Complete text -- "#296.通り抜け厳禁"

07 November

#296.通り抜け厳禁

「私道ですので」とか「私有地につき」ということで、通り抜けを断る表示を見かける。部外者の通り抜けを禁止しているもので、中から外への禁止要請である。このように禁止要請の類は中から外へのものがほとんどである。逆に、通り抜け禁止を読んで通り抜けができることを知ることにもなるのだ。だから、飲み屋街や昔の風俗地帯では、「ぬけられます」とか「駅への近道」などと書いて集客をねらうこともあるようだ。このような近道には忌避感が働くこともあるが、踏み込んでみたいという誘惑が大きいのも現実である。

この1週間ほど、膠着状態気味の政治の世界に動きがあった。大連立の話が出て民主党は大荒れ、自民党の福田君は思いもしない得点をかなり稼いだと思われる。夏の参議院選挙前は政府や自民党は失策続きで、民主党は相手のエラーで得点を稼いだが今度はその逆が起きたわけだ。
小沢君は次の選挙で勝って政権を取るといっていたので、連立への受け入れは周囲から猛反発を受けたわけだ。でも、小沢君にしてみれば、農林水産大臣をはじめ国土交通、厚生労働などの生活関連のポストをとれば次の選挙で勝算ありと思ったのだろう。特に農林水産を獲れば、今回の参議院選挙で勝った一人区対策の仕上げができそうに思ったに違いない。利権の塊の国土交通も手に入れば700万票とも言われる懐かしい土建屋の票も手にできる。さらに、厚生労働を陥せば大票田の高齢者に向かって集票政策が展開できるのだ。また、最近の選挙を動かしたと言われる浮動票の中核である未組織労働者への政策展開も可能になるが、この層は小泉純一郎とか石原慎太郎のようなアイドルでしか動かないから、取り込むより無能力化に努めるだろう。

こうして思うと、次の選挙に勝って政権交代のためには、大連立というのは一番手っ取り早い選挙に勝つ方法だったのだ。大連立については民主党内部でも首相ならOKということだったらしいが、これだと政権交代ではあるが選挙によるものではない。ここは首相を捨てても選挙を採った小沢君の判断はあながち裏切りとも思えないフシもある。選挙に勝つ確実な近道を通り抜けようと思ったら外から待ったが掛かってしまったわけだ。


22:30:00 | datesui | |
Comments

アマデウス wrote:

ご無沙汰しております。
気が付くと、こちらの筆も進んでおり、また拝読させて頂こうと思います。
さて、タイトルからは思いもしなかった内容、しかも洞察の深さに感動しました。
個人的には、自分で政策が語れる数少ないまともな政治家として、以前から関心を持っていたのが小沢一郎でした。(手法は別としても)
今回の件も、辞職→離党→新党結成→連立誕生という10年前と似たような流れを想像していただけに、早来さんの記述に感動した訳です。
小沢センセイに託したい気持ちもあるのですが、やはり今の民主党では難しいのでしょうか!?
11/11/07 14:24:16

datesui wrote:

コメント、ありがとうございます。
自民党がしたいと言っていた会談は、行間を読み合う話し合いで、しかも人前ではできない行間の確認ができる形式が必要だったのでしょう。
安倍君が小沢君に持ちかけた会談がどんなものか分りませんが、断られて首相を辞めてしまいました。小沢君から見れば、安倍君では国会の場としか言えない相手だったのでしょう。
日本の社会では、やはり年齢は最大の実力かもしれません。
11/12/07 11:56:37
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