Complete text -- "#269.さすがは三井さま"

27 September

#269.さすがは三井さま

三井記念美術館へ『旅』という企画展を観に行った。副題として、―国宝『一遍聖絵』から参詣図・名所絵、西行、芭蕉の旅まで―、というもので、『一遍聖絵』の4文字に釣られて出掛けることになった。なんとなく中世が好きになり、中世と言えば網野善彦の本を読む機会が増え、網野善彦はこの『一遍聖絵』を実に丁寧に説明して、中世の様子を生き生きと伝えてくれている。と言う訳で、国宝と言うこともあり、一度『一遍聖絵』にお目に掛かっておきたかったわけである。

お目当ての『一遍聖絵』を始め、『西行物語絵詞』、『芭蕉句文懐紙』など旅情を誘う素晴らしい出品物は全部で62点、立派な屏風なども数多く、見応えは十分だった。これで入場料は800円なのだ。しかも、都心の一等地にあるのに、このお値段だ。出品目録を見て推測が湧いた。62点中32点が三井記念博物館の所有なのだ。また、三井文庫本館の所蔵品も8点あり、65%が自前もしくは自前に近い所蔵品で企画展ができているのだ。

もっとも『一遍聖絵』は藤沢の清浄光寺の所蔵で、清浄光寺のものでなかったら見る価値もない。だが、出品中もう1点の国宝である藤原定家の手になる『熊野御幸記』は三井記念美術館の所蔵なのだ。以前、出光美術館で開催された、宗達、光琳、抱一の『風神雷神』の3作揃い踏みがあったが、これも酒井抱一の作品を出光美術館が所有しているからこそ、家族合わせ的に企画が成立したものと思われる。ホームページによれば、三井記念美術館は三井の三家よりの寄贈で4000点近い所蔵品があり、国宝は6点を数えるとのことである。


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