Complete text -- "#348.初心に返って"

06 February

#348.初心に返って

先日、出光美術館で伊勢物語をテーマした『王朝の恋・描かれた伊勢物語』を観てきた。気分が優れなかったので気分転換をしたかったのだが、このところ寒い日が続き外出が億劫になっていて遠出はご遠慮という気持ちもあったので、有楽町の出光美術館ならもってこいの距離だった。

お馴染みの筒井筒や河内越えなどはパッと見てすぐわかり、とても楽しかった。井戸の絵があれば、なるほど筒井筒ということになろう。また、河内越えでは男が物陰に隠れて妻の様子を伺うのだが、平安貴族の装束だ。目立つし大きな帽子は被っているで、これで隠れたことになるかと思うような情景である。

ところで日本の美術展での困りごとは作品が小さいことだ。この伊勢物語でも例外ではなかった。俵屋宗達の筆と伝えられる『宗達色紙』という1尺四方の作品群があるが、少し人がたかるともう見えない。人の隙間から、それこそ河内越えの気持ちで観ることになった。ざっと30点、どれも力作で、宗達の多芸を改めて感心して帰ってきた。

伊勢物語は古典の中でも大好きで、しかも親しみやすい分量なので原典に触れる機会も少なからずあった。要は腕に覚えという心積もりで出掛けた訳だ。だが、東下り、筒井筒、隅田川などを除いては再履修になりそうだ。


23:51:00 | datesui | |
Comments
コメントがありません
Add Comments
:

:

トラックバック
DISALLOWED (TrackBack)