Archive for 12 September 2006

12 September

#146.負圧というイメージしにくいもの

高気圧は天気が良く、低気圧は天気が悪いというのは常識だが、天気予報などを見たり聞いたりしていると、同じ気圧差でも低気圧の方が高気圧に比べ反応が厳しいようだ。低気圧の場合、気圧の低いところがあれば、そこへめがけて周囲から空気が流れ込むから相乗効果で強い風になるのだろう。これに比べて高気圧は周囲へ空気をばら撒くことになるので、空気は集中することがないので風はそんなに強くならないのだろう。

去年の夏のことだが、部屋の中へ冷房の空気が回ってこないので、扇風機を使って冷気を送り込むようにした。確かに少しは涼しくなったが、効果はイマイチ芳しくなかった。ところがある日、扇風機の置き場所がなかったため、仕方なしに空気を外へ追い出すように使ってみた。しばらくしてビックリした。冷気が良く入ってくるのだ。部屋の中の気圧を下げて、外から引き込むようにした方が押し込むより冷気はよく入るのだ。そう言えば子供ころ、夏の暑い日に風を通すには、風の出口を確保して風が抜けるという感覚を教え込まれたような思い出がある。そのときのイメージは、風の抜け口を空けた瞬間、風が吹き込むというより吸い出されるような感じだった。

このように負圧が作り出す力は真空ブレーキなどに利用され、負圧はさまざまな機械に広く用いられている。空を飛ぶ飛行機も、翼面の下から押し上げる力よりも、翼面の上から吸い上げられる力の方がはるかに大きいとのことだ。まだ、力学が若い頃、あの力学の大御所のニュートンでさえ押し上げる力しか考えられず、負圧による吸い上げる力を想定できなかったため、飛行は不可能という結論を出したそうだ。
力ずくで押すより、空間をつくって引いた方が効果は大きいということは、空気は方円の器に従う水以上の不思議な存在のようだ。


06:00:00 | datesui | 2 comments |