Archive for November 2008

29 November

#492.成熟期のジャパンカップ

6歳牝馬、メアジードーツのゴール前の一瞬の切れ味に舌を巻いてから27年が経った。ジャパンカップも28回を数えて、成熟の域にというところか。今年も海外から4頭が参加し一応の国際色は保たれているものの、G?ホースの参加はなくほどほどの盛り上がりというところか。
対する日本の陣営は、メイショウサムソン、ウオッカ、ディープスカイの3世代のダービー馬が揃い、さらに菊花賞馬、前年のグランプリホースも参戦してダイワスカーレット以外はほぼ勢揃いという盛況だ。有馬記念を控えて、世代間の実力差の把握ができそうな興味あるレースになりそうだ。

【 Wscランキング:ジャパンカップ 】(外国馬は除外)
◆Wsc: 66.8 ウオッカ       R= 53、 RR= 85、 RT= 75、 D= 1.3、 A= 0.0、 H= 1.9
◆Wsc: 62.1 マツリダゴッホ    R= 58、 RR= 75、 RT= 60、 D= 1.8、 A= 1.0、 H= 1.5
◆Wsc: 62.0 ディープスカイ    R= 55、 RR= 80、 RT= 63、 D= 0.5、 A= -0.1、 H= 5.5
◆Wsc: 57.4 オウケンブルースリ  R= 54、 RR= 68、 RT= 63、 D= 0.7、 A= -1.1、 H= 4.9
◆Wsc: 56.1 スクリーンヒーロー  R= 47、 RR= 69、 RT= 63、 D= 0.6、 A= 1.2、 H= 2.1
◆Wsc: 55.4 メイショウサムソン  R= 61、 RR= 72、 RT= 52、 D= -0.9、 A= -0.2、 H= 0.5
以上がWsc55を超えた推奨馬。
◆Wsc: 50.6 トーホウアラン    R= 42、 RR= 69、 RT= 58、 D= -0.7、 A= 0.4、 H= 0.8
◆Wsc: 47.2 アサクサキングス   R= 53、 RR= 66、 RT= 58、 D= -3.6、 A= 2.0、 H= -1.2
◆Wsc: 46.1 オースミグラスワン  R= 34、 RR= 62、 RT= 69、 D= -2.0、 A= -0.9、 H= 2.2
◆Wsc: 45.2 アドマイヤモナーク  R= 46、 RR= 63、 RT= 60、 D= -2.9、 A= -1.0、 H= 2.9
◆Wsc: 41.8 ダイワワイルドボア  R= 38、 RR= 59、 RT= 55、 D= -2.0、 A= 0.2、 H= 1.5
◆Wsc: 40.7 ネヴァブション    R= 42、 RR= 51、 RT= 59、 D= -3.2、 A= -0.4、 H= 3.6
◆Wsc: 36.5 トーセンキャプテン  R= 35、 RR= 52、 RT= 62、 D= -4.3、 A= 0.1、 H= 0.1
◆Wsc: 32.0 コスモバルク     R= 46、 RR= 42、 RT= 42、 D= -4.3、 A= 2.3、 H= -6.0
(外国馬)
◆Wsc: パープルムーン
◆Wsc: シックスティアーズ
◆Wsc: マーシュサイド
◆Wsc: ベイバルブル

   ・Wsc  :ウィニング・スコア→上位入着の可能性を示す総合指標で以下の指標から算出
   ・Rsc  :レースの実績→過去1年6か月を遡ったレースの実績を示す
   ・RRsc :最近の実績→6か月以内の直近3レースの実績を示す
   ・RTsc :タイム→最近のレースでの走破タイムを示すスコア
   ・DfWL :勝っぷり→勝った馬はどれだけ突き放したか、負けた馬はどこまで粘ったかを示す
   ・Asc :先行力→先行した実績を示すスコアで、高いほど先行している
   ・Hsc  :末脚→上り3ハロンの馬群の中で相対的に前に出たか後退したかを示す


【 展望 】
このレースは日本馬中心ということになりそうだ。もうひとつの注目は武豊の落馬負傷による不参加だ。いつもなら、武豊はライバル他馬への騎乗経験があって、それだけでアドバンテージが出てしまうのだが、今回はディープスカイに騎乗する四位にアドバンテージがつくという珍しいことが起きる。これで四位が硬くならなければ良いのだがということだ。

中心はウオッカだ。相手はメイショウサムソンとディープスカイだが、この他に争覇圏内にあるのが、マツリダゴッホ、オウケンブルースリ、スクリーンヒーローだ。注目したいのは、DfWLのスコアの良いマツリダゴッホが面白そうだが、難しい割には堅く収まるという予想の意欲が湧きにくいレースだろう。


【 展開 】
明快な先行馬が不在で、逃げ馬が良く読めない。強いて言えば、コスモバルクかアサクサキングスということになろうが、意識的に先頭に立つとしたらアサクサキングスだろう。そして、その後の先行馬が、スクリーンヒーロー、マツリダゴッホという形になりそうだ。
中段は大きい集団になる。前のほうから、トーホウアラン、ダイワワイルドボア、トーセンキャプテン、ウオッカ、パープルムーン、シックスティアーズ、マーシュサイド、ベイバルブル、ディープスカイ、メイショウサムソン、ネヴァブションという順で、4角まで進みそうだ。
後方は、オースミグラスワン、アドマイヤモナーク、オウケンブルースリの3頭になる。

ペースはスローになるのは必至だ。ウオッカやマツリダゴッホは早めに先頭グループに取りつくだろう。ケヤキを過ぎてからの4コーナーにかけては静かな忙しさが騎手を悩ますのではなかろうか。


17:15:11 | datesui | No comments |

24 November

#491.京都へ行ってきました? −洛南・伏見稲荷−

洛南は探訪の機会が薄かった。2001年前から始めた京都探訪でも、京都駅より南は東寺、東福寺、泉涌寺ぐらいしか行っていない。いわゆる洛南には足を踏み入れていないのだ。とい言う訳で今回の洛南巡りはついでや折角という感じで、探訪先がどんどん膨れ上がった。
この伏見稲荷もそのひとつだ。行きたい理由は有名で参拝者多いからだ。何でも新年の初詣の参拝客数が殊のほか多いとのとこらしい。警察庁発表の2006年の初詣の参拝者数は、?明治神宮、?成田山、?川崎大師の順で、いずれも関東の寺社だが4位には伏見稲荷が入っているのだ。以下、?名古屋の熱田神宮、?大阪の住吉大社、?浅草寺、?鶴岡八幡宮、?太宰府天満宮、?氷川神社ということらしい。伏見稲荷は270万人を集めて関東以外では堂々のトップなのだ。また、初詣にはご利益がつきもので、厄除け、縁結び、家内安全など様々だが、伏見稲荷は商売繁盛、いかにもご利益に相応しいコンセプトが明快でわかりやすい。という訳で妙に魅力を感じていたのである。

洛南めぐりの最後になったが、どうしても行かねばと本命の宇治の散策でさえ少しだが省略をしての辿り着きだった。最寄りの駅に着くと駅からの参道は活気が違う。さすがは集客力のある神社で、駅からの道しるべもいらない。お店の並びの活気がそのまま神社に向かっているのだ。

鳥居、本殿、さすがに立派だ。お賽銭をあげて、早速本殿の裏に回って千本鳥居への挑戦だ。ところがここで大失態。デジカメのバッテリーが切れてしまった。昨日、充電しておいたのだが、石清水八幡宮の鬱蒼としたところでの撮影でフラッシュを乱写したためか、それとも連写につぐ連写のためか、理由はどうでもいいのだがデジカメが使えない。お目当ての千本鳥居は写せなかった。

その千本鳥居の続くこと続くこと、参道を登っては終りかと思えども、またまた鳥居は続くのである。2、30分ほど歩いただろうか、茶店の人にどこまで続くのか聞いてみたところ、これで3分の1だそうだ。これに急に戦意がなくなり、踵を返すことにした。空も薄暗くなってきて気持ちも悪くなるので、一目散に下山をしたところ、行きの道とは違う雰囲気に気づいた。どうも、普通の人家の通りに出てしまったようだ。どこでどう間違えたか分からないが、お稲荷さんなのでキツネにつままれたようなことになった。途中で止めたバチでも当たったか、もう一度入り直して、お札をいただいて帰ることにした。

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駅から降りて、この賑わいを辿っていけば伏見稲荷に着く。許波多神社とは大違いだ。右は秀吉の造営とされる楼門。秀吉の母の病が治れば一万石奉加するいう「命乞いの願文」が伝わっているそうだ。一万石奉納するから治してくれではなく、治ったらいくらというところが秀吉らしい。


15:34:23 | datesui | No comments |

21 November

#490.展開は先行集団向きか

1984年に始まったマイルチャンピオンシップ、数えて25回になった。始まったのはついこの前のことかと思ったが、秋の京都の伝統レースという風格さえ漂ってきた。それは見応えのあるレースとそのレースを演じた名役者が数多く出たことだろう。創設いきなりニホンピロウイナーが連覇して、1マイルのスペシャリストという存在をクローズアップさせた。そのようなスペシャリストとしてマイルチャンピオンシップを連覇した馬は、ニホンピロウイナーを含めて5頭になる。あとの4頭はダイタクヘリオス、タイキシャトル、デュランダル、ダイワメジャーという名馬揃いだ。これらの名馬も素晴らしいが、シンコウラブリイやノースフライトという華麗な牝馬の活躍も、マイル戦というレース自体の興味に加え、錦上花を添えるかのように楽しませてくれた。

さて25回目の栄冠はどの駿馬の鞍上に輝くであろうか。天皇賞を蹴ったスーパーホーネットやエリザベス女王杯を蹴ったブルーメンブラッドの一所懸命の心意気もあり、また、カンパニーやスズカフェニックスの古豪も健在だ。データベースもきわどい数字を吐き出してきた。

【 Wscランキング:マイルチャンピオンS 】
◆Wsc: 64.2 ブルーメンブラット R= 63、 RR= 75、 RT= 57、 D= .5、 A= .2、 H= 3.8
◆Wsc: 60.4 スーパーホーネット R= 63、 RR= 64、 RT= 63、 D= -.5、 A= .1、 H= 4.6
◆Wsc: 58.3 エイシンドーバー  R= 66、 RR= 69、 RT= 61、 D= -2.1、 A= .5、 H= 2.8
◆Wsc: 57.7 ローレルゲレイロ  R= 48、 RR= 72、 RT= 62、 D= -.5、 A= 3.1、 H= -.9
◆Wsc: 56.3 カンパニー     R= 63、 RR= 67、 RT= 67、 D= -3.1、 A= -.1、 H= 4.7
◆Wsc: 56.2 マイネルレーニア  R= 39、 RR= 68、 RT= 63、 D= .6、 A= 2.9、 H= -2.4
◆Wsc: 55.5 キストゥヘヴン   R= 58、 RR= 61、 RT= 66、 D= -1.6、 A= 0、 H= 2.8
以上がWsc55を超えた推奨馬
◆Wsc: 54.6 スズカフェニックス R= 60、 RR= 67、 RT= 67、 D= -3.2、 A= -.6、 H= 3.9
◆Wsc: 54.6 リザーブカード   R= 50、 RR= 65、 RT= 70、 D= -1.6、 A= .1、 H= 2.6
◆Wsc: 52.1 サイレントプライド R= 53、 RR= 59、 RT= 59、 D= -.8、 A= 1.9、 H= 3
◆Wsc: 50.8 ジョリーダンス   R= 54、 RR= 64、 RT= 67、 D= -3.3、 A= .8、 H= .9
◆Wsc: 47.6 アドマイヤスバル  R= 33、 RR= 57、 RT= 70、 D= -1.9、 A= .8、 H= .5
◆Wsc: 44.8 マルカシェンク   R= 57、 RR= 47、 RT= 60、 D= -2.8、 A= .1、 H= 2.9
◆Wsc: 40.5 ファイングレイン  R= 44、 RR= 51、 RT= 66、 D= -4.3、 A= 1.1、 H= .6
◆Wsc: 35.3 スマイルジャック  R= 43、 RR= 53、 RT= 51、 D= -3.9、 A= 1.4、 H= 1.4
◆Wsc: 31.8 ショウナンアルバ  R= 42、 RR= 43、 RT= 51、 D= -4.4、 A= 1.3、 H= 1.2
◆Wsc: 29.2 コンゴウリキシオー R= 45、 RR= 33、 RT= 63、 D= -6.6、 A= 3.7、 H= -4.3
◆Wsc: 0  ラーイズアトニー  R= 0、 RR= 0、 RT= 0、 D= 0、 A= 0、 H= 0"

   ・Wsc  :ウィニング・スコア→上位入着の可能性を示す総合指標で以下の指標から算出
   ・Rsc  :レースの実績→過去1年6か月を遡ったレースの実績を示す
   ・RRsc :最近の実績→6か月以内の直近3レースの実績を示す
   ・RTsc :タイム→最近のレースでの走破タイムを示すスコア
   ・DfWL :勝っぷり→勝った馬はどれだけ突き放したか、負けた馬はどこまで粘ったかを示す
   ・Asc :先行力→先行した実績を示すスコアで、高いほど先行している
   ・Hsc  :末脚→上り3ハロンの馬群の中で相対的に前に出たか後退したかを示す


【 展望 】
満を持してのブルーメンブラッドとスーパーホーネットにはご祝儀相場もついて中心馬に推挙されることになった。そこへの脇役集団だが、エイシンドーバー、ローレルゲレイロ、カンパンイー、マイネルレーニア、キストゥヘヴンの5頭がひしめく混戦になっている。抜け脱すような馬も見当たらない。
結局、Wsc上位の2頭を中心に考えることになると、対戦内容からタイムの裏付けの欲しいブルーメンブラッドだが、タイムを表すRTのスコアはスーパーホーネットに後れをとり、スーパーホーネットの独壇場となるのは致し方あるまい。すると、あとの6頭は脇役だが、その中からは、マイネルレーニアの上昇力とカンパニーの強敵相手の善戦に注目したい。


【 展開 】
マイル戦だけに明確な先行脚質に馬がいて、出馬表を見ているだけでも気持ちが良い。その先頭集団を構成するのは、コンゴウリキシオー、ローレルゲレイロ、マイネルレーニアの3頭だ。先頭を切るのは、コンゴウリキシオーに任せたい。
次の先行集団は、サイレントプライド、スマイルジャック、ショウナンアルバ、ファイングレインの4頭だ。実質的なペースをつくる重要な集団だ。
中段は、アドマイヤスバル、ジョリーダンス、エイシンドーバーの3頭だが、全体をみると実はここまでが実質的な先行グループかもしれない。
後方には大きなカタマリができる。ブルーメンブラット、マルカシェンク、リザーブカード、スーパーホーネット、ラーイズアトニー、キストゥヘヴン、カンパニー、スズカフェニックスの8頭だが、4コーナーを回って、早めにポジションの取れた馬は外を回るだろうが、内を突かざるをえない馬も出ることだろう。

マイル戦はペース次第で先行有利や追い込み馬向きになったりするのだが、先頭集団の次につける先行集団の動きが実質のペースをつくることになる。この先行集団の4頭少々調子落ちなので、実質ペースは遅くなることが予想される。すると、先頭集団は後ろから突かれることもなくペースを落とせるので、ローレルゲレイロやマイネルレーニアは大いに有利だ。後方からは、末脚を生かすスーパーホーネットやスズカフェニクスか、それとも自在性を生かしてのエイシンドーバーか、ペースと位置取りで決まるが3コーナー手前での判断になるだろう。


12:50:42 | datesui | No comments |

19 November

#489.京都へ行ってきました? −洛中・続烏丸線沿線巡り−

円通寺から国際会館に戻り、また烏丸線に乗る。今出川で降りて相国寺へ行く。今出川通りの狭い歩道が歩けない。授業が終わった同志社の女子中学の生徒で溢れているのだ。相国寺は水上勉の『雁の寺』で有名だが、当然それだけではない。萬年山相国丞天禅寺と言い京都五山第二位の名刹で、境外塔頭には金閣や銀閣がある。創始者である開基は足利義満、初代の住職をさす開山は名僧無窓疎石で、当時の聖俗を代表する二人によって建てられたことになる。五山文化の中心でもあり、画僧の周文や雪舟は相国寺のである。

客寄せ的な法堂の鳴き竜をまずは見て、期待の方丈の庭を見た。無窓疎石の作だが思いの外ゴチャついたイメージで、フォーカスが定まらず不完全燃焼という印象だ。庭とは逆の「琴棋書画の間」の原在中の筆になる襖絵は一見の価値があった。当時の教養を示す4つの事柄を描いたものだが、単なる風景ではなく、家の造りや服飾など風俗の一端が垣間見え、楽しい内容だった。

この相国寺の本命は浴室だ。1400年ごろの創建とのことで、湯を沸かす釜と湯を使う湯船は別室だ。湯は釜のある部屋から樋を通って湯船に注がれる。釜は2基ある。片方の釜から湯を供給している間に、もう一方で水から湯を沸かすということだろう。釜と湯船が一体となった風呂桶が開発されるのは相当後のことらしい。

午後から、六角堂、円通寺、相国寺と廻って来たので、かなり時間も経っている。雨のせいもあってあたりは薄暗くなってきた。相国寺から予定の廬山寺へは歩くしかないので、同志社大学の中を抜け今出川通りを東進して廬山寺へ向かった。かなり急いで歩いたつもりであったが、残念ながら廬山寺は間に合わず閉店であった。源氏物語ミレニアムということもあり、紫式部が源氏物語をしたためたところである廬山寺を見ておきたかったのだが、次への楽しみになった。

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同志社大学のキャンパスを抜けたら、今や日本の英雄、朝原選手の栄誉を称えた横断幕が誇らしげに掛かっていた。いつまで掛けておくのだろうか。右は廬山寺の看板。この看板とミレニアムの相乗効果で参拝者は激増だろう。


22:25:13 | datesui | No comments |

18 November

#488.京都へ行ってきました? −洛中・烏丸線沿線巡り−

京都の初日の14日は生憎の雨。それもかなり濡れそうな雨だったので、予定の三尾の山巡りを急遽変更することにした。そこで最終日の予定、さっと新幹線に乗れるように洛中を軽く巡るコースに切り替えることにした。洛中は灯台下暗しさながらで、意外と見るべきものが残ってしまっている。特に気になっていたのは、六角堂と相国寺だ。あと思い浮かぶのは源氏物語ミレミアム関係の廬山寺だ。廬山寺はともかく、六角堂と相国寺は地下鉄烏丸線の沿線なので雨の中でもあり続けて巡るには好都合だ。

まずは六角堂だが、烏丸御池の駅からすぐそばで京都市内のど真ん中だ。六角堂はその名の通り、建物が六角形の形をしているが隣の高いビルにから見るとはっきり六角形がわかるそうだ。
聖徳太子の建立によること、華道の家元・池坊の発祥の地、親鸞が百日間参籠をして95日目の夜明けの夢の中で聖徳太子のお告げを得たということなどなど逸話の多いお寺でもある。境内に入って右へ進むと「へそ石」なるものが現れる。玉石に囲まれた六角形の石だが、旧本堂の礎石と伝えられているが、京都の中心を示すとされているので、「へそ石」と呼ばれるそうだ。
お寺に隣接して池坊会館の瀟洒なビルが建っている。表通りに回ってみると、ビルの壁面には華道の本山らしく見事なオブジェが飾られていた。

烏丸線に乗ってみて、雨なので円通寺はどうかと思った。そう思うと急に円通寺の雨に借景が見たくなった。終点の国際会館まで行けばバスもあるはずだ。国際会館に着くと、バスを待つのももどかしくタクシーで急ぐことにした。
やはり雨の円通寺は半端ではなかった。遠景の比叡山は墨絵のように浮かんだり消えたり、近景の苔は生き返ったように緑鮮やかに映えていた。円通寺は近隣の開発ラッシュで借景の維持が難しくなってきて、従来写真撮影禁止だったのが最近になって解禁になった。という訳で意地汚く撮りまくったが、雨の借景は素人が小さなデジカメで撮れるような代物ではなく、悪戦苦闘の姿を後水尾天皇はさぞかしせせら笑っていることだろう。
来訪者はなく、ご住職から肉声で説明していただけた。ここの石は海の石ですから雨に日は生き生きとしています。という説明を聞いても、まだ来訪の回数を重ねることが必要なようだ。寺の維持の難しさは開発だけではなく、昔の技術の維持がひっ迫しているそうだ。大工は勿論、左官や建具、特に後水尾天皇はお金を掛けずに知恵を使ったところがあるので大変とのことだった。ところで、ご住職の作務衣がオシャレに映ったので目を遣ると、大島紬だった。


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六角堂のへそ石。ここが京都の中心とされている。右は円通寺の借景の庭。薄く見えるの、いや見えない、のが比叡山。後水尾天皇は京中を歩いて比叡山の一番きれいに見えるこの地を定めたそうだ。


11:37:54 | datesui | No comments |