Archive for June 2009

29 June

#582.亀戸七福神巡り? −余滴・大根と鎧−

恵比寿様と大黒様がダブルで祀ったある香取神社は、亀戸七福神の中では最大の集客力があるようだ。平日の午後ではあったが、この境内では植木市が開催され賑わっていた。その植木市に埋もれるようにあるのが「亀戸大根の碑」である。その大根は幕末のころから栽培が盛んになったそうだ。この界隈は荒川水系の粘土質の土壌のため、肉質の緻密な白く冴えた肌の大根が育ったという。30cmほどの先が尖ったくさび状の大根で、「おかめ大根」とか「お多福大根」と呼ばれていたが、大正の初期に「亀戸大根」と名乗るようになった。早春に出荷できるため、野菜のない季節の江戸や東京では貴重な品だった。現在、亀戸での大根栽培はなく、葛飾区の3軒の農家で栽培されているそうである。

香取神社にはまだ見世物がある。それは俵藤太秀郷の武勇で有名なこともあり、等身大の武者人形が飾られている。それも1体2体ではなく、能舞台のようなところに並んでいる。前列の真ん中に悠々と鎮座している武将は緋縅(ひおどし)の鎧に黄金の面をつけ、いかにも大将然としている。これが5月の端午の節句ではなく、いつも飾られているとは勝負の香取神社の面目躍如たるものがある。その武将が抱えている刀の長いこと、ヘタ振り回すと自分の足を斬ってしまうだろう。


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左は亀戸大根の碑。目立ちやすい形をしているので見つけやすいが、それにしても、この植木市はもう少し遠慮ってものはないのですかね。右は鎧武者。俵藤太秀郷かどうかは、確認するのを忘れてしまった。



18:35:28 | datesui | No comments |

25 June

#581.G?的スローペースのタクティクス

いよいよ前半戦も終了だ。千秋楽の大一番は宝塚記念だ。そこへウオッカの回避という大ニュースが入ってきた。ちょっとガッガリだな〜と思ったのも束の間、今度はそれを上回る超大事件が伝えられた。
なんと、アグネスタキオンが急死したとのことだ。サンデーサイレンスの後継種牡馬の最高峰と評価されているアグネスタキオンだ。今後の競馬界に与える影響は計り知れないものがある。サンデーサイレンスの死去も17歳で残念だったが、アグネスタキオンは11歳で、まだこれからだ。サンデーサイレンスの血脈を伝え残すためにも惜しまれる死だ。

ウオッカの回避で1番人気確実のディープスカイだが、アグネスタキオンの急死で弔い合戦にもなり、人気は更に上昇するだろう。実力評価ではウオッカ抜きのドングリ状態であったものが、人気では一気にディープスカイのダントツ状態へ変ってしまったと思われる。ここは冷静になって、しっかりデータを眺めてみよう。


【 Wscランキング:宝塚記念 】
◆Wsc: 62.6 ディープスカイ    R= 58、 RR= 82、 RT= 59、 D= .2、 A= -.2、 H= 4.6
◆Wsc: 62.3 サクラメガワンダー   R= 58、 RR= 75、 RT= 56、 D= 1.5、 A= 0、 H= 2.1
◆Wsc: 58.2 マイネルキッツ    R= 54、 RR= 74、 RT= 58、 D= -.6、 A= -.5、 H= 2
◆Wsc: 57.6 カンパニー      R= 48、 RR= 79、 RT= 53、 D= -.9、 A= .1、 H= 2.5
◆Wsc: 57.5 ドリームジャーニー  R= 46、 RR= 79、 RT= 52、 D= -.2、 A= -1、 H= 2.9
◆Wsc: 57.0 アルナスライン    R= 53、 RR= 69、 RT= 58、 D= -.8、 A= .1、 H= 2.4
以上がWsc55を超えた推奨馬
◇Wsc: 53.2 アドマイヤフジ     R= 49、 RR= 70、 RT= 56、 D= -2.3、 A= 1.3、 H= .1
◇Wsc: 49.7 モンテクリスエス   R= 40、 RR= 64、 RT= 63、 D= -2.5、 A= -.7、 H= 1.5
◇Wsc: 48.6 インティライミ    R= 51、 RR= 57、 RT= 46、 D= -2.3、 A= .3、 H= -.9
◇Wsc: 46.6 スマートギア     R= 40、 RR= 51、 RT= 60、 D= -2.3、 A= -.9、 H= 3.3
◇Wsc: 46.1 スクリーンヒーロー  R= 46、 RR= 61、 RT= 45、 D= -4.2、 A= 1.1、 H= 2.4
◇Wsc: 35.5 ヒラボクロイヤル   R= 30、 RR= 40、 RT= 48、 D= -5.1、 A= -.3、 H= -1.7
◇Wsc: 33.8 コスモバルク     R= 31、 RR= 36、 RT= 55、 D= -6.5、 A= .7、 H= -4.8
◇Wsc: 31.3 エリモエクスパイア  R= 27、 RR= 39、 RT= 49、 D= -7.7、 A= -.4、 H= -5.5

   ・Wsc  :ウィニング・スコア→上位入着の可能性を示す総合指標で以下の指標から算出
   ・Rsc  :レースの実績→過去1年6か月を遡ったレースの実績を示す
   ・RRsc :最近の実績→6か月以内の直近3レースの実績を示す
   ・RTsc :タイム→最近のレースでの走破タイムを示すスコア
   ・DfWL :勝っぷり→勝った馬はどれだけ突き放したか、負けた馬はどこまで粘ったかを示す
   ・Asc :先行力→先行した実績を示すスコアで、高いほど先行している
   ・Hsc  :末脚→上り3ハロンの馬群の中で相対的に前に出たか後退したかを示す


【 展望 】
Wscのスコアから最有力馬がディープスカイであることには違いはない。ただ、ダントツではないのだ。2番手のサクラメガワンダーとはほとんど差はなく、2強と言っても過言ではない。お互い顔を合わせた去年の天皇賞・秋では、ディープスカイ3着、サクラメガワンダー6着とディープスカイにアドバンテージがあるが、その後はお互い3戦ずつ甲乙つけがたい戦績だ。ディープスカイはG?〜G?の3戦で全て2着だ。対するサクラメガワンダーはG?〜?だが、???と2回も勝ちきっているところが評価点だ。
また、他のメンバーも負けてはいない。天皇賞・春の勝ち馬マイネルキッツも自信を深め、惜敗をしたもののアルナスラインは一線級であることを意識し、ドリームジャーニーも戦えるメドはつき、カンパニーもこの距離の範囲なら行けると踏んでいるだろう。つまり、2強を追う4頭という構図になっているのだ。

スローペースも予想され、力量の差が詰まる6頭はサイコロを振ってもヨシという力関係になるかもしれない。その中で敢えての順位がWscのスコア順ということだろう。


【 展開 】
明確に逃げを打つ馬が見当たらない。しかも14頭という多くない頭数なので、後方にいても困る展開にはならないだろう。無理して先頭に立つ必要もない。だから、さらにペースが遅くなる。
という状況だが、実績から考えれば、アドマイヤフジがハナを切るのが妥当だ。次いでスクリーンヒーローが追走となる。この2頭までが先行集団となり、あと12頭は長く伸びた展開になりそうだ。
その10頭でも比較的前の方が、コスモバルクとインティライミだ。中頃には、カンパニー、アルナスライン、サクラメガワンダー、ディープスカイ、ヒラボクロイヤル、エリモエクスパイア、マイネルキッツの7頭で、後方が、モンテクリスエス、スマートギア、ドリームジャーニーということになりそうだ。

3コーナーから注目したいのはサクラメガワンダーの動きだ。早めに好位を取って4角では先頭に並び、そこからは勝負に出ないでゴール前で二の脚を見せるという乗り方だ。全体がスローペースで、14頭立てなので見通しが良く各馬とも仕掛けが遅れる。このような先行馬有利の展開のとき、サクラメガワンダーの戦法は極めて効果的である。決まれば優勝も十分ある。


23:32:32 | datesui | 9 comments |

24 June

#580.交流戦の普通化

プロ野球は交流戦がソフトバンクの連覇で終り、通常のリーグ戦に戻った。交流戦は今年で5年目になったが、しっかり定着した感がある。それは各球団がペナントレースの中での位置づけを明確に意識してきたことが結果に表れている。

その最たるものが交流戦下手だった中日だろう。中日の落合監督は、初年度の始まる前「五分五分で」という言葉に込められたように交流戦は勝つことよりマイナスを防ぐように戦うつもりでいたと思われる。結果は意気込みが表す通りで、毎年負け越しが続いていた。ところが今年はここまでの成績不振の取り返しもあったろうが、しぶとい戦いを重ね14勝9敗1分の結果で堂々3位に食い込んだ。

同じように今年はセリーグの球団の活躍があり、セリーグ70勝、パリーグ67勝と5年目で初めてセリーグが勝ち越した。交流戦上手のヤクルトの頑張りは今年も健在だったが、広島の奮闘、巨人の本気モードはセリーグ自体の交流戦に対する意識の変化と受け取りたい。

逆にパリーグは危機だ。交流戦で失墜した楽天、得意の交流戦で不振から抜け出すきっかけをつくれなかったロッテ、リーグ戦の不調のまま終わってしまったオリックスと、パリーグにとっての交流戦なのに機会を生かすことができなかった。

来年のことを言うと笑われそうだが、交流戦はリーグ戦の状況と変わらない結果になりそうだ。つまり、戦力豊富な強いチームがリーグ戦の戦績の鏡映しになるような気配を感じるのだ。セパ対等の交流戦だからとか、5000万円をねらってとか、という普段とは違うインセンティヴの働く戦いではなくなるように思えてならない。


11:11:50 | datesui | No comments |

22 June

#579.日本の豊な感性

卯の花の  匂う垣根に
時鳥  早も来鳴きて
忍音もらす  夏は来ぬ

という歌があるが、佐々木信綱の作詞による『夏は来ぬ』で、皆さんもご存じだろう。夏の風物詩を読みこんだ歌で、小さいころから口ずさんできた。今、この歌の歌詞を噛みしめてみると、全く意味がわからないまま歌っていたことに気づいた。

まず、卯の花だ。生まれてこのかた、ほとんど東京の下町で暮らしてきたこともあり、木々や鳥などの自然物には本物に触れる機会が少なかったので、卯の花を見たのはつい数年前のことだった。それまで卯の花は名前のイメージから豆腐のおからのような形をしているものと思いこみ、見てはいるのだが認識はできていなかった。ある日のテレビで卯の花が映し出され、そこで初めて卯の花を知ることになった。そこで初めて、近所で卯の花を発見することができたのだ。

時鳥はホトトギスと読む。ホトトギスは時鳥の他に、不如帰、杜鵑、子規など多くの漢字表記や異名が多い。歌詞では耳で覚えたこともあり、音楽の教科書の歌詞は音符の下にひらがなで書かれていたので、難しい字を読む必要はなかった。だが、これも姿を見たこともなければ鳴き声を聞いたこともない。俳句や百人一首やなどでホトトギスはよく登場するし、明治の文豪の文章にも季節の表現として実によく現われる。これなのにホトトギス知らずでは本当にマズいのだ。

最後に夏は来ぬの「来ぬ」だ。夏が来ないものと思っていたら、来たということらしい。「ぬ」は文語で、完了の助動詞とのことらしい。これも音楽の先生がわざわざ説明してくれたのだが、そのときは「へえ〜」で終わってしまったと思う。

とにかくこんな具合で、「早も来鳴きて」や「忍び音」なんかも詳しい意味は当然わからなかったはずだ。でも、早も来鳴きてはわかるかも知れないが、忍び音は何だろう。ホトトギスの鳴き方をいうのだという。すると、どうしても鳴き声も聞いておかなくてはいけないようだ。実は同じように卯の花も姿や形が重要なのではなく、ここでは匂いなのだ。残念ながら、これは今もわからない。

夏を詠んだ歌詞だが、見た目だけのことではなく匂いと鳴き声の詩だったのだ。夏の訪れを花が咲き、鳥が飛ぶことでもわかるが、匂いや鳴き声という視覚からさらに踏み込んだ感性を働かせるところがこの歌詞の醍醐味だ。これと同じように春の歌で『朧月夜』があるが、優れた視覚的表現に加えて、「匂い淡し」、「カワズの鳴くね」という嗅覚や聴覚の表現も忘れていない。

テレビやディプレイなどの映像文化に頼りきりになると、五感への広がりが鈍くなるような気がする。とかく、見てわかればそれで安心してしまうが、この機会に、匂いは、音は、味は、感触はということにも意識を払ってみようと思う。


23:45:00 | datesui | No comments |

21 June

#578.亀戸七福神巡り? −弁財天(東覚寺)・寿老人(常光寺)−

次の2つのお寺は明治通りの東側にある。香取神社を出て、まず通りを渡ることが最初の仕事だ。門の前の歩道橋を渡る。昭和の異物とも思える歩道橋だが、見渡せる範囲は狭いが見晴らし台のつもりで登れば急で登りにくい階段も忘れることができる。歩道橋の上から行き先を確認しておく。南に向いて見ると、目印のガソリンスタンドが見える。その横を入るのだ。

入った横丁の右手にお寺が見える、低い塀の中には墓地がある。ここが東覚寺だが裏側だ。もうひとつ角を曲がると東覚寺の門に出る。東覚寺は亀戸不動として江戸のころから賑わっていたらしいが、今は静かで品の良い瀟洒なお寺になっている。門を入ってすぐ右に弁天様の祠がある。これも品良く収まっていた。

東覚寺を出て、左の東の方向へ進む。ここから次の常光寺はすぐ近くなので、少々道を間違えてもそのうち辿りつくことは請け合いだ。広い通りに出るところが、三叉路だか五叉路だか、いい加減に道が集まってしまったような交差点になっている。信号機の先を見ると常光寺の立派な建物が見える。

かなり広い通用門を入ると、丸型ドームのような本堂の前の境内はきちんと舗装され、全体がシステム化されている仏教教団のように感じる。寿老人もどんなものか妙な期待や不安が浮かんだ。オートマチック寿老人とか寿老人メカニカなどというハイテク化された言葉が行き来した。ところが境内の端に昔ながらの木造の小さな祠を見つけ、これが寿老人だった。物置小屋と思える風情だったが、逆に安心した。七福神は素朴な民間信仰であるので、この程度が良いのだ。ホッとした気持ちで頭を垂れ、さっぱりした心地で常光寺の寿老人を後にした。

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今回は弁天様と寿老人の祠ではなく、対照的な本体の寺院を紹介する。左は東覚寺の境内。広くて穏やか、お寺としての風格もあり好感がもてる。右は常光寺。新装開店、駐車場完備か。ヤリ手の住職がいそうな新興寺院という雰囲気だ。今の仏教寺院に一番大切な集客力には絶対の自信ありという感じだ。


12:10:16 | datesui | 40 comments |