Complete text -- "#76.5月の鑑賞"

01 June

#76.5月の鑑賞

5月の鑑賞は映画1本、美術展2回と、月課はクリアしたものの低調の感は否めない。雨に祟られたこともあったが、ダービーを始め他に気になることが続出したからとした方が景気が良くていい。
観た映画は『Vフォーヴェンデッタ』、入った展覧会は国立近代美術館の『藤田嗣治展』とブリジストン美術館の『雪舟からポロックまで』の2つだ。『Vフォーヴェンデッタ』は、最初は子供騙し見えたものが、観ていくうちにどんどん面白くなる映画で、不思議な楽しさを味わうことができた。『藤田嗣治展』は相変わらず混みあっていたが、見づらいことはなかった。近代美術館蔵の『アッツ島玉砕』は以前から観ていたものの戦争画への忌避感が先に立ってしまう作品で、評価もどうしても低かった。今回、多くの嗣治作品の中で観ると、いや流石は嗣治、素晴らしい構成力である。個々人物描写に加え、あれだけの人数の群像のまとめ上げは、戦争画においても嗣治の才能は十分評価されるべきものだろう。
ブリジストン美術館の『雪舟からポロックまで』は企画展としては特筆するものではない。というのも、企画展というよりは常設展の延長のようなものなのである。このようなことを言うと評価が落ちるようだが、そうではない。この企画展は、ブリジストン美術館と兄弟美術館である久留米の石橋美術館の所蔵品のみで成立しているのである。『雪舟からポロックまで』と、少々雑駁な感じのする企画ではあるが、それはやむをえまい。美術館の中には自前の所蔵品をほとんど持たないところもあって、ただ立地だけの集客力だけで運営している単なるイベントホールのような美術館もある。これなら別に美術館と名乗る必要もない。
個人の財産の使い道をとやかく言うつもりはないが、20世紀までの大金持ちの中には素晴らしい芸術のパトロンがいたようだ。21世紀の新種の金持ちが何にお金を使うか非常に興味がある。


06:00:00 | datesui | |
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