Complete text -- "#503.誰でも良かった −2008年を振り返って?−"

29 December

#503.誰でも良かった −2008年を振り返って?−

いわゆる無差別殺人という事件が多発したのも今年の特徴だ。なかでも6月に起きた秋葉原通り魔事件は、甚だ残念だが鮮烈な印象を残した。この他にも、3月に遡るが茨城連続殺人事件、同じ3月の岡山駅突き落とし殺害事件、そして7月には八王子通り魔事件と、狭い日本に相次いで無差別殺人事件が連発した。しかも、揃って殺害の相手は「誰でも良かった」という無味乾燥状態の殺人だ。

バーチャルな時代を物語ると言っては身も蓋もないが、架空の相手に殺意を抱けるという不思議な時代になってしまったのである。殺人は相手が憎くて殺したくなるのであって、手段としての殺人のはずだ。それが、殺人自体が目的になるというのは戦争か、極刑か、正当防衛ぐらいしか考えられないのだが、まだあるのだろうか。その昔もどうしようもない閉塞感から不満の矛先をどこに向けて良いのかわからない時もあったが、不特定者に殺意を表すことはなかったと思われる。ネット社会が生んだ日常会話を匿名で語り合うという生活環境がこのような感覚を生じさせたのかも知れないが、こと殺人事件だけに困ったことである。

自分勝手な言い分だが、もし自分が被害者だったらどうだろう。突然、まったく関係ない他人から人生を終了させられてしまうのだ。承服できるだろうか。


16:19:55 | datesui | |
Comments
コメントがありません
Add Comments
:

:

トラックバック
DISALLOWED (TrackBack)