1.0、 H: 3.7
◆Wsc: 60.3 ワイルドワンダー    R: 48、 RR: 72、 RT: 66、 D: -0.6、 A: -0.2、 H: 2.3
◆Wsc: 59.8 フィールドルージュ   R: 51、 RR: 67、 RT: 64、 D: -0.5、 A: -0.9、 H: 3.0
◆Wsc: 59.5 ヴァーミリアン     R: 41、 RR: 75、 RT: 59、 D: -0.2、 A: 0.5、 H: 1.0
◆Wsc: 55.5 クワイエットデイ    R: 36、 RR: 60、 RT: 67、 D: -1.8、 A: 0.1、 H: 1.1
以上がWsc55以上の推奨馬。
◇Wsc: 54.5 ロングプライド    R: 47、 RR: 54、 RT: 62、 D: -2.1、 A: -0.6、 H: 2.6
◇Wsc: 54.3 デアリングハート   R: 50、 RR: 52、 RT: 56、 D: -1.5、 A: 1.7、 H: -0.4
◇Wsc: 53.5 ブルーコンコルド    R: 44、 RR: 58、 RT: 52、 D: -2.3、 A: -0.1、 H: -0.1
◇Wsc: 52.6 ドラゴンファイヤー   R: 37、 RR: 55、 RT: 64、 D: -2.7、 A: -0.9、 H: 2.2
◇Wsc: 49.9 リミットレスビッド   R: 43、 RR: 46、 RT: 54、 D: -3.3、 A: 0.7、 H: 0.2
◇Wsc: 49.4 メイショウバトラー   R: 38、 RR: 40、 RT: 51、 D: -3.4、 A: 2.2、 H: -2.6
◇Wsc: 45.6 ビッググラス     R: 40、 RR: 37、 RT: 58、 D: -5.6、 A: -0.2、 H: 0.4
◇Wsc: 45.2 ノボトゥルー     R: 24、 RR: 41、 RT: 67、 D: -5.3、 A: -0.8、 H: 0.7
◇Wsc: 44.1 ヴィクトリー     R: 31、 RR: 48、 RT: 48、 D: -6.2、 A: 0.7、 H: -1.0
◇Wsc: 27.4 アンパサンド     R: 0、 RR: 0, RT: 0、 D: 0、 A: 0、 H: 0
◇Wsc: 27.4 フジノウェーブ    R: 0、 RR: 0、 RT: 0、 D: 0、 A: 0、 H: 0

   ・Wsc  :ウィニング・スコア→上位入着の可能性を示す総合指標で以下の指標から算出
   ・Rsc  :レースの実績→過去1年6か月を遡ったレースの実績を示す
   ・RRsc :最近の実績→6か月以内の直近3レースの実績を示す
   ・RTsc :タイム→最近のレースでの走破タイムを示すスコア
   ・DfWL :勝っぷり→勝った馬はどれだけ突き放したか、負けた馬はどこまで粘ったかを示す
   ・Asc :先行力→先行した実績を示すスコアで、高いほど先行している
   ・Hsc  :末脚→上り3ハロンの馬群の中で相対的に前に出たか後退したかを示す


【 展望 】
Wsc60を挟んで上位4頭の拮抗状態に、それに続くWsc50台の5頭の絡み合いという構図が読み取れる。つまりゴール前では、上位の4頭から3頭ぐらい、次のグループの5頭から1〜2頭の合計4〜5頭の競り合いが見られそうだ。この4〜5頭の固有名詞がわかれば良い訳だが、そこが難しい。データベースはそこを割り切って、上位4頭はそのまま、次の集団からは直前の実績からクワエットデイを抜擢したのだろう。

【 展開 】
先頭を切りそうなのはメイショウバトラーで、これに続くのがデアリングハートと見るのが妥当だろう。
そのあとは大きな集団が前を行く2頭を追いかける。ヴィクトリー、リミットレスビッド、ヴァーミリアン、クワイエットデイ、アンパサンド、フジノウェーブ、ブルーコンコルド、ワイルドワンダー、ビッググラス、というかたまりだ。
その後はもう後方集団で、ロングプライド、ノボトゥルー、ドラゴンファイヤー、フィールドルージュ、メイショウトウコン、という様相になりそうだ。

ヴァーミリアンやワイルドワンダーは位置取りさえ取れれば無理な仕掛けはせず、最後まで待っての仕掛けになるだろう。待っての仕掛けはだーとでもG?ならではのことだろう。すると注目は後方のフィールドルージュとメイショウトウコンの仕掛けのタイミングになる。前半のペースが速ければ仕掛けも待てそうだが、遅いペースだと終いの脚を長く使わなければならないことになる。


11:00:32 | datesui | No comments |

19 February

#353.ともに心のはたらき

先日、新宿へ映画を観に行った。イタリアの女流監督リリアーナ・カヴァーニの作品『フランチェスコ』で、そのついでに初台まで歩いて東京オペラシティアートギャラリーの『池田満寿夫 知られざる全貌展』を観た。

リリアーナ・カヴァーニは大好きな監督で、『愛の嵐』や『ルー・サロメ 善悪の彼岸』で知られているが、その手加減ナシのエロスの表現は拍手喝采の物凄さがある。一方池田満寿夫だが、これもエロスに関しては自他ともに認める旗手のひとりだろう。
この二人を観に行った訳だが、今回のリリアーナ・カヴァーニはフランチェスコという禁欲に徹した信仰者の話で、対する池田満寿夫の後半生はナント般若心境などに身を寄せた祈りの世界が展開していた。ネットで調べたときの気持ちに期待通りで、今までとは逆の裏面の芸を見せていただいたようだった。

この二人のエロスの表現は真面目に向き合っているからこそのものだろう。これが少しでも逡巡や躊躇いがあったらこうは行かない。確固たる意志の強さがあって、エロスの表現は成立する。いい加減な気持ちでのエロスの表現は低俗で醜劣なものでしかない。ふたりの厳しい信仰の世界を見ながら考えた事はなぜかエロスだった。


00:38:44 | datesui | No comments |