Complete text -- "#37.3月の鑑賞活動"

06 April

#37.3月の鑑賞活動

3月は映画2本、ミュージアム3か所という鑑賞活動をした。

まず、映画は丸の内プラゼールで『ミュンヘン』と、フィルムセンターで公開していた『会議は踊る』を観た。スピルバーグが、『シンドラーのリスト』の2匹目のどじょうをねらっての『ミュンヘン』と思えたが、どうもそうはいかなかったようだ。作り方が拙かったのでない。史実に基づくストーリー自体が劇的ではなかったのだ。『シンドラーのリスト』は殺される危険に瀕した固有名詞のあるユダヤ人の救済という目的があるから、シンドラーの勇気ある行動が感動につながるのであるが、『ミュンヘン』はミュンヘン・オリンピックのイスラエル選手がテロでの殺害への単なる報復としか見えないところが感動にならないのだ。ユダヤ人を守るという究極の目的は分かるが、首謀者を消すだけという行動自体が目的という史実は、いくらスピルバーグとはいえ、どう料理しても無理なのだろう。全体には丁寧なつくりの映画で、前向きな気持ちで観たつもりだが評価は「C」だ。主演のエリック・バナも難しい役どころだが好演だった。でも、最後のベッドシーンは役得も何もないつまらない場面で、あればっかりは同情してしまう。

京橋のフィルムセンターでは、『ドイツ・オーストリア映画名作選』と題して、ドイツ・オーストリア映画の秘蔵フィルムの映写会があった。なんと1月から開催されていたようで、気がつくのが遅くてもったいないことをした。『カリガリ博士』、『嘆きの天使』、『民族の祭典』とまあ珠玉の作品が観ることができたかと思うと、大変残念ならない。遅れ馳せながら出掛けたわけだが、『会議は踊る』は平日の15:00にも関わらず満員だった。モノクロームの画面も素晴らしかったが、音楽が良かった。まさしく本物で、これには感激だった。キャストは忘れてしまったが、ロシア皇帝を演じた俳優はスゴイ男前、昔はイイオトコがいたようだ。なお、6月の企画は『フランス古典映画への誘い』ですので、興味のある方は京橋へ集合。


ミュージアム関連は、長谷川潔展、横浜美術館の常設、江戸下町伝統工芸館の3か所を巡った。長谷川潔は日本よりフランスでの評価の高い珍しい美術家で、その作品を地道に収蔵していた横浜美術館を賞賛したい。マニエル・ノワールという銅版画では珍しい漆黒の画面は、その深さと抽象性から水墨画の余白のように見えた。また、同時に観た横浜美術館の常設も思ったより充実していて見応えがあった。それ以上に評価したいのは、学芸員たちの工夫だ。展示室のスタンプリレーのような企画があって、スタンプを集めるとご褒美までもらえるのだ。因みに、ご褒美は長谷川潔のポストカードで、買うか買うまいか迷っていたところだったので、とても嬉しかった。

江戸下町伝統工芸館は、入場無料なので入ってみた。タダの割には手が入っていて、見苦しいところはない。それどころか指物や簾はとても見応えがあり、確かな技を受け継ぎ生かしている姿には、拍手を贈りたい気持ちだった。


06:00:00 | datesui | |
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