Complete text -- "#146.負圧というイメージしにくいもの"

12 September

#146.負圧というイメージしにくいもの

高気圧は天気が良く、低気圧は天気が悪いというのは常識だが、天気予報などを見たり聞いたりしていると、同じ気圧差でも低気圧の方が高気圧に比べ反応が厳しいようだ。低気圧の場合、気圧の低いところがあれば、そこへめがけて周囲から空気が流れ込むから相乗効果で強い風になるのだろう。これに比べて高気圧は周囲へ空気をばら撒くことになるので、空気は集中することがないので風はそんなに強くならないのだろう。

去年の夏のことだが、部屋の中へ冷房の空気が回ってこないので、扇風機を使って冷気を送り込むようにした。確かに少しは涼しくなったが、効果はイマイチ芳しくなかった。ところがある日、扇風機の置き場所がなかったため、仕方なしに空気を外へ追い出すように使ってみた。しばらくしてビックリした。冷気が良く入ってくるのだ。部屋の中の気圧を下げて、外から引き込むようにした方が押し込むより冷気はよく入るのだ。そう言えば子供ころ、夏の暑い日に風を通すには、風の出口を確保して風が抜けるという感覚を教え込まれたような思い出がある。そのときのイメージは、風の抜け口を空けた瞬間、風が吹き込むというより吸い出されるような感じだった。

このように負圧が作り出す力は真空ブレーキなどに利用され、負圧はさまざまな機械に広く用いられている。空を飛ぶ飛行機も、翼面の下から押し上げる力よりも、翼面の上から吸い上げられる力の方がはるかに大きいとのことだ。まだ、力学が若い頃、あの力学の大御所のニュートンでさえ押し上げる力しか考えられず、負圧による吸い上げる力を想定できなかったため、飛行は不可能という結論を出したそうだ。
力ずくで押すより、空間をつくって引いた方が効果は大きいということは、空気は方円の器に従う水以上の不思議な存在のようだ。


06:00:00 | datesui | |
Comments

仙台 wrote:

子供が柳田理科男の「空想科学読本」を中学校の図書館で借りてきました。ガメラはその体重と甲羅の丸みから、時速30kmくらいのスピードで走ると飛んでしまうという計算に感心しました。
一方、竹内薫著「99.9%は仮説」(光文社新書)という本に、飛行機が飛ぶ仕組みは、実はよくわかっていない、というのがあって、これはこれで目から鱗の感動でした。
飛ぶ、という現実から逆算して成り立つテクノロジーというのは、オカルト的で面白いですね。
09/12/06 15:38:55

datesui wrote:

「でも、鳥は飛んでいる」というのが支えになって、ニュートンをも無視して飛行の研究は進められたそうです。その結果、推進力が浮力を生み出すことがつかめたそうで、ガメラの話も納得できる訳です。
流体力学は古典物理学の中で唯一わからないままで残ってしまった分野です。ジャンボの飛んでいる理由も完全にはわかっていないと思われますが、「それでもジャンボは飛んでいる」とでもいうのでしょうか。
09/12/06 23:04:49
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